数十億ドルの人件費からインサイトを引き出す KellyOCG® 社

KellyOCG 社で、バイスプレジデント兼グローバル人材サプライチェーン担当マネージングディレクターを務める John Healy 氏は、「企業には適切な人材活用について意思決定を行うためのインサイトがないことがわかっていたため、KellyOCG では分析に計画的な投資が行われました」と述べています。

Tableau の導入後、同社は求めていたソリューションを手に入れ、その取り組みは顧客、サプライヤー、さらには同社自体にも大きなメリットをもたらしました。


顧客、サプライヤー、社内関係者により多くのインサイトを

「当社は、世界各地の戦略的な顧客の代理人として、数十億ドル相当の外注費を管理しています」と語るのは、KellyOCG 社でバイスプレジデント兼グローバル人材サプライチェーン担当マネージングディレクターを務める John Healy 氏です。「カバーしているのは 43 か国、18 言語です。顧客は、ビジネス戦略を遂行するうえで、最も効率的かつ効果的な形で人材を得て活用できるように、当社に委託しています」

同社が毎年 100 万人以上の求人を埋める中で、ほぼ 55 万人を Kelly Services 社が直接雇用し、残りはサプライヤー網を通じて対応しています。

KellyOCG 社では、その 5 年分のトランザクションデータが Microsoft SQL Server データベースに保存されています。また、Salesforce.com の CRM データ、複数のベンダー管理システムのベンダーデータ、そして求人検索行動や心理学的情報といった、Google アナリティクスによる Web サイト情報も保有しています。

同社のリーダーは、このデータを使って社内の意思決定を行いたいと考えていました。また、顧客やサプライヤーが、よりデータドリブンな意思決定を行うために必要なインサイトを強く求めていることもわかっていました。

こうした社内のデータに加え、KellyOCG 社は顧客、パートナー、サプライヤーの一部システムにもアクセスしていました。さらには、市場や業界のデータなどのサードパーティのソースもあり、人材サプライチェーンチームでは分析に活用したいと考えていました。

同社のリーダーは、このデータを使って社内の意思決定を行いたいと考えていました。また、顧客やサプライヤーが、よりデータドリブンな意思決定を行うために必要なインサイトを強く求めていることもわかっていました。

しかし問題は、そうした多種多様なデータをまとめるために必要な時間と技術的な知識の多さでした。一元管理サービスのチームや、既存のツール群で利用する既存の「レポーティング」機能では間に合わず、オペレーションマネージャーはさらに毎週 10 時間を費やして、最大 4 つの異なるレポーティングシステムから得られたデータセットをまとめていました。

たとえば、KellyOCG 社では四半期ごとのサプライヤースコアカードを使って、サプライヤーにパフォーマンス指標を伝えていました。四半期単位ということは、サプライヤーがそのフィードバックを活用してタイムリーにビジネスプロセスを変更できなかったことを意味します。

KellyOCG 社で人材サプライチェーン分析担当バイスプレジデントを務める Tom Tisdale 氏は、こう語ります。「スコアカードは事後対応的なプロセスであり、『誰がどこで何を』を伝えることだけを重視していました。コラボレーションとイノベーションを促進することはできなかったのです。ですから、『なぜ』と『どのように』、つまりインサイトに対応したリアルタイムの提供プラットフォームが必要でした。そのプラットフォームには、はるかに包括的なサプライヤーイネーブルメント戦略の基盤となるような柔軟性が不可欠です」

KellyOCG 社は顧客にもレポートを提供しており、アカウントチームが年次ビジネスレビューを配布していました。このレポートは、静的な PowerPoint プレゼンテーションとして顧客に届けられていました。しかし、さらに掘り下げたインサイトを KellyOCG 社に求める戦略的な顧客もいました。

Tableau のおかげで、当社のオペレーションチーム、顧客、サプライヤーが全体的なビジネスを前進させるビジネス上の意思決定を行えるような形で、非常に複雑なビジネス上の問題を視覚化することができます。

John Healy 氏 (KellyOCG 社バイスプレジデント兼グローバル人材サプライチェーン担当マネージングディレクター)

「誰がどこで何を」を越える

人材サプライチェーン分析チームは一部の顧客のフォーカスグループを設立し、顧客がより良い意思決定を行うために必要な情報の種類について、詳しく質問しました。
そして要件が定まった後、次のステップは、顧客が使いたいと考えている莫大な量および多種類のデータを扱える、分析プラットフォームを探し出すことでした。

