NLP システムの進歩によって、誰もがデータと自然な会話を行えるように。
コンピューターサイエンスと言語を結び付ける自然言語処理 (NLP) によって、コンピューターが人間の言葉の裏にある意味を理解できるようになります。今日の BI ベンダーは、ビジュアライゼーションのインターフェイスを自然言語で提供しています。これにより、自然なデータ操作が可能になり、BI ツールに詳しくないユーザーでも、質問を思いつくと同時にデータに聞くことができるようになります。
モダン BI では、分析的会話を支援するために自然言語が使用されています。分析的会話とは、人間とシステムの間で交わされるデータについての会話と定義されています。このシステムは、会話の流れからユーザーの質問の意図を理解し、さらに会話を進めることができるので、自然な会話によるユーザーエクスペリエンスが可能になります。たとえば、ユーザーは、データについて続けて質問をする際に、詳細な質問に言い換えたり、曖昧な部分を明確にしてから質問しなおす必要がありません。ユーザーは、BI ツールに「カリフォルニア近辺で起こった大規模な地震を探す」ようにリクエストした後、「テキサス近辺ではどうか」と続けて質問することができます。この際、再び「地震」という言葉を使用する必要はありません。
機械学習を使用することで、システムは、企業のデータやユーザーによる質問のタイプに基づいて、その領域の知識を徐々に深めていくことができます。Tableau の自然言語チームの開発マネージャーである Vidya Setlur は、「分析的会話の主な特徴の 1 つは、行き詰まりを回避する、つまり質問をし、結果を得て、それに基づいて元の質問の方向転換ができることです」と説明しています。
ユーザーはデータビジュアライゼーションに基づいた質問も自然言語で行えるようになります。Tableau のソフトウェアエンジニアである Ryan Atallah は、「BI ツールで病気の流行について質問し、結果を示すビジュアライゼーションを得たところで、『このオレンジ色の急増は何を示すのか』と、質問することができます。この質問は、データに基づいたものではなく、ビジュアライゼーションで表示された内容に対し、続けて出した質問です」と述べています。既存のビジュアライゼーションがその質問に合っていない場合には、別の答えが提供されます。
自然言語は、人がデータについて質問する方法におけるパラダイムシフトと言えます。人間と会話するようにユーザーがビジュアライゼーションを操作できるようになることで、これまでデータサイエンティストや上級アナリストが担ってきた分析パイプラインの領域が開放されます。ユーザーを制限するのは、分析のスキルセットではなく、それぞれのユーザーの質問の幅だけになります。上級ユーザーもまた、より深い質問に対する答えをより短い時間で引き出し、より魅力的なダッシュボード機能を他のユーザーに提供できるようになります。BI 業界全体で自然言語が成熟するのに伴い、分析環境の全組織的な導入に対する障壁が取り除かれ、データが職場文化の中核へとさらに組み込まれるようになります。