総合化学メーカーが“ 情報のサイロ化” から脱却!|旭化成株式会社

分析・報告・意思決定等が大幅に迅速化・効率化

導入の背景

製品・事業部ごとに分断された営業活動、情報のサイロ化が課題

旭化成グループは、DX の取り組みを 4 つのフェーズ「デジタル導入期(2018 年~)」「デジタル展開期(2020 年~)」「デジタル創造期(2022 年~)」「デジタルノーマル期(2024 年~)」に分け、デジタル変革を推進しています。その一環として 2021 年 4 月、グループの中核企業である旭化成株式会社では、新たに「デジタル共創本部」を設立しました。その狙いは、グループの強みである人財・技術・事業の多様性を最大限に活用するため、デジタル技術でビジネスを変革させ、共創によって新たな価値を創造することにあります。

さらに 2022 年 4 月、旭化成グループは大規模な組織改編を実施。グループで事業を展開する 3 領域の 1 つ「マテリアル」領域について、石油化学製品や合成ゴムなどの製品軸で設置されていたそれまでの組織を見直し、市場軸を強く意識した組織、すなわち「環境ソリューション事業本部」「モビリティ&インダストリアル事業本部」「ライフイノベーション事業本部」への改編を行いました。

「いいものをつくれば売れる」という従来のメーカーの思考から脱却して、市場の動向を注視し、顧客のニーズに応える製品・サービスを提供する。もちろんそれを実践する上では、事業横断的な情報の共有と活用が不可欠であり、これまで推し進めてきた DX が重要な役割を果たします。

モビリティ&インダストリアル事業本部 戦略推進部長の宇高道尊氏は、そのように近年、旭化成がグループを挙げて DX 戦略に取り組んできた背景には、多角化企業の多くに共通して見られる課題があった、と話します。

「営業活動は製品・事業部ごとに実行され、顧客軸・市場軸での戦略や複合的な価値提案が難しい状況でした。また、情報もサイロ化し、十分に活用できていませんでした。たとえば経営層から『今度このメーカーの方と会うけど、今うちとどんな取引やトピックがあるの?』と聞かれても、それをどう調べればいいのかさえわからない。多角化企業の強みを発揮しているとはいえない状態だったわけです」(宇高氏)

Tableau の導入・運用環境について

利便性重視の導入を心がけ利用定着化を促進

経営・マネジメント層が経営情報をタイムリーに把握し、的確な判断を下す。品目別・地域別に予実を管理して現況を把握しながら、課題を発見して迅速に意思決定する。そうしたことを可能にするため、2021 年、Tableau を導入しました。

ライフイノベーション事業本部 デジタルイノベーション推進部デジタルマーケティング推進室 課長の児嶋和生氏は、導入にあたって注意した点について、次のように説明します。

「多くの従業員が利用することになるので、マニュアルがなくても見ただけで直感的に使えるよう、Tableau の機能や表現力を活かしながら、ダッシュボードの構築などを工夫しました」(児嶋氏)一方、マーケティング&イノベーションセンター マーケティング企画戦略室 主査の栗林祐介氏によると、Tableau の利用定着化に役立ったのが、同時に導入した Salesforce との高い連携性です。「営業のデータはすべて Salesforce に入っているので、たとえば Tableau のデータを見て気になった取引先をクリックすれば、Salesforce 側の関連情報へ瞬時に飛ぶことができます。ユーザーからすれば、いろいろなツールを開く必要があったり、動線がバラバラだったりすると、どうしても使うのが面倒になるので、 Tableau と Salesforce の連携性は大きな強みだと感じました」(栗林氏)

児嶋氏の所属するライフイノベーション事業本部で Tableau を利用するのは、経営層および営業・マーケティング部門の従業員数百人レベルで使用で、事業部全体の経営に関する最新のデータをダッシュボードで確認し、経営判断や意思決定などに活かす態勢を整えました。

 

旭化成 図版1

Tableau 選定の理由について

使いやすさと表現力、Salesforce との連携性が決め手に

Tableau の導入前、営業・マーケティング部門では BI 製品をほとんど利用しておらず、データ分析には主に Excel 等を利用していました。製品の選定にあたって児嶋氏は、5社の製品を実際に使い、比較表を作成したそうです。