そこで、ガートナー社によるビジネスインテリジェンスソリューションのマジック・クアドラントが参考にされました。同チームはビッグデータを扱う能力に加え、次の点から有望なソリューションを評価しました。

  • 使いやすく直感的
  • データ接続
  • 分析結果を Web ページに埋め込む能力
  • 先行投資を最小限に抑えるライセンス発行モデルの柔軟性

「ガートナー社のマジック・クアドラントで『リーダー』に挙げられているベンダーをすべて検討し、適切な選択肢の評価を行いました。その結果、Tableau がトップになりました」と Healy 氏は語っています。

最終的な選定を吟味するにあたり、同チームはシニアバイスプレジデント兼 CIO の Judy Snyder 氏と緊密に協力しました。

当社は Tableau を検討し、スケーラビリティ、ガバナンス、エンタープライズ対応度でニーズを満たすことを確認しました。実際に Tableau は、データと IT の複雑なエコシステムという難しい環境に対応できています。

「当社は Tableau を検討し、スケーラビリティ、ガバナンス、エンタープライズ対応度でニーズを満たすことを確認しました。実際に Tableau は、データと IT の複雑なエコシステムという難しい環境に対応できています」と、Snyder 氏は述べました。

現在、数多くのさまざまなユーザーのために、核となるチームスタッフのグループが Tableau Desktop でビジュアル分析を行っています。チームが Tableau で接続する最大の表には、2,500 万~ 3,000 万行のデータがあります。

同チームは、予想、成果の確率分析、ミシガン州立大学との協力によるシミュレーションと相関のモデルを使った予測など、Tableau で行える高度な分析に満足しています。この総合的な予測分析では、R 接続の機能が活用されています。

同チームは Viz とダッシュボードを Tableau Server にパブリッシュしているほか、顧客、サプライヤー、プログラムチーム向けの共同分析プラットフォームである、センターオブエクセレンスポータルに分析結果を埋め込んでインサイトの共有をさらに進めています。

「このプラットフォームのおかげで、初めて全員が同じ分析結果とインサイトをリアルタイムで見られるようになりました」と、KellyOCG 社で人材サプライチェーン分析担当ディレクターを務める Richard Fisher 氏は語っています。

「ダッシュボードは、iframe を使って .NET フレームワークに埋め込んでいます」と Fisher 氏は説明しました。「画面の下にはサムネイルをカルーセル表示しています。サムネイルをクリックすると、iframe にフル画像が表示されるわけです」

欧州のデータプライバシー法を遵守するために、個人を特定できる情報はすべて、パブリッシュされた分析結果から削除されています。

そしてチームはクラウドベースのソリューション、具体的には Microsoft Azure の評価を開始しました。すでに、Azure のサンドボックス環境で Tableau のテストが始まっています。

「Tableau のおかげで、当社のオペレーションチーム、顧客、サプライヤーが全体的なビジネスを前進させるビジネス上の意思決定を行えるような形で、非常に複雑なビジネス上の問題を視覚化することができます」と、Healy 氏は述べました。

当社の社員は 1 つ上のレベルに達しつつあります... 「初心者」と見なされるような社員でも、非常に複雑なビジネス上の問題を解決できるようになっています。社員はトレーニング成熟度発展フレームワークの中で、従来のテクノロジーと比べより短い時間で前進できるようになりました。

時間の節約とスタープレーヤーの誕生

「企業は労働力の変わりゆくダイナミクスに対応しようとしているため、顧客も当社が Tableau を通じて実現しているようなイノベーションを求めています」と、Healy 氏は語りました。

KellyOCG 社のチームは、Tableau を使った取り組みにより社内外で次のようなメリットを得ました。

  • オペレーションで生産性が 25% 向上。KellyOCG 社で最も早期に見られたメリットの 1 つに、手作業による以前のレポーティングプロセスと比べ、週 10 時間を削減できた点が挙げられます。ダッシュボードが完成すると、チームはデータ更新のスケジュールを設定して、基本的には常に最新のレポートを作成することができます。

    「今では、オペレーションマネージャーがさらに価値を生み出すための取り組みに集中できるようになっています」と、Healy 氏は述べています。

  • サプライヤースコアカードの頻度が数か月縮まり、サプライヤーのイノベーションを促進。現在、KellyOCG 社は四半期ごとにスコアカードを提供するのではなく、サプライヤーにインサイトを毎週提供しています。

