意思決定のためのデータ収集・分析時間が、Tableau 導入で大幅削減|株式会社林産業
キーマンの業務効率化でコミュニケーションの質向上
週次の事実共有がスムーズになりクレームが激減
導入の背景
データ収集の効率化とさらなる表現力を模索していた
創業1962年、ポリエチレン製軟包装材の製造・販売を行う林産業は、業界の中でもいち早く90年代初頭からシステム化に取り組み、業務効率化を追求してきました。同社 代表取締役社長の小沼佳史氏は業務効率化の重要性を次のように強調します。
「ポリエチレン包装材は多品種小ロット、薄利多売のビジネスです。当社が扱うアイテム数は約6,000種。そのうち95~96%は受注生産品です。トン単位の原材料を仕入れてグラム単位の包装材製品を百万枚単位で製造販売するとなると、製造工程における1~2%の合理化が収益に大きな影響を与えるわけです」。
こうした厳しい世界で小沼社長が重要視しているのは「事実把握」と「スピード」です。もともと同社では、経営のPDCA を決定する全体会議を月例で行っていましたが、案件の陳腐化や為替も連動する調達コストの調整などを行うには、スピードの早い判断が必要になります。そこで、全体会議を月次から週次に切り替えて実施していました。「いわばPDCA サイクルのスピードを4倍にしたわけです」(小沼社長)。ですが、そこで課題となったのが、データの収集と分析です。
これまで分析は表計算ソフトを駆使して、まとめ、グラフ化を行っていたといいますが、多品種小ロットでほとんどが受注生産となる同社では、6,000アイテムに対し年に平均4回ほどの受注があり、毎年2万4,000件もの受注データが積み重なる計算になります。「これだけのデータを集計するとなると、システム側でデータを加工する技術が必要ですし、元となるデータも1カ月前のものを利用している状態でした」と小沼社長は振り返ります。そこで、同社ではリアルタイムにデータを活用することですぐさま意思決定ができること。さらには、グラフ描画などのデータ表現力の高める手立てを探していた際にTableau を提案され、ほぼ即決で導入を決めました。
Tableau の導入・運用環境について
100以上のオリジナルダッシュボードで社内業務に溶け込む
林産業では、SFA として Salesforce を導入し基幹システムと連携させ、そのデータを Tableau で分析しています。導入しているツールは、Tableau Cloud 、Tableau Prep 、Tableau Desktop 、Tableau Data Management 、Tableau Mobile の5つ。
具体的には、製造販売管理の基幹システムより Salesforce へスケジュールデータを連携。さらに Tableau が Salesforce へアクセスすることで受注、売上、発注、購買、生産実績、生産計画、在庫、製品ほか、各マスタ情報などを連携しています。UI はSalesforce 上に一元管理され、Tableau のダッシュボードも閲覧できる仕組みです。
「Tableau は今、業務に完全に溶け込んでいます。営業や製造部門では、Tableau で分析される受注や生産にかかわるさまざまなデータを見ながらお客様とやり取りしています。納期や数量の変更など即応性が必要な社内コミュニケーションは Chatter も活用しています。生産装置に張り付いていることが多い工場では Tableau Mobile が威力を発揮します」と小沼社長は語ります。
しかも同社が開発したダッシュボードの数は、現在100以上にも上ります。開発したのは同社 管理部 計数管理ユニット 主任の佐藤郷志氏。この数は Tableau 導入企業の中でも類を見ないほどの規模です。佐藤主任はダッシュボード開発について「Salesforce やExcel での表現からどうブラッシュアップするか、そのアイデアが重要になります」と語ります。
その点では、導入時に受講した有償トレーニングが非常に有効だったと言います。「受講前後では、彼が作るダッシュボードは大きく変わりました。これは必要な投資だと納得できました」(小沼社長)。
Tableau 選定の理由について
自社データとの親和性と表現のカスタム性から即断
