データクレンジングとは?たった6ステップでわかる手順と注意点

データクレンジングでデータを正規化し、データ分析の品質を高めよう

 

データクレンジングの重要性について聞き、実施したいと考えている人もいるでしょう。

しかしデータクレンジングとは、職場で取り扱っているデータに誤りや重複などがないか見直して修正する作業全般を指すため、特別なことではなく、だれもが日常的に取り組んでいます。

当記事では、データクレンジングとは何か、データクレンジングを怠ることのリスクや実施する手順について解説します。

職場で管理しているデータや情報を正しく効率的に扱いたいと考えている人は、参考にしてください。

データクレンジングとは?わかりやすく解説

データクレンジングのイメージ

データクレンジングとは、企業や職場内で保管しているデータベース上のデータにおいて、内容が不正確だったり不完全だったりするデータを特定し、修正または削除することです。

たとえば、自社の顧客情報に誤りや古い情報が含まれていた場合、修正したり更新したりするでしょう。修正や更新の作業もデータクレンジングに該当するため、実は特別な作業ではなく、日ごろから取り組んでいる業務のひとつなのです。

データクレンジングを行うべき理由や名寄せ、データクリーニングとの違いについて解説します。

 

データクレンジングをすべき理由

データクレンジングを定期的に行うべき理由には下記3点が挙げられます。

  • データの質の向上につながるため
  • 業務の手戻りを防ぐため
  • 業務やサービス自体の品質維持につながるため

データクレンジングを実施すれば、データ内容の誤りや欠損、重複などの不正確なデータが修正され、データの整合性を高められます。正確なデータ分析が可能となり、ビジネス上の意思決定の質も向上するでしょう。

またデータの不整合や誤りが原因で業務の手戻りが発生することは、時間とコストの無駄につながります。データクレンジングを行えば手戻りが防げるため、業務の流れがスムーズになり企業の生産性も向上します。

さらに正確で整ったデータは、顧客に対して一貫したサービスを提供できるため、信頼性の向上につながるでしょう。データの質が維持されることで、企業のブランド価値も向上します。

 

データクレンジングと名寄せの違い

データクレンジングは、データの誤りや不備を修正し、データの品質を向上させるための行為を指します。具体的には、入力ミスや重複データの削除、表記ゆれの統一などが含まれます。

一方で名寄せは、複数のデータベースに存在する同一のデータを統合し、重複を排除して一つのデータにまとめる行為です。

つまり、データクレンジングはデータの整備、名寄せはデータの統合に焦点を当てます。

 

データクレンジングとデータクリーニングの違い

データクレンジングとデータクリーニングは、ほぼ同じ意味の言葉として使われる場合がほとんどです。また、データスクラビングも同じ意味で使われます。

ただし、データクレンジングはデータの整合性を高めるために、誤りや重複、欠損を修正する行為自体を指します。一方でデータクリーニングは、おもにデータのノイズや不要なデータを除去することに焦点を当てて使われる場合が多いです。

つまり、データクレンジングは広範囲なデータに対して、データクリーニングはデータの一部において施す行為を指すことが多いといえます。

 

Excelを用いたデータクレンジングの具体例

データクレンジングについての理解を深めるため、Excelを用いて頻繁に行われるデータクレンジングの具体例を紹介します。

Excelを用いたデータクレンジングを指す行為には、おもに下記があります。

  • 重複データの除去
  • データの正規化
  • トリミング
  • フィルタリング
  • エンコーディング
  • 欠損値の修正
  • データ変換
  • 単位変換
  • 外れ値の除去

具体的には、下記などの業務が該当します。

  • 顧客データの重複削除
  • 製品管理表や売上管理表内の数字の半角・全角の修正
  • 製品の納期管理表における日付の形式や住所の表記の統一
  • 店舗の来場者数が記載されたグラフにおける異常値や外れ値の除去

日ごろから取り組んでいる業務の中で、データや数値を修正したり更新したりする作業の多くは、データクレンジングに該当するといえるでしょう。

データクレンジングをするメリットとデメリット

データクレンジングでデータを正規化し、データ分析の品質を高めよう

 

