ビジネスをさらに成長させる上で重要なのがデータ活用です。中でも「ビッグデータ」と呼ばれるデータを「AI」によって分析・活用することは、今後の企業活動においてマストといえます。
ここではビッグデータと AI の関係性、ビッグデータを AI で活用するメリットや活用例、ビッグデータと AI を活用する際の注意点のほか、活用時のポイントや分析方法についても解説します。
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ビッグデータと AI の関係性
ビッグデータと AI の関係性を知るためには、まずビッグデータとは何か、AI とは何か、それぞれについて知る必要があります。その上でビッグデータと AI の関係性について理解を深めましょう。
ビッグデータとは 5 つの V を有するデータ群のこと
ビッグデータとは、人間が把握しきれないほどの膨大な量のデータのことですが、明確な定義はありません。テキスト、画像、動画、音声などさまざまな種類・形式のデータが存在し、取得方法、活用方法も決まっていません。業界や企業、データを取り扱う人によってビッグデータの解釈はさまざまです。
しかし、ビッグデータには 5 つの V が必要であるという考え方があります。5 つの V とは、Volume(量)、Variety(多様性)、Velocity(処理速度)、Value(価値)、Veracity(正確さ)です。つまり、「膨大な量で多様性に富んでおり、高速に処理できるデータであること、そして価値があって、正確性を有している」といった特徴が、ビッグデータと呼ぶための条件ともいえます。
多くの企業は自社内に何らかのビッグデータを保有しています。5 つの V という特徴をもったビッグデータを分析することで、これまで予測できなかったニーズを発見したり、業務の効率化につなげたりすることが期待されているのです。
AI とはコンピューターによって人間の知能を再現する技術のこと
AI とは「Artificial Intelligence」の略称で、コンピューターによって、人間の知能を再現する技術として日本語では「人工知能」と訳されます。人工知能を簡単に説明すると、人間のようにものを「学ぶ」能力のあるコンピューターのことです。
研究者によって言葉の定義はさまざまですが、文部科学省は AI の中心技術を機械学習(マシンラーニング)と定義しています。機械学習とは、人間の脳が解釈しきれないほどの莫大なデータを学習してデータ内のパターンを解析し、未知のデータを与えられたときに、学習結果をもとにして予測や判断、分類などを行えるようにする仕組みのことです。すなわち AI は、膨大なデータを学習して、人間の日常生活における利便性を向上させる技術でもあるのです。
ビッグデータと AI はお互いを強化し合う存在
ビッグデータと AI について理解を深めると、それぞれの関係性が見えてきます。ビッグデータはそのまま持っているだけでは意味がなく、分析・活用する必要があります。しかし、膨大かつさまざまな形式のビッグデータを人の目だけで見て分析することは容易ではありません。
そこで活用するのが AI です。AI は膨大な量のデータを高速に学習し、分類や予測を行うことを得意としています。つまり、ビッグデータを有効活用するためには AI が効果的といえるのです。逆にいえば、AIもまたビッグデータを必要としています。AI が本領を発揮するのは、人の手には負えないような膨大なデータを学習・分析する場合だからです。
つまり、AI とビッグデータは、お互いがお互いを強化し合い、価値を高め合える関係性といえるでしょう。
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ビッグデータを AI で解析するメリット
ビッグデータと AI は互いを強化し合う関係性であることを踏まえて、ビッグデータで AI を解析するメリットについて解説します。具体的には、次の 3 つが挙げられます。
業務効率化や生産性の向上
ビッグデータを AI で解析するメリットは、業務の効率化や生産性の向上です。例えば大量に取得したアンケートにテキストで入力されているデータは構造化できないため、単に集計するだけでは分析できません。こうした人の手にあまるビッグデータを分析するのは AI が得意とするところです。
人の目で確認して分類したり、分析したりする作業に比べるとはるかに時間が短縮できるため、業務効率化や生産性の向上につながるでしょう。
現状分析と将来予測が可能