「Tableau の導入を決めたのは、SFA として導入した Sales Cloud との親和性の高さからで迷いはありませんでした。基幹システムと Sales Cloud を連携し、そのうえでデータ分析の表現力を高めるには Tableau の一択でした」と小沼社長。
佐藤主任は「計算式やグラフ描画など表現のカスタム性は他社ツールより高いと思います。後にトレーニングを受けたことで、その点は改めて実感しました」と、小沼社長の言葉を補足します。
さらに、システム構成として「クラウド」と「データマネジメント」と「モバイル」を組み合わせることが容易だったことも評価の高さにつながったと小沼社長は言います。基幹システム側とクラウド側に双方データを置く必要があり、リアルタイムでデータを自動連携できる Tableau Data Management の存在、さらに生成されたデータをどこにいでも確認することができるモバイル活用も魅力でした。
Tableau の導入効果について
コミュニケーションの質が向上してクレームも激減
Tableau 導入効果として、小沼社長はまずは経営の視点から「会社のさまざまな部署に対して社長から一社員まで、狙った切り口の正確なデータを共有できるチャンスを得たこと」を語ります。また、同社が Tableau を導入した時期がコロナ禍と重なっていましたが、「クラウド化や Tableau を導入していなければコロナ禍は乗り切れなかった」と言います。
「コロナ禍で急遽防護服の需要の高まりから弊社の取引も増えたり、ロックダウンの影響で原材料が通常ルートで入手できなくなったりもしました。そうした場合にも、リモートワーク環境で即座にデータを確認しながら意思決定ができたのです」(小沼社長)。そのほか、Tableau 導入のメリットとして以下の2点を強調しました。
キーマンの業務効率化でコミュニケーションの質向上 Tableau 導入以前、佐藤氏はデータ収集に1日2~3時間はかけていたと言います。現在はほとんど不要になったといいます。「突発的なことがなければ、データ収集にかかる時間は8~9割くらいは減ったと思います」(佐藤氏)。小沼社長も「受注量などの事実確認はいま、Tableau と佐藤が作ってくれたダッシュボードを見れば5分で終わります。かつては毎朝30分、昨日の報告を見て、わからない点を電話で確認するなど1日延べ2時間はかかっていました」。キーマンの事実把握の時間が大幅に短縮したことで、会話量は減りましたがコミュニケーションの質は上がったと、小沼社長は評価しています
週次の事実共有がスムーズになりクレームが激減週次の会議では、過去のプロセスではなく予実の差異のみにフォーカスして未来のアクションを決めるという同社。そのコミュニケーションのベースになるのが Tableau による正確なデータの共有です。さまざまな仕様・条件で膨大な受注が毎日入ってくる同社の状況では、かつてはクレームも発生しました。ですが、週次コミュニケーションと Tableau 導入によって、クレーム数は1/6以下まで減りました。
突発的なことがなければ、データ収集にかかる時間は8~9割くらいは減ったと思います
今後の展開について
受発注可能なお客様向けポータルサイトはすぐに取り組みたい
Tableau をはじめとする Salesforce の活用について、小沼社長はさまざまなアイデアを持っています。今後は「お客様向けのポータルサイトを Service Cloud で構築し、当社の在庫や生産状況を共有しながら受発注を含めたコミュニケーションを実現すること」。これはすでに取り組み始めています。また、社内の人事評価について、社員個人のポータルサイトで KPI を見せていくことも構想しています。「自分が会社にどう貢献できて、評価されているのか、会社と各社員がお互いにわかるように」というのがその狙いです。さらに、小沼社長は期待を込めて次のように語りました。「現在SDGs が叫ばれる中で、ポリエチレンを扱うわれわれの業界では、今後生き残りをかけて徹底した効率化を進めなければなりません。そのためにも Tableau はわれわれの武器になると考えています」。
現在SDGs が叫ばれる中で、ポリエチレンを扱うわれわれの業界では、今後生き残りをかけて徹底した効率化を進めなければなりません。そのためにもTableau はわれわれの武器になると考えています
※ 本事例は2023年2月時点の情報です
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