パワーユーザー育成でデータ活用事例が続々誕生|CCCMKホールディングス株式会社
データ利用の “自分ごと化 ”で Tableau の活用が拡大
導入の背景
社内外におけるTableauのさらなる活用拡大に着手
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)のグループ企業として、T カードのデータをもとにしたデータベース・マーケティング事業を手がける CCCMKホールディングス株式会社。2012年に設立された同社は、T カード年間利用者約7,000万人という膨大かつ唯一無二のユニークデータを分析・活用し、多くの企業のマーケティング活動を支援してきました。
そんな同社が Tableau を導入したのは2017年。Excel を利用してデータを可視化・分析する従来の方法では時間がかかり、ニーズの多様化に対応できないなどの課題の解決が目的でした。経営層のコミットメントのもと、推進チームを中心として Tableau の利用定着化を進めた同社は、誰でもデータを可視化・分析できる環境を整備し、データの準備・分析に要する工数を削減するなど、課題を次々にクリアしていきました。その内容は、2020年公開の事例記事で詳しく述べられています。本稿では、その後の同社における Tableau 活用の取り組みと成果を紹介しましょう。
導入から約3年、“データの民主化 ”を進め、Tableau の存在を社内に定着させた同社は、次のフェーズへ進むべく、2つの目標を設定しました。執行役員の彦坂理枝子氏はいいます。
「データの準備や分析の環境が整ったので、社内外で Tableau の活用をさらに進めていこうと考えました。まず社内では、お客様の課題を解決するための企画や提案を考える材料・道具としてデータを自由に使えるよう、Tableau のユーザーを育成する。そして社外では、お客様とともに Tableau を活用し、ビジネスの課題を解決する。そういう社内・社外両側面の目標を掲げました」(彦坂氏)
Tableau の導入・運用環境について
育成プログラムでパワーユーザー40名が誕生
推進チームの佐々木綾子氏は、2020年当時の社内における Tableau の利用状況を次のように振り返ります。
「課題を解決するために仮説を立て、それを実証する上でデータを見る、というデータドリブンの文化は醸成されつつありました。ただ、実際にデータを抽出して Tableau で分析するのは、各部署から依頼を受ける特定のデータアナリストに限られている、という課題がありました」(佐々木氏)
その解決策として取り組んだのが、Tableau のパワーユーザーの育成です。推進チームの川浦健斗氏は、そのプロジェクトの経緯をこう説明します。
「まずは全社的なキックオフイベントを開催して、約260名の参加者にプロジェクトについて説明しました。そこで興味を持った人約100名に対して、Tableau 社の方にご協力いただき、4回のハンズオンセミナーを実施しました。そして、実際に Tableau に触れ、課題を突破した人には、この先も Tableau をしっかり使ってもらえるだろうという判断のもと、希望を聞いてライセンスを付与しました」(川浦氏)
そうして育成されたパワーユーザーは40名。彦坂氏はこう評価します。
「ハンズオンを通じてわかったのは、データを扱う専門の部隊だけでなく、実はすでに多くの部門でデータを活用した企画や提案をしていたということです。たとえば管理部門では、さまざまなデータを集めて加工・集計・分析する取り組みをし、営業・コンサルティング部門でも、SFA や基幹システムのデータを自分たちで見ていました。そうしたユーザーにとって、Tableau を自身で使えるようになったことは、可視化やドリルダウンの自由度を高め、かつ業務負荷を下げるという点で大きな前進だと思います。もちろん、パワーユーザーがいきなり自分で100%のものを作るのは難しいので、データアナリストを交えた共有会を週1回開いてサポートしています。それによって、個々のレベルはどんどん上がっています」(彦坂氏)
取組課題イメージ
Tableau 選定の理由について
顧客とのデータ深掘り等、社外向けツールとして新規採用
Tableau Desktop と Tableau Server を使い続けてきた同社が、新たに Tableau Cloud を導入した理由について、川浦氏はこう説明します。
「Tableau Cloud を導入すれば、お客様や提携先に共有するレポート作成において、そのつどデータを抽出・加工するという工数を削減できます。さらに大きなメリットとして感じたのは、お客様や提携先と見ているデータが一致し、それを踏まえて議論を深められること。ミーティングで一緒にデータを深掘りし、より詳しいお話ができるようになるという期待がありました」(川浦氏)
もう1つ、社外に対する情報共有の手段として活用を始めたのが Tableau Public です。