データクレンジングを実施するメリットには下記があります。

  • データの正確性が向上する
  • 業務効率が向上してコスト削減につながる
  • 業務における意思決定の質が向上する
  • ビッグデータの分析が容易になる

データクレンジングによりデータの誤りや不整合が修正され、データの正確性が向上します。また、データが整理されることで無駄な修正作業がなくなるため、業務の手戻りが大幅に減少し、スムーズになるでしょう。結果、時間の節約と人件費の削減につながります。

そして、正確で一貫性のあるデータは、経営層や担当者がよりよい意思決定を行うための材料として役立ちます。正確なデータにもとづいた戦略的な判断が可能です。

またデータクレンジングを行うことで、ビッグデータの分析が容易になり、より多くの情報が活用できます。ビッグデータとは顧客の行動データや患者のデータなど、人力のみでは扱いきれないほど膨大なデータ群を指します。

ビッグデータを活用して多くのデータに触れることで、他社よりも競争優位性を高められるでしょう。

一方でデータクレンジングのデメリットには、データクレンジングに慣れるまで、ある程度の時間とコストがかかる点が挙げられます。

データクレンジングは、内容によっては専門的な知識やツールが必要な場合もあるでしょう。そのため、実施には一定のコストや時間がかかることがあります。

データクレンジングの手順とやり方

データクレンジングでデータを正規化し、データ分析の品質を高めよう

 

日ごろから取り組んでいる業務であっても、データクレンジングに該当する業務であれば、手順を見直すことが重要です。誤った手順を踏むと、業務の手戻りが発生したりデータの質が低下したりするおそれがあります。

すでに必要なデータが収集されている状況であると仮定し、Excelを用いてデータクレンジングを行う手順を解説します。

 

手順1:データクレンジングを行う範囲を定める

データクレンジングを行う際、まず対象範囲を明確に定義しましょう。なぜなら、データクレンジングを実施する対象が重複したり手戻りが起きたりする事態が防げるためです。さらに、重要なデータや影響の大きいデータなど優先順位を設けることで、効率的に作業を進められます。

 

手順2:データを活用する目的を明確にする

データクレンジングを実施する際に、対象のデータが活用される場面や用途を明確にしましょう。目的が不明確なままデータクレンジングを実施すれば、重要なデータを見落としたり不要なデータを残したりする可能性があるからです。

また、データ内において修正したり削除したりすべき対象が明確になるため、データクレンジングの作業工程を効率化できます。

さらに、関係者間でデータクレンジングの目的が共有されていれば、コミュニケーションが円滑になります。チーム全体が同じ目的に向かって作業を進められるため、結果としてより高品質なデータを維持できるでしょう。

 

手順3:対象のデータに対してクレンジングを行う

Excelを用いてデータクレンジングを実施する場合の、作業の具体例や注意点は下記のとおりです。

  • Excelで管理している情報のうち、重複データを削除する
  • 欠損しているデータを補完したり、削除したりする。欠損しているデータの見分け方には、平均値や中央値を出して足りない箇所を補う方法がある
  • 日付の形式や住所の記載方法など、データの表記を統一して正規化する
  • TRIM関数やCLEAN関数を使用して、テキストデータ内の不要なスペースや改行を削除する
  • Excel内のデータの型を変換する。たとえば、数値をテキストに変換したり、逆にテキストを数値に変換したりする

実施する対象が多い場合は、複数人で分担して実施すべきです。作業のスピードが向上するだけでなく、各従業員が得意とする分野やデータに特化して作業を行うことで、より高品質なデータクレンジングが可能となります。また、作業のミスも大幅に減少するでしょう。

ただし複数人で作業を行う場合は、作業手順や基準の統一が重要です。データクレンジングにおける結果に一貫性が保たれ、のちのデータ分析や利用がスムーズになります。

また、今後の業務プロセスの見直しに役立つため、データクレンジングを施した対象データと、修正内容を記録しておくことをおすすめします。

 

手順4:データを再整理する

データクレンジングを実施したあとは、データを使用しやすくするための再整理が必要です。まずは、データの活用目的を見直しましょう。

どのような分析や意思決定に対象のデータを使用するのか再確認します。確認した結果によっては、データの収集方法や保存方法について再検討が必要な場合もあるでしょう。

また、活用しやすいようデータの表記や表示の仕方についても検討する必要があります。従業員がデータを利用する際に、都度表記を変更して記載している場合、変更する行為自体を省くだけでも、大幅な時間とコストの削減が期待できるでしょう。

