amaysim は、オーストラリアでトップクラスの、オンラインベースのモバイルサービスプロバイダー (MSP) であり、新興企業から、加入契約者数でオーストラリア第 4 位の独立系 MSP へと成長しました。 同社では、技術に長けていないビジネスユーザーでもスキルレベルに関係なく、データに基づいた意思決定をリアルタイムで行えるように支援するためのソリューションを探していました。
現在、amaysim では、ビジネスリーダーとユーザーが定期的に会議を行い、売上動向、契約更新率、ポートアウト数など、ビジネスの原動力となる主な指標について検討しています。
amaysim では、Tableau を使用することにより、重要なビジネスデータを視覚化して、上級役員の意思決定の支援や、従業員の生産性の向上、インサイトが得られるまでの時間の短縮を実現しました。
700,000 人以上の顧客、100 億件のレコード
革新的なテクノロジーをベースに構築されたビジネスモデルで、amaysim は 5 年足らずで 700,000 人を超える加入契約者を獲得しました。 このような急速な成長を遂げたことにより、収集したすべてのデータを分析し、そこからインサイトを得ようとする段階で、課題に直面することになりました。
「データに基づく意思決定は、私たちのビジネス戦略を支える柱の 1 つ」だと、amaysim の IT 部門ディレクターである Julian Dell 氏は言います。
amaysim には 100 億件を超えるコールデータのレコードがあり、毎日 2,000 万件のコールデータが加わることで、件数が増え続けています。 保存されているデータは複雑で、Livechat、Zendesk、コールデータレコード、Google アナリティクスなど、複数のソースから来ています。
amaysim で以前採用していた BI 手法では、コーディングが必要で、ビジネスユーザーが利用できるようにするのは簡単ではありませんでした。 インサイトを引き出せるのは社内でも 1 人か 2 人に限られ、リソースや時間のかかるプロセスによって事業収益の増加に歯止めがかかっていました。
「未処理の依頼が山積し、役員が質問を投げかけても、アナリストがデータを用意するのに数週間かかっていました。それも、視覚化する前の状態のデータです。 必要なところにスケーラビリティがありませんでした」と Dell 氏は振り返ります。
リーダーたちはデータを分析することで、amaysim が達成可能な最終損益の値を確認していましたが、現行のソリューションの生産性が低いために、その数字を十分に実現できずにいました。
意思決定者たちは、amaysim がデータをインサイトに変換し、業績を伸ばすために分析を利用できるようなソリューションを探し始めました。
適切な判断
Adrian Loong 氏は、2014 年に amaysim に入社し、amaysim とそのニーズに適した BI 戦略の策定を担いました。
Loong 氏は次のように述べています。「会社は、過去を振り返ることをやめ、これから先の未来がどうなるかを考えるようにしたいと望んでいました。社内のユーザーがテクノロジーを受け入れてその価値を引き出せるようにするには、そのソリューションが視覚的で使いやすいことも重要でした」
彼は、リアルタイムのインテリジェンスを活用してデータに基づいた意思決定ができるように上級管理職を支援するソリューションを探しました。 また、あらゆる分析の実行に高度なスキルを持つ技術者の手を借りるのではなく、社内の一般のビジネスユーザーがデータインサイトを引き出せることも、ソリューションの要件でした。
過去に 2 社で Tableau を使用していた経験があることから、Loong 氏にとって Tableau は薦めやすいソリューションでした。
「amaysim 入社後 1 か月目で Tableau を紹介しました。 他のソリューションもテストしましたが、速度が遅すぎたり、価格が高すぎたり、あるいは条件に合わないものでした。 Tableau に関しては、過去にとてもうまくいった経験があり、amaysim が求めているものを実現できることがわかっていました」と Loong 氏は言います。
Loong 氏は、その機能を上級管理職に実際に示すことだけが必要でした。
そこで、Tableau Desktop ライセンス 1 つで、現在のビジネスにおけるペインポイントをベースに、新しいツールの簡単な概念実証 (POC) を実施しました。 一例として、Alteryx のテクノロジーを使用して種類の異なるデータソースを組み合わせてから、Tableau を使用してその結果を視覚化し、管理者向けのダッシュボードを作成しました。
amaysim では、Tableau を使うことによって、従来の要件取りまとめのプロセスが迅速化されました。 現在私たちは、ビジネスユーザーが的確な質問をして、Tableau ダッシュボードからインサイトを得られるよう支援することにフォーカスしています。
継続的に結果とインサイトを経営陣に提供したことで、amaysim での Tableau ソリューション採用の決定はスムーズでした。amaysim ではテクノロジースタックを端から端まで置き換えることとし、現在、データベースには Amazon Redshift、データの統合には Alteryx、そして可視化には Tableau を使用しています。
Loong 氏に Tableau の使用経験があったので、amaysim でのこのテクノロジーの導入および社内への展開は、迅速かつ簡単に進みました。
「当初、Tableau を使用するのは私自身と少数の役員だけでした」と Loong 氏は振り返ります。 「気軽なトレーニングを提供したところ、本当にすぐにユーザーに受け入れられました」
amaysim では、Tableau Desktop を使用してデータを視覚的に分析し、Tableau Server を使用してその結果をパブリッシュし、共有しています。