「Tableau の優位性としてまず感じたのは、使いやすさと表現力です。BI を使う上で一番大変なのはデータ整備なので、そこを Tableau Prep で自動化できるのは大きい。また、ダッシュボードをうまく使えなかったり、表現に魅力を感じなかったりすると利用が定着せず、製品の効果を最大限に発揮できませんから」(児嶋氏)もう 1 つの決め手になったのが、Salesforce との連携性の高さだ、と栗林氏はいいます。

「BI と同時に Salesforce を導入することが決まっていて、営業のデータはすべてそこに蓄積されるので、連携のしやすさは重要なポイントでした。やはりその点は、同じ企業グループの提供するサービスの強みだと感じました」(栗林氏)

Tableau の優位性としてまず感じたのは、使いやすさと表現力です

Tableau の導入効果について

分析・報告・意思決定等が大幅に迅速化・効率化

ライフイノベーション事業本部の現場では、日次で更新される売上などのデータをダッシュボードで可視化し、分析や報告などの作業を行っています。

「以前は、ERP などからデータを取得して集約し共有する、という作業を全部署で同じように行っているという無駄の多い状況でしたが、Tableau Prep によってそうしたデータ整備が自動化されました。その上で、実績の速報などの各種データを、部署や担当者それぞれの見たい切り口で見られるので、そこから多角的に分析を進めて意思決定する、月報などの資料にまとめて社内共有する、という作業が大幅に迅速化・効率化されました」(児嶋氏)

「今までは事業部や支店ごとに報告の仕方がバラバラで、見ている数字が違ったり、二重報告などの無駄が発生したりするという問題がありました。その点 Tableauは、共通の動的なダッシュボードでユーザーが切り口を変えればいいだけ。経営側・現場の双方がメリットを実感しています。今では分析手法の型を作って事業部ごとに横展開しています」(栗林氏)

毎日 10 分ほどかかっていた進捗報告の作業、さらに月報作成の作業が自動化で不要になっただけでも、従業員数を考えればコスト削減効果は大きい、と栗林氏はいいます。

さらに旭化成では、複数軸での分析を容易に実現できる Tableau の利点を活かすことで、膨大な製品群と顧客データの横断的な分析にもとづく改善事例が次々に出てきています。「各製品の市場のシェアと Salesforce の営業活動レポートをかけ合わせた分析によって、重要な市場においてシェアの伸びていない原因が営業活動量の不足にあることがわかり、営業人員を増やしたという実例があります。

また現在、建材・メディカル領域への Tableau 導入を試験的に進めています。たとえば、日本地図をグラフィック化して、各都道府県のシェアや営業の活動量を見たり、製品の在庫状況等を一元化して物流につなげたりするなどの新たな施策を展開しています」(栗林氏)

Tableau は、共通の動的なダッシュボードでユーザーが切り口を変えればいいだけ。経営側・現場の双方がメリットを実感しています

今後の展開について

情報資産を最大限に活用してビジネス変革に邁進

全社を挙げて DX を推進し、業務のみならずビジネスそのものを変革させつつある旭化成グループ。宇高氏は最後に、今後の展望についてこう語ります。

「今までの私たちは、実直にいいものをつくれば売れる、お客様のおっしゃることにただ従っておけばいい、という仕事のやり方でした。しかしこれからは、市場がどう動き、お客様が本当はなにを考え、それに対してなにをすべきかを理解した上で、営業・開発の戦略を変えていかなければ、過当競争に巻き込まれ、会社として衰微してしまいます。

そういう危機感を持った上で、ではなにが必要かといえば、現実を示すデータと、それを蓄積・共有・活用するプラットフォームです。今後も私たちは、グループ内の多様な情報資産を最大限に活用し、ビジネスを変革していきたいと考えています。またその上で、 Salesforce や Tableau といった優れたソリューションを提供してくれるだけでなく、豊富な知見で一緒にビジネスを進めてくれるセールスフォース・ジャパンおよび Tableau Japan の支援にも大いに期待しています」(宇高氏)

旭化成株式会社の Salesforce 導入に関する詳細はこちら

 

旭化成 図版2

今後も私たちは、グループ内の多様な情報資産を最大限に活用し、ビジネスを変革していきたいと考えています

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