データマートは特定部門に絞ったデータ分析に役立つデータベース

データマートの「マート（Mart）」は「小売店」のことですので、直訳すると「データマート＝情報の小売店」といった意味合いになります。 例えば、小売店のバックヤードには、商品がカテゴリごとに並べて整理され、店頭での在庫がなくなればすぐに補充できるようになっています。また、必要な商品がなくなるようであれば、注文して在庫の補充に務めるでしょう。

データマートとは、特定の目的に合わせてきれいに整えられたデータだけを、分析担当者がすぐに取り出してスピーディーに使えるよう、部門ごとに切り出して格納した収納庫といった立ち位置のデータベースなのです。 なお、データベースにおいて、データマートに似た言葉として「データレイク」や「データウェアハウス」がありますが、その違いは下記のとおりです。

データレイク・データウェアハウス・データマートの比較

データレイクは、さまざまなソースから収集した、構造化データまたは非構造化データを一元化して貯めておける大きな「湖」です。

データウェアハウスは、構造化データだけを格納しておく「情報の倉庫」です。これは、部門別に切り分けたものではなく、全社を横断するような、大規模なデータ倉庫と捉えてください。 そして、データマートは、構造化データを部門ごとに細かく切り分けて小規模に保管しておく「情報の小売店」だと理解しましょう。

データマートの位置づけイメージ

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データマートは、データウェアハウスに蓄積されているデータやそのほかのデータソースから、データを効率的に利用することが可能です。例えば、BI プラットフォームである Tableau のダッシュボードによってデータの可視化を行いたい場合、レスポンス性能を高めるために、データマートは重要な役割を果たします。 このほか、データマートのメリットについては、下記のようなものがあります。

実装はスピーディーかつ安価にできる

データマートの実装には、莫大な予算や膨大な構築期間を必要としません。

全社を横断する大規模なデータではなく、部門別に切り出した小規模なデータだけを取り扱うため、構築がスピーディーで、それにかかるコストも比較的安価で済むためです。実装するまでの構築時間も多くて数か月、場合によっては数分で行える場合もあります。

データの取り扱いが容易で効率的

データマートには、部門別に切り出し、部門の目的に合うようにデータを整えてから格納するため、データ利用者（分析担当者など）が「データを使いたい」という場面で比較的迅速にデータを引き出すことができます。 無関係なデータを処理しなくて済むため、データへのアクセスが効率的です。データウェアハウスを実装している場合、アクセスが集中しやすいデータウェアハウスへの負荷軽減にも一役買っています。 そして、データの使途を最初に定義して、それにかなったデータだけを蓄積しているため、より精度の高い分析が可能になります。

データ利用者を特定部門内に限定できる

データマートは、部門別に切り出したデータしか格納されていないため、データへのアクセスを特定部門内のメンバーだけに限定できます。経理、財務、人事、労務など、取り扱う情報に秘匿性が高く、データへアクセスできるメンバーを限定したい部門に適しています。

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データマートは、データの取り込み元によって 3 つの種類に分けることができます。一般的なデータウェアハウスの一部を構成しているデータマートは、ほかと区別する際には「従属型データマート」と呼びます。 データウェアハウスを使用しないデータマートもあり、この場合は「独立型データマート」です。さらに、従属型と独立型のメリットを併せた「ハイブリッド型データマート」もあります。

導入にあたっては、それぞれの特徴を把握した上で、予算や規模に合ったものを選ぶことになるでしょう。

従属型データマート

従属型データマートは、データウェアハウスが構築されていて、それに従属するようにデータマートが存在する場合を指します。統括的なデータを横断して取り扱うことができる、大規模なデータウェアハウスありきのトップダウンタイプです。

従属型データマートの場合、データウェアハウスに集められたデータのうち、特定部門が必要なデータだけを引き出して使用します。データウェアハウスに格納されているデータは、ETL 処理（情報源からデータを抽出し、ビジネスに必要な形式に加工、格納する、データクレンジング処理）がすでに終わったものだけです。そのため、従属型データマートは、データクレンジング済みのきれいなデータのみに、迅速かつ効率的にアクセスできるメリットがあります。

独立型データマート

独立型データマートは、中央のデータウェアハウスに従属することなく、スタンドアロンで存在するデータマートです。各部門で必要な情報源に独立してアクセスし、データ収集を行いながら、ETL 処理も独立して行います。入力や分析のプロセスに加え、収集・蓄積したデータのメンテナンスなども、各データマートで必要です。

各部署でそれぞれ ETL 処理のプロセスを挟む必要が出てくるので、データを取り扱うスピード感は従属型データマートと比較すると劣ります。しかし、大規模なデータウェアハウスを構築せずとも導入・運用ができるため、まずは特定のチームごとにスモールスタートをきることが可能です。

なお、この独立型データマートから小規模に構築を始めて、将来的にボトムアップ方式で全体を横断できる大規模なデータウェアハウスを構築することもできます。データウェアハウスを構築するまでの予算や時間がない場合は、まず独立型データマートを作っておくという方法が効率的といえるでしょう。

ハイブリッド型データマート

従属型データマートと独立型データマートの特性を併せ持つのが、ハイブリッド型データマートです。 大部分のデータは中央のデータウェアハウスから取得し、ETL 処理をすでに終えているデータを効率的に活用します。この点は、従属型データマートと同じです。

その一方で、特定部門に必要な一部のデータだけは、独自の情報源から収集し、部門内で ETL 処理を行って運用します。ここは、独立型データマートと同じです。新しい組織を追加したり、新事業を立ち上げたりした場合に、素早くアプローチできるメリットがあります。 ただし、データウェアハウスにないデータソースから情報収集を許すことになりますので、運用管理には注意が必要です。

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組織内でデータマートを運用する中で、そのメリットを活かしきれずに「組織内で最新のデータ共有が追いつかない」「スピーディーかつ、誰にとってもわかりやい分析結果をまとめられない」といった課題が発生することがあります。しかし、この課題は、BI プラットフォームの導入で解決できます。

Tableau なら、組織内のあらゆるデータに、オンプレミスにあってもクラウドにあっても安全に、最新のデータに接続することが可能です。組織内のデータ管理を、希望する規模に応じてアシストしてくれます。 そして、Tableau を利用するメリットは、データを安全に共有することだけにとどまりません。

Tableau Desktop の機能により、組織内の誰もがデータの要点を素早く理解できる、視覚的なダッシュボードを生成し、スピーディーにビジネス上の意思決定を後押ししてくれます。

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データマートとは、組織内の特定部門のデータ活用に使途を絞って構築・運用する、「情報の収納庫」です。 しかし、真の目的は「データを収集・蓄積してメンテナンスしていくこと」ではなく、「チーム内のメンバーの誰もが、データにもとづいてビジネス上の意思決定をできるようになること」です。

Tableau のように、誰にとっても扱いやすく、素早く答えを得られる BI プラットフォームの導入は、インサイトを得たり意思決定を行ったりするために有効です。データドリブンな組織に変革していくための、理想の環境構築を実現します。

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