データを再整理したら、データクレンジングを実施した人全体でルールを統一させ、次回以降は統一後のルールに沿ってデータクレンジングを実施します。

 

手順5:データの入力・収集のプロセスを見直す

データクレンジングの結果や業務量によっては、データの入力や収集プロセスから見直しが必要な場合もあるでしょう。データクレンジングの結果を活かして、効果的な業務プロセスの見直しを行うには、データクレンジング中に記録したクレンジング対象と内容を知ることが大切です。

具体的には、データクレンジングの過程で、どのデータがどのような理由でクレンジング対象となったのかを明確に記録します。記録内容には下記を含めることをおすすめします。

  • エラーの種類:重複データ、誤記など
  • 修正内容:どのデータがどのように修正されたのか
  • 影響を受けたデータの範囲:クレンジングを実施したデータが影響を与えると思われるほかのデータやフィールド

上記を明確にしたら、同様のエラーや誤りが起きないよう業務プロセスを見直します。具体的には、データの収集・入力ルールの見直しや、自動化できるツールの導入などが挙げられます。

 

手順6:定期的にデータクレンジングを行う

データの質を維持するため、データクレンジングは頻度を決めて定期的に行いましょう。データクレンジングを実施する対象が多ければ多いほど、頻度を上げるべきです。また、データクレンジングの頻度が高いほどデータの質の維持につながります。

ただし、最終的にはデータクレンジングを行う頻度が減らし、実施しなくても問題がない状態や体制を目指すべきです。

なぜ破損データや不要なデータが頻出するのか?

データクレンジングでデータを正規化し、データ分析の品質を高めよう

 

そもそも、破損データや不要なデータが頻出してしまう理由には下記があります。

  • ヒューマンエラーによる誤表記や重複記載が多いため
  • ルールが不統一のまま業務を進めているため

データクレンジングにはある程度の時間とコストが必要なため、最終的にはデータクレンジングが不要な状態が望ましいといえるでしょう。

人力によりデータを収集・入力する場合、どうしてもヒューマンエラーによる誤りが発生します。

そのため、データクレンジングが不要な状態にするには、業務プロセスを見直したりAI機能が搭載された自動化ツールにデータ収集を任せたりする方法が効果的です。

とくにビッグデータのように膨大な量のデータを扱う場合は、早急にツールによる自動化を完了させることをおすすめします。

AI機能でデータクレンジングを自動化するには?

データクレンジングでデータを正規化し、データ分析の品質を高めよう

 

昨今のAI機能が搭載されたツールには、あらかじめルールを入力するだけで、データ収集からデータクレンジングまで自動で実施してくれる製品があります。

AI機能が搭載されたデータクレンジングツールなら、下記のような作業を自動化できます。

  • ルールに則ったデータ収集
  • 収集したデータの修正
  • 重複データの検出と統合
  • データの表記やフォーマットの統一
  • 異常値の検出および削除
  • データからわかる結果の提案および予測

少しずつツールに慣れ、データの収集から意思決定や資料作成までの業務過程において、自動化できる範囲を拡大させることが望ましいです。

AI機能が搭載されたツールを導入する場合は、下記の基準にもとづいて慎重に検討しましょう。

  • 自社の課題解決に必要な機能が備わっているか
  • 専門知識を必要とせず直感的に使用できるか
  • ツールのAI機能が正確に動作するか
  • コストパフォーマンスが高いか
  • サポートやメンテナンスの体制は整っているか
  • セキュリティの強度は十分か

ほとんどの製品は無料お試し期間が設けられているため、実際に試してから比較検討するとよいでしょう。

最終的にはデータクレンジングが不要な仕組みを目指す

データクレンジングでデータを正規化し、データ分析の品質を高めよう

 

データクレンジングは、取り扱っているデータの誤りや表記を正し、データ自体や提供するサービスの品質向上につなげることをいいます。

しかし、修正すべきデータが存在する理由のほとんどがヒューマンエラーです。データクレンジングの実施は人手とコストがかかるため、最終的にはデータクレンジングが不要な状態を目指しましょう。

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データや情報にかかわる業務効率の向上とコスト削減につながるでしょう。