データドリブンな意思決定: デジタル時代に成功を収める
データドリブンな意思決定とは何でしょうか。
データドリブンな意思決定 (DDDM) の定義は、事実、指標、データを使用して、自社の目標、目的、イニシアチブに合致する戦略的なビジネス上の意思決定を導くことです。組織がデータの価値を十分に認識すると、ビジネスアナリスト、セールスマネージャー、または人事のスペシャリストなど、誰もがデータを使ってより良い意思決定を毎日行えるようになります。ただしこれは、適切な分析テクノロジーを選択して次の戦略的機会を特定するだけでは達成できません。
データドリブンな意思決定を組織内での標準とする必要があります。つまり、批判的思考と好奇心を奨励する文化を築くことです。それぞれのレベルの従業員の会話がデータから始まり、またそれぞれが練習と応用を通じてデータスキルを開発します。そうなるためには、基本的に、ユーザーが必要なデータにアクセスでき、セキュリティとガバナンスのバランスが取れたセルフサービスモデルが必要です。また、データスキルを従業員が習得するためのトレーニングと開発機会を用意する能力も必要です。さらに、エグゼクティブからの支持を得るとともに、データドリブンな意思決定をサポートおよび実行するコミュニティがあれば、他の従業員にも参加を促すことができます。
このようなコア機能を確立すれば、すべての職務レベルにわたってデータドリブンな意思決定を促進するのに役立ち、ビジネスグループは定期的に質問して情報を調査し、行動につながる強力なインサイトを発見できます。
データドリブンな意思決定の重要性
収集される情報は今までにないほど増えており、複雑さも増しています。そのため、自社データの管理と分析もより困難になっています。実際、NewVantage Partners 社の最近のレポートによると、エグゼクティブの 98.6% がデータドリブンな文化 (データドリブンカルチャー) を育成したいと答えているものの、それに成功しているのは 32.4% のみとのことです。2018 年の IDC の調査でも、組織はビジネスを最新化しようと何兆ドルもの投資を行ってはいるものの、それらのイニシアチブの 70% は失敗していることが示されています。その理由は、テクノロジーをサポートするデータ文化 (データカルチャー) を構築せずに、テクノロジーへの投資を優先しているからです。
データドリブンな組織を目指して、多くの組織が 3 つのコア機能を開発しています。それらはデータスキル、分析のアジリティ、そしてコミュニティです。企業が意思決定の行い方を変革するのは簡単なことではありませんが、データと分析を意思決定のサイクルに組み込めば、組織に最大の変革的なインパクトがもたらされるでしょう。このレベルの変革には、分析プログラムを開発および改善するための専用のアプローチが必要です。
データドリブンな意思決定から利点を得られる組織
組織はモダン BI のおかげで、すべての部門と役割でデータドリブンな意思決定を行えることの価値を、ますます理解できるようになっています。以下は、自社の従業員とデータの価値を効果的に活用している組織の例です。
世界大手の航空会社の Lufthansa Group は、ある時点で、550 社を超える子会社全体で分析レポートが統一されていませんでした。単一の分析プラットフォームを使用することで、同グループは 効率の 30% 向上を達成し、きわめて柔軟な意思決定と各部門の自律性の向上を実現しました。「自社独自の分析を作成および設計する強力な地位を得ました。今では多くの従業員が、データを中心に据えることが Lufthansa の成功にとって重要であることを理解しています」と、営業担当 BI アプリケーション責任者、Heiko Merten 氏は述べています。
51 の医療システムと 10 万人以上の医療提供者を擁する Providence St. Joseph Health は、品質とコスト効果の高い医療を年間数百万人もの患者に提供しています。患者データが多数のシステムに保存されており、増え続けるデータの管理と統合が複雑なタスクとなっています。同組織は、医療システムにアクセス可能なダッシュボードを構築し、品質およびコストデータの透明性を高めました。これにより、医療提供者は品質測定値を大幅に改善し、ケアのコストを削減できます。「システム全体にわたり、改善の難しい品質の成果で変化が見られました。全員が共通の言葉を話していることがその理由の 1 つだろうと考えています」と、医療分析責任者の Ari Robicsek 博士は説明しています。
Charles Schwab 社は、クライアントの資産をベースにした、株式公開している金融サービス企業最大手の 1 社です。カスタマーエクスペリエンスの強化、営業レバレッジの向上、リスクの削減にはデータが欠かせません。データに対する従業員の興味が増していく中で、同社はキャパシティプランニングとデータサポートモデルについて再考し、アナリストも初心者のビジネスユーザーもサポートするエンタープライズ BI プラットフォームを選択しました。「ビジュアル分析ソリューションなしでは、今でも大量のデータの分析にスプレッドシートを利用していたでしょう。代わりに、明確で実用的なインサイトを引き出し、ビジネスを前進させるダッシュボードを作成しています」と、シニア BI マネージャーの Donald Lay 氏は述べています。
ビジュアル分析ソリューションなしでは、今でも大量のデータの分析にスプレッドシートを利用していたでしょう。代わりに、明確で実用的なインサイトを引き出し、ビジネスを前進させるダッシュボードを作成しています。
データドリブンな意思決定を効果的に行うための 6 つのステップ
これらのステップは、「誰が、何を、どこで、いつ、なぜ」について自分自身や同僚、企業が理解し、データを最大限活用するために役立ちます。ただし、ビジュアル分析のサイクルは直線的に進んでいくのではないことに注意が必要です。1 つの質問が別の質問につながります。つまり、価値のあるインサイトに最終的に辿り着くまでに、これらのステップの 1 つに戻ることや、他のステップを飛ばして進む必要があることを意味します。