「Tableau Public を使って当社から発信するコラムの中に Tableau を埋め込み、ダッシュボードのデモ版を公開すれば、『当社のデータを使えば商品やサービスの利用者に関する “人となり”を可視化できます』といった、具体的にデータが見える形でのマーケティング活動に利用できると考えました」(川浦氏)
実際に公開した各種ダッシュボードは、平均約6,000のビューを獲得。多いものでは1万ビューを超えており、「ぜひそこから受注につなげたい」と川浦氏は期待を寄せています。
Tableau Cloud を導入すれば、お客様や提携先に共有するレポート作成において、そのつどデータを抽出・加工するという工数を削減できます。さらに大きなメリットとして感じたのは、お客様や提携先と見ているデータが一致し、それを踏まえて議論を深められること。ミーティングで一緒にデータを深掘りし、より詳しいお話ができるようになるという期待がありました
Tableau の導入効果について
パワーユーザーによるデータ活用事例が続出
同社では、各部門のパワーユーザーによるデータ活用のアイデアや事例が次々に生まれています。たとえば、ある営業担当者は、顧客の店舗の売上に関するダッシュボードを自ら作成して、それを顧客に見せながら提案し、課題の解決にともに取り組んでいます。
「従来は、当社でデータを集計・分析・可視化して読み解き、レポートとしてお客様にご提供して読み合わせをする、といった流れが一般的でした。ただ、レポート作成に時間がかかり、どうしてもレポートをご提供するまでの一方向で終わりがちでした。営業担当者自身が Tableau を使えるようになったことで、実際にお客様の現場へ伺ってダッシュボードをお見せし、一緒に改善を進められるようになり、お客様にはデータの価値をより実感していただけるようになったそうです」(佐々木氏)
Tableau を利用することで、データの異常値を検知する作業にではなく、課題を見つけて改善につなげるという、より本質的な業務に時間を費やせるようになった、と佐々木氏。同様に彦坂氏も、単なる業務効率化ではなく、それによって生まれた時間をしっかり有効活用できている、と指摘します。
「たとえばお客様とのミーティングにおいても、すでにデータができあがっていて、説明の必要がない状態なので、その先の課題の解決に向けた議論から入るなど、ミーティングの質自体が変わっています。そのように、お客様の意思決定や改善のスピードアップに貢献できることが、社内の工数削減や時間短縮以上に重要な変化なのです」(彦坂氏)
40名のパワーユーザーだけでなく、キックオフイベントや共有会の参加者の中にも、Tableau に価値を見出している従業員はたくさんいる、と佐々木氏はいいます。
「2020年時点で MAU:50%程度だった Tableau の利用率は、育成プログラムの実施後、84%まで上昇しました。データ活用がより身近になり、“自分ごと”と捉えている人がそれだけ増えたということです」(佐々木氏)
ダッシュボードイメージ
2020年時点で MAU:50%程度だった Tableau の利用率は、育成プログラムの実施後、84%まで上昇しました。データ活用がより身近になり、“自分ごと”と捉えている人がそれだけ増えたということです
今後の展開について
データ利用の “自分ごと化 ”が進展、活用拡大に大きな期待
同社では現在、社外向けの Tableauの活用が着々と進められています。その1つが、Tableau Cloud を利用した、顧客に対するデータ共有です。
「お客様にレポートなどをお送りする際、従来のようにExcelやPowerPoint ではなく、Tableau Cloud で直接納品しています。Excel 等を作る工数を削減できるのはもちろん、お客様と同じデータを見ながら一緒に深掘りし、その場で提案につなげられるという大きな利点があります」(川浦氏)
また、顧客に対してデータや分析結果をシームレスに提供するためのツールとして活用しているのが Tableau Embedded です。Tableau のインタラクティブな分析機能を顧客のサービスに埋め込むことで、ビジネス状況を顧客側でいつでも確認できる環境を整えました。
そのように、社内外における Tableau の活用を拡大し続けている同社。彦坂氏は、今後の展開についてこう話します。
「もともと本プロジェクトは、一部門だけでがんばるのではなく、全社的な取り組みとして推進したからこそ、個々人における “自分ごと化 ”が進み、活用が広がりました。今後、パワーユーザーの数を倍ぐらいまで増やすことで、その人たちに影響を受けて社内外での活用がさらに広がっていくことを期待しています」(彦坂氏)
外部公開イメージ
もともと本プロジェクトは、一部門だけでがんばるのではなく、全社的な取り組みとして推進したからこそ、個々人における “自分ごと化 ”が進み、活用が広がりました。今後、パワーユーザーの数を倍ぐらいまで増やすことで、その人たちに影響を受けて社内外での活用がさらに広がっていくことを期待しています
※ 本事例は2023年2月時点の情報です
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