「LOD」とは、オープンデータの公開手法のことを指します。オープンデータとは、国などから無償提供されている統計データなどのことで、2016 年に制定された「官民データ活用推進基本法」にもとづいて、国および自治体はオープンデータへの取り組みを推進しており、さまざまな統計データの無償公開が進んでいます。 例えば、新型コロナウイルス感染症関連で日々公開されている、「患者数」や「対策病床数」といったデータもその一例です。このようなオープンデータの中で、特に注目されているのが LOD と呼ばれる公開手法です。
LOD を理解し、データを活用することで、新たなイノベーションを生み、社会課題解決に貢献できるようになるでしょう。 ここでは、データを活用してビジネスや研究活動などで新たな価値を生み出す LOD とは何か、その基礎知識や活用するメリットなどを解説します。また、Tableau を用いた国内での LOD の活用事例も併せて紹介しますので参考にしてください。
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LOD とはリンクが付加されたオープンデータのこと
LOD とは、「linked open data(つなぎ合わされたオープンデータ)」の略語です。オープンデータは、「世の中に向けて広く公開されているデータ」を意味します。例えば、国や自治体が保有する人口・年齢などの統計データなど、無償で一般公開され、二次利用可能なものがオープンデータにあたります。 そして、誰でも自由に利用できるオープンデータの中でも、Web 上にあるほかのデータとリンクが付加されているものを LOD と呼びます。
オープンデータとは?
LOD について理解を深める前に、まずはオープンデータの基本を理解しましょう。 オープンデータとは、国や地方自治体、そして企業が保有するデータのうち、次の 3 項目に合致し、誰もがインターネットなどを通じて容易に利用(加工、編集、再配布など)ができるよう公開されたデータのことです。
<オープンデータの必須条件>
- 営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能としているもの
- 機械判読に適したもの(コンピューターで容易に処理できること)
- 無償で利用できるもの
オープンデータが無償で公開される目的
オープンデータは、国や自治体がデータの提供に積極的に取り組んでいます。その目的は、「官民協働による社会課題解決に寄与」「行政の高度化・効率化」「透明性・信頼性の向上」という 3 点です。 オープンデータの例としては、下記のようなものが挙げられます。
<国・自治体が公開する身近なオープンデータの例>
- 日別の雨量データ
- 河川水位データ
- 交通事故データ
- 地域内の Wi-Fi 設置箇所一覧
- 県内公立学校の学級数・生徒数
オープンデータは、そのデータを活用して新しいサービスが世の中に広まり、社会課題解決に向けたアクションが広がっていくことを期待して公開されています。 例えば、国などの行政機関が「気候」「災害」などのデータを、誰でも無償で利活用できるように公開します。すると、そのデータを見て災害に関する社会課題を発見した民間企業や個人が、「災害マップ」「災害アラート」など、何らかの新しい Web サービスやアプリケーションを自由に開発することが可能になります。
オープンデータには 5 段階のランクがある
オープンデータは、どのようなデータ形式で公開されるかによって、5 段階(星)でランクが分けられています。主な評価基準は、データを利用する側がどれくらい便利なのかという観点から決められます。
オープンデータのランク
※オープンデータ評価指標「5 Star Open Data」より
なお、LOD はオープンデータの最高ランク「星 5」に該当します。具体的なデータ形式は「Linked-RDF」といい、オープンデータ標準形式である「RDF」に、Web 上に存在するほかのデータとリンクが付加されているものです。
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LOD がデータ利用にもたらすメリット
LOD では、特定のデータと外部データのあいだでリンクづけをし、その関係性を表現することができます。LOD でなければ、データに存在する文脈や関係性などはまったく定義されずに、ただ Web 上に存在することになります。LOD で値と値が相互につながることで、データの横断的な探索などが、コンピューターを介して容易に行えるようになるのです。