「コラボレーションを念頭に Tableau Server を導入しました。ダッシュボードとインサイトを共有するためです。そして、Tableau Desktop はさまざまな切り口で詳細な分析を行うためです」と Loong 氏は語ります。
Tableau と、重要なビジネスデータを視覚化できるその機能のおかげで、amaysim では、事後対応的なレポート作成から事前対策的な意思決定支援への道のりに、大きく歩みを進めました
事後対応から事前対策へ
導入から 9 か月で、amaysim では職場の生産性に大きな改善が見られ、情報に基づく、より良いビジネス上の意思決定を迅速に行うことができるようになりました。
「テクノロジーの連携により、必要なことが実現されています」と Loong 氏は言います。 「Redshift は、膨大な量のデータを保存し分析するためのスピードと堅牢性を備えています。 Alteryx でデータを組み合わせることにより、ぱぱっと繰り返しの処理を実行して Tableau でインサイトを得ることができます」
2 ~ 3 か月もかからずに、求めていた答えを得ることができました。 データを視覚化することで、だれでもすぐにビジネスで起きているトレンドを把握することができるので、それに対応することができます。
「今では、ビジネスユーザーと共にその場でダッシュボードを構築することができます」と Loong 氏は言います。 「そのプロセスは数時間のうちに完了します。どこの企業でも、そのスピードで進めることができるのは稀です」
「Tableau と、重要なビジネスデータを視覚化できるその機能のおかげで、amaysim では、事後対応的なレポート作成から事前対策的な意思決定支援へと進化する道のりに、大きく歩みを進めました」と Loong 氏は語ります。
amaysim では現在、3 人体制の分析チームで、財務、顧客獲得およびリテンションマーケティング、さらには小売りとオンライン販売を含む、多種多様な業務に対応しています。 必要なデータを短時間で得られるようになりました。以前なら 2 週間以上かかっていたようなプロジェクトが、今では数時間しか、かかりません。
Tableau を使用することで、amaysim では時間を節約できただけでなく、確固たるメリットが見られ、最終的な損益実績が向上しています。
「チームメンバーに必要なことは、『顧客が離れていくのはなぜか』といった質問を投げかけるだけです。必要なデータが提供され、さまざまな製品、チャネル、歳入の支出などの分類で表示することができます。 Tableau のおかげで、より明確な答えを提示することができます」と Loong 氏は語ります。
また、amaysim では、Tableau のセルフサービス型データソースを使用することにより、ビジネスユーザーが自分自身で質問の答えを調べられるようにしています。これにより、職場の生産性が大きく向上しています。
事業部門のユーザーは、自分でダッシュボードを構築して Tableau Server にパブリッシュし、共有することが推奨されています。 ユーザーが基礎となる分析を素早く活用できるようにしたことで、個々の具体的なビジネス上の課題を簡単に解決でき、BI チームを待つ必要がなくなりました。
「これまでは BI がボトルネックになっていましたが、Tableau は簡単に使いこなせるので、スタッフが自分でインサイトを探せることに感動の声が上がっています。 マーケティングアナリストの 1 人に使い方を教えたのですが、ほんの数時間で、このテクノロジーについて何も知らなかったところから、自分でダッシュボードを作成するところまで行きました」と Loong 氏は振り返ります。
amaysim の役員、ビジネスオーナー、および事業部門の多くの人々が、現在 Tableau を使用しています。 Loong 氏の目標は、会社全体で Tableau を使って、各自が自分でビジュアライゼーションを作成できるようにすることです。
「ビジネスリーダーが直接操作してすぐにフィードバックが得られるので、Tableau は、クリエイティブな問題解決に役立ちます。 ダッシュボードができてしまえば、じっくり腰を据えて待つ必要はありません。 数人の上級管理職との会議を設定し、インサイトを求めてダッシュボードをクリックしていきます。 ダッシュボードを操作して見ていくと、さらなる質問が出てきて、実のある議論が展開されることもよくあります。
シニアマネージャーは、会議の冒頭で Tableau ダッシュボードを参照します。 それにより、売上を確認し、議論すべきビジネスチャンスや緊急性の高い領域を特定できます。
「これまでは BI がボトルネックになっていましたが、Tableau は簡単に使いこなせるので、スタッフが自分でインサイトを探せることに感動の声が上がっています」
新しいソリューションを使うことで、amaysim では、データを分析し、視覚化して、次のような幅広い質問に答えることが可能になっています。
- 個々のサービスで利益が出ているのはどこか。
- amaysim からマーケットシェアを奪っているのはどの通信事業者か、また、離れていく顧客の特徴は何か。
- 最も収益性が高い製品は何か。
- 運用システムの効率性はどうか。
Loong 氏はさらに、予測分析のモデルも手掛けようとしています。 「Tableau と Alteryx を使用して予測分析を構築し、Tableau 内で製品損益に関する多角的な分析を実施しようと計画しています」と Loong 氏は語ります。 「これは大きな前進となり、事業をどう成長させていくかについて、確固たるインサイトをもたらすものになります」
Loong 氏は次のように締め括ります。「Tableau によって、私たちはインサイトが得られるまでの時間を短縮し、意思決定のペースを速めています。 Tableau により、技術に長けていないビジネスユーザーがデータを探索し、臨機応変に新しい角度から調査できるようになり、より明晰に考え、よりよいアイデアが出せるようになっています。 私たちは、事業をさらに効率的に運営していく方法を模索し続けています」