ステップ 1 - ビジネス目標を特定する: このステップでは、組織のエグゼクティブおよびダウンストリームの目標を理解することが必要です。これは、販売数および Web サイトトラフィクを増加させるという具体的なことでも、ブランド認知度を高めるというあいまいなことでも構いません。これは後のプロセス、つまり、データを基に行う決定に影響を与える重要業績評価指標 (KPI) やメトリクスの選択に役立ちます。また、主要なビジネス目標をサポートする分析を行うために、どのデータを分析し、どのような質問をするかを決める際に役立ちます。たとえば、Web サイトトラフィックの促進に注力しているマーケティングキャンペーンの場合、KPI を問い合わせの受信総数に結びつけることが可能です。これにより、営業担当者はリードのフォローアップができます。
ステップ 2 - 主要なデータソースについてビジネスチームを調査する: 確実に成功を収めるためには、組織全体の従業員から意見を聞いて、短期的および長期的な目標を理解することが重要です。これらの意見は、分析で質問する内容、および認証データソースの優先順位の決定に役立ちます。
組織全体から集まった価値ある意見は、役割、責任、アーキテクチャ、プロセス、さらには進捗状況を理解するための成功指標など、分析の導入環境や未来像を形作るのに役立ちます。
ステップ 3 - 必要なデータを収集し準備する: 分断されている多数のソースにビジネス情報が保存されている場合、高品質で信頼できるデータにアクセスすることは大きな課題です。組織全体でのデータソースの分散状態について把握できれば、データ準備を開始することができます。
影響が大きく、複雑性が低いデータソースの準備から開始しましょう。すぐに影響を与えることができるように、ユーザーが最大となるデータソースを優先します。それらのソースを使用して、与える影響が大きいダッシュボードの構築を開始しましょう。
マーケティングエージェンシーの Tinuiti 社は、100 以上のデータソースを分析プラットフォームに一元化し、データ準備を高速化しました。また、各クライアント対応用の 500 以上のカスタムダッシュボードを作成し、同社のブランドの取り組みに関するフルストーリーをクライアントに提供しています。
ステップ 4 - データを表示し探索する: DDDM にとって重要なのはデータの視覚化です。視覚的にインパクトのある方法でインサイトを表現できれば、シニアリーダーシップやその他のスタッフの意思決定に、より優れた影響を与えられる可能性があります。
データビジュアライゼーションは、チャート、グラフ、マップなどの多数の視覚的な要素を使用することで、データの傾向、外れ値、パターンを見て理解する方法を提供します。比較を示す棒グラフ、空間データを示すマップ、経時的なデータを示す折れ線グラフ、2 つのメジャーを比較する散布図など、情報を効果的に表示する人気の高いビジュアライゼーションタイプが多数あります。
ステップ 5 - インサイトを獲得する: データに対して批判的に考えること、つまり、インサイトを見つけてそれらを便利で魅力的な方法で伝えることが重要です。ビジュアル分析は、データに対して質問し、回答を得る直感的なアプローチです。成果や問題解決に影響を与える商談機会またはリスクを発見できます。
JPMorgan Chase 銀行は、モダン分析ソリューションを採用し、同銀行の健全性にとって重要な意思決定を行っています。JPMC 銀行は、各事業部の関係性 (製品、マーケティング、およびサービスのタッチポイント) を見直すことで、カスタマージャーニーの包括的なビューを獲得しています。たとえば、マーケティングオペレーションチームが、Web サイト、販促資料、または Chase モバイルアプリなどの製品のデザインに関する意思決定に影響を与える分析を実行します。
ステップ 6 - インサイトに基づいて行動し、インサイトを共有する: インサイトを発見したら、それに基づいて行動するか、またはそれを他の人と共有してコラボレーションします。その方法の 1 つは、ダッシュボードを共有することです。 情報を示すテキストやインタラクティブなビジュアライゼーションを使用して主要なインサイトを強調することで、ユーザーの意思決定に影響を与えることができ、ユーザーは日々の業務でより多くの情報に基づいて行動をとれるようになります。
Boeing 社の市場概要ダッシュボード
こちらの Boeing 社のダッシュボードでは、10 のチャートを使用してさまざまな見方を提供しており、飛行機に対する今後 15 年間の需要に関する新しいインサイトを見つけることも可能です。
Tableau Public の Viz を探索するTableau のような分析プラットフォームがあれば、安全かつ管理された環境で他のユーザーがデータを検索、表示、参照できるダッシュボードを作成し、共有することができます。これらのダッシュボードには、各ユーザーが自身のワークフロー内からアクセスできます。組織のニーズに確実に対応するためには、誰もが必要なデータを見つけることができるようにするために、ガバナンスモデルとデータソースを定期的に評価する必要があります。
データドリブンな意思決定は変革をもたらします。組織の全員がビジュアル分析を採用すれば、データはエンタープライズの重要な資産となります。モダン BI ソリューションがあれば、データドリブンな意思決定は、会社にとって大変な作業ではなくミッションとなります。これにより、さらに多くの情報に基づいて、より迅速に意思決定を行えるようになります。そのような意思決定は、より優れた収益、創造性、商業的成功をもたらし、従業員によるエンゲージメントやコラボレーションもさらに高まります。
強力なデータ文化 (データカルチャー) 要素の詳細についてご確認ください。また、自社のデータ文化 (データカルチャー) を構築する方法について、手順ガイドの Tableau Blueprint をご覧ください。