LOD でオープンデータがつながることによって、データを取り扱う際に「どんな課題が隠れているか?」といったインサイトや示唆を得やすくなります。LOD をビジネスや公共サービスの施策立案に活用することで、「この課題に対して、次に打つべき手は何か」など、具体的な答えを早く見つけられるようになり、現場での人の動きがスピーディーになったり、社会課題解決に向けて迅速にアクションできるようになったりと、多くメリットがもたらされるのです。
LOD によって変わるデータの取得環境のイメージ
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LOD の活用事例:Tableau なら、オープンデータをわかりやすく可視化できる
LOD のようなオープンデータをビジネスの現場でスピーディーに活用し、そのデータから次の一手へのヒントを得るためには、「データ間の横断的な探索」「データの可視化」ができる環境を構築することが重要なポイントとなります。。
その環境構築の課題を容易に解決してくれるのが、BI プラットフォームである Tableau の導入です。 具体的に事例を紹介しましょう。
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に関する医療提供状況
厚生労働省の Web サイトでは、オープンデータを活用して都道府県別の医療提供状況をリアルタイムで可視化しています。
新型コロナウイルス感染症に関するオープンデータを、BI プラットフォームである Tableau に取り込み、地図上に色分けして表現。Tableau のビジュアル化により、閲覧者はデータの要点をひと目で把握しやすくなります。
厚生労働省「病院の稼働状況」
※厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」より
兵庫県:交通事故発生状況
Tableau は、「兵庫県_交通事故発生状況」の公開でも活用されています。 兵庫県が提供するオープンデータ「交通事故統計情報」を Tableau に取り込み、データを「市町村別の件数」「過失が重い当事者の年齢別分布」「時間別」「発生場所」といったさまざまな切り口から、誰にとってもわかりやすくビジュアル化しています。
兵庫県「交通事故発生状況」
※兵庫県情報政策課「兵庫県_交通事故発生状況」より
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今後、LOD のようなオープンデータを活用するビジネスのタイプは、下記に挙げる「付加価値型」「新価値創造型」「プラットフォーム型」の 3 つに分けられます。
付加価値型
付加価値型とは、既存ビジネスの価値を高めるためにオープンデータを利用するタイプのことです。主に、市場のリーダーともいえる企業が、付加価値タイプの担い手になるといわれています。
例として、スマートフォンで利用できるナビゲーションサービスを提供する大手企業が、自治体から提供されるオープンデータ「避難場所情報」を地図に付加して、サービスをより充実させています。
新価値創造型
新価値創造型とは、オープンデータを含め、さまざまなデータを掛け合わせ、高度な分析によって未来を予測するタイプです。主に、スタートアップ企業がデータに新しい価値を創造する担い手となります。 例として、不動産販売価格を予想するサイトでは、「人口や住宅・土地に関する公的統計」を活用して、不動産販売価格の予測サービスを新規に開発しました。
プラットフォーム型
プラットフォーム型は、特定の領域のデータを大量に集めてプラットフォーム化するタイプのことです。集めたデータを利用しやすく提供することで、価値を生み出します。これも、スタートアップ企業が主な担い手となります。
例として、図書館蔵書検索サイトでは、国立国会図書館が提供する LOD「書誌データ」を活用し、全国各地の図書館の蔵書・貸出情報検索サービスを構築しています。
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LOD を活用すれば、データのあいだに隠れている関連性・文脈を、コンピューターが容易に読み取れるようになります。その反面、「LOD そのものは無償で手に入れて自由に二次利用できても、ビジネスの現場ですぐに活用できるだろうか…?」といった課題を抱える人も多いかもしれません。
その課題を容易に乗り越えられる解決策が、BI プラットフォームの導入です。この記事でご紹介したとおり、Tableau は厚生労働省や地方自治体でも活用されており、データを可視化することで、誰が見てもわかりやすく要点を把握できるプラットフォームです。まず、無料トライアルからスタートしたい方は、こちらから詳細をご確認ください。
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