ビッグデータを AI で解析すると、現状分析と将来予測が可能になるのもメリットといえます。例えば、顧客の購買データを AI で分析することを考えてみましょう。購買データからは、どのような属性を持つ人がどの時期にどの店舗でどのような商品をいくら購入したのかが読み取れます。
こうした分析結果を活用することで将来を予測し、商品開発や店舗改善などにつなげられます。
データにもとづく意思決定を実現
データにもとづく意思決定を実現できるのも、ビッグデータを AI で解析することで得られるメリットでしょう。先が見通しにくく不確実性の高い現代において、経験や勘に頼った意思決定はリスクがあります。そこで活用したいのが過去のデータです。とはいえ、大量のデータを分析するのは時間がかかりますし、逆に意思決定の遅れにつながってしまっては本末転倒です。
そこで AI を活用してビッグデータを分析することで、素早いデータ分析と、データを用いた意思決定が可能になります。
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ビッグデータと AI の活用例
ビッグデータを AI で分析してビジネスに活用する手法は、すでに多くの企業が取り入れています。ここでは、各業界におけるビッグデータの AI 分析例について解説します。
製造業での活用例
製造業において、工場で取得できるビッグデータを活用した AI 分析はすでに多くの企業で導入されています。例えば検品作業です。従来の検品作業は人間の作業員が行うのが一般的でした。しかし、現在では良品と不良品の画像データを大量に AI に学習させることで、AI の画像判定による検品が可能になっています。これにより、検品作業に人員コストを割く必要がなくなり、人手不足への対処などにも役立っています。
また、IoT(Internet of Things)機器の導入により、工場内の機器情報をセンサーで取得。そのデータを AI で分析することで、故障検知などが可能になっています。
自治体での活用例
自治体では、ビッグデータと AI を災害対策に活用しています。突発的な自然災害はできるだけ早く対処することが重要です。ある自治体では河川の氾濫がどのような条件で起きるのかをビッグデータの AI 分析を用いて予測。気象データや水位予測データなどを活用し、水害のリスクを抑えることに成功しました。
小売業での活用例
小売業におけるビッグデータと AI の活用例のひとつが、仕入れの計画です。過剰な在庫を抱えると保管のコストがかかりますし、売れなくて返品することになるかもしれません。逆に、人気商品の在庫を切らしてしまうと機会損失につながり、本来見込めたはずの売上が得られません。仕入れは過剰でも不足しても問題がある難しい業務なのです。それにもかかわらず、多くの小売店では仕入れの計画をベテラン担当者の経験や勘に頼っているところが少なくありませんでした。これでは業務が属人化してしまい、ベテラン担当者がいなくなった場合に問題となります。
そこで現在、小売業が取り組んでいるのが、過去の売上データや気象データなどを活用した需要予測です。これにより、例えば「夏場の週末、天気の良い日には何が売れるのか」といった分析が可能になり、誰でも高い精度で仕入れを行えるようになっています。
観光業での活用例
観光業におけるビッグデータと AI の活用例のひとつが客足分析です。観光業は季節やイベント開催などの影響を強く受ける産業です。例えば温泉街であれば冬に客足が増えたり、近くで花火大会が開催される時期は予約が殺到したりと、さまざまな情報から客足を分析する必要があります。
気象情報やモバイルの位置情報、会員情報といったデータを組み合わせて分析することにより、時期に応じた適切なマーケティングを行うことが可能になるのです。
金融業での活用例
金融業は、ビッグデータと AI による分析が早くから活用されている業種のひとつです。例えば保険会社では、スマートフォンアプリなどのウェアラブル端末から顧客の健康情報を収集して商品開発に役立てたり、引き受け業務の精度を高めたりする取り組みなどを行っています。
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Tableau を無料で試すビッグデータと AI を活用する際の注意点
ビッグデータを AI で分析する試みは、企業に多くのメリットをもたらします。一方で、実際にビッグデータと AI の活用を行う際には注意すべき点もあります。
データを蓄積・分析する環境が必要
せっかくビッグデータを収集しても、それを蓄積したり、AI による分析をしたりする環境がなければ先には進めません。ビッグデータと AI の活用を始める前に、まずはデータをどの場所でどのように管理するのか、どのようなシステムやプラットフォームを用いて分析を行うのかをしっかりと検討する必要があります。