    「今では、サプライヤーが市場、自社のパフォーマンス、クライアントの本当の需要をより幅広く見通し、イノベーションにつなげています」と、Healy 氏は説明しました。

    たとえば、サプライヤーはよりタイムリーなインサイトを活用して、適切な人材を誘引する最適な賃金率の把握、サブサプライヤーの最適な数の把握、他のベンチマーク作成の取り組みといった市場評価を行えるようになりました。

  • 顧客が求める価値の高いインサイトを提供。現在、KellyOCG 社では、顧客が求めていたようなデータドリブンなビューを提供することができます。

    たとえばチームは、企業内の労働力の傾向を予測したり、業界や地域で同様の従業員像を求める他社に対して比較分析を行ったりしています。

  • ビジネスレビューで顧客を感動させる。KellyOCG 社は、ビジネスレビューをよりダイナミックに、そして面白いものにしました。同社は .NET サイトにログインするだけであり、顧客も情報をレビューして、理解する必要がある分野にドリルダウンすることができます。

    「きっとこんなことが起こっているのでしょう。顧客がレビューしているときに、ある時点で堅苦しいプレゼンテーションが突然停止し、全員がノートパソコンの周りに集まってダッシュボードを見つめるのです。顧客はこう言います。『そこの急増は何だ? なぜ起こったんだ? どうしたら同じようになるんだ?』とか、『ここで良い結果が出ているのはわかっていたが、ここに質の問題があるとは知らなかった』などと言い出します」と、Tisdale 氏は語ります。

    「そして、そのレビューのどこかのポイントで全員が気づくのです。旧態依然とした顧客によるレビューが、プログラム遂行の効率に関する報告から、プログラム効果の改善や、人材サプライチェーン分析プラットフォームのインサイトに基づいた今後の成熟度モデル開発への討論の移行に関する、協力的な会議に変わっている、と」

  • チームから隠れた可能性を引き出す。何より喜ばれたのは、Tableau 導入の決定で起こった人材サプライチェーン分析チームの変化でした。

    「率直に言って、当社の社員は 1 つ上のレベルに達しつつあります」と、Tisdale 氏は語ります。「Tableau のおかげでとても短時間のうちに、『初心者』と見なされるような社員でも、非常に複雑なビジネス上の問題を解決できるようになっています。社員はトレーニング成熟度発展フレームワークの中で、従来のテクノロジーと比べより短い時間で前進できるようになりました」

    それに伴い、今のチームの生産性に変化が見られただけでなく、人材発掘の面でも有利に働いていると受け取られています。Tisdale 氏によると、KellyOCG 社は Tableau の活用により、技術的なノウハウをデータサイエンティストのチームに集中させ、ビジネスの知識、情熱、エネルギーをもたらすチームでビジュアライゼーションに全力を注ぐことができるようになりました。

    「当時、求める人材像を変えてもいいことにすぐ気づきました。テクノロジーに長年の経験を持つ人材に投資する必要はありません。人材プールを狭めていた、技術的な能力やスキルを基にした求人像から離れ、今では技術的な能力よりも、エネルギッシュで意欲と情熱を持つ人材を探しています。実際に、そういう人材を必要なポジションに就かせることができます。その結果、組織のスタープレーヤーが得られるのです」

スタープレーヤーと言えば、先ごろ Rich Fisher 氏は、Kelly Services 社からゴールデンサークル賞に選ばれました。これは、毎年同社で最も顕著な貢献をした一握りの社員に贈られる栄誉ある賞です。受賞の主な理由としては、Tableau ベースの分析プロジェクトが挙げられています。

そして、栄誉はそれに留まりません。人材サプライチェーン分析プラットフォームは、トップのイノベーションであり、競合製品よりはるかに進んだ業界製品として、業界のアナリストはもちろんサプライヤーや顧客からも評価を受けています。

一例を挙げれば、Brandon Hall Group 社人材獲得アナリストの Kyle Lagunas 氏は、「人材サプライチェーン管理の主要なプラクティス」 (英語) と題したブログ記事で、「KellyOCG 社が行った同社の分析およびレポーティングツールのライブデモは、現時点で私が見たソリューションのトップ 5 に入ると言っていい」と書いています。