個人情報の取り扱いなどセキュリティに関する注意
ビッグデータの中にはセキュリティに注意して扱うべきものもあります。AI は、扱うデータが個人情報か、著作物かどうかの判断を行うことはできません。例えば、顧客の情報は個人情報にあたるものが多く、万が一流出してしまうと個人情報保護法違反に問われる可能性があります。
また、気象データなどパブリックな情報なら問題ありませんが、収集したデータの中には著作権に抵触する可能性があるものや、自社の機密情報が含まれていることもあります。データのセキュリティには最新の注意を払うことが大切です。
データサイエンティストなどの人材確保
データを収集しても、ビッグデータや AI を扱えるスキルを持った人材がいなければ適切な活用まで持っていけないこともあります。データを扱える人材とは、データサイエンティストやデータアナリストなどが該当します。
もっとも、こうした人材はそれほど数が多くないにもかかわらず、企業からのニーズが多いため、なかなか採用できないことも珍しくありません。自社で採用できないのであれば、外部のパートナー企業との連携なども検討しましょう。
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ビッグデータと AI を活用するポイント
前述の注意点を押さえることができれば、いよいよビッグデータの AI 活用をスタートすることができます。その上で、ビッグデータの AI 活用を成功に導くためのポイントについて紹介します。
課題や目標を明確にする
ビッグデータと AI を活用するためには、課題や目標を明確にしましょう。課題や目標を明確にしないままデータを収集しても、結局活用できずに終わってしまうことがあります。データを収集する前に、どのデータをどのように活用するのか、それによって自社のどのような課題を解決したいのかといった基本方針をしっかり定めておくことが重要です。
クラウドを活用する
クラウドを活用することで、ビッグデータと AI を活用しやすくなります。前述した注意点のひとつである「データを蓄積・分析する環境」を自社で一から用意するのは、コスト的にも開発期間的にも簡単ではありません。そこで活用したいのがクラウドです。AWS(Amazon Web Service)や Microsoft Azure などのクラウド基盤は、データ分析に必要な条件がそろっており、データ活用を始めるまでの道のりを大幅に短縮できるはずです。
BI ツールを活用する
収集したデータを活用するためには、誰にでもわかりやすい形で可視化する必要があります。そこで役立つのが BI(Business Intelligence)ツールです。BI ツールはデータをわかりやすくグラフ化したり、集計したりできるので、データ活用にはなくてはならない存在といえます。例えば、BI プラットフォームと呼ばれる Tableau を導入することで、ビッグデータを用いた AI による分析が行いやすくなります。
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ビッグデータと AI を使用した分析方法
収集したデータを集計して分析する場合、さまざまな分析手法が用いられます。ここでは代表的なものを紹介します。
クロス集計
クロス集計は、基本的なデータ分析手法のひとつです。集計したデータを 2 つ以上の軸で分析し、データの傾向などをつかみます。例えばアンケートデータであれば、回答者を「男性」と「女性」といった属性情報で分類し、その上で回答結果をかけ合わせて傾向をつかむというイメージです。
回帰分析
回帰分析とは、ある結果に対して、複数の要素のうち何がどれだけ影響しているのかを分析する手法です。例えば店の売上に対して、立地や季節、店舗の広さなどの各要素のうち何が最も影響を与えているのかなどがわかります。
アソシエーション分析
アソシエーション分析は、主に小売業で使用される分析手法です。一見すると無関係に思えるデータの組み合わせから関連性を見つけ出すことで、売上増などにつなげます。
クラスター分析
クラスター分析のクラスターとはグループのことです。ビッグデータの中から似ているデータをグルーピングし、それぞれの特性を分析します。これにより、グループの特徴に合わせたマーケティングなどが可能になります。
決定木分析
決定木分析とは、ツリーを用いる樹形図でデータを分析する手法です。アンケート結果などをツリー状にどんどん分類していくことで、顧客の行動分析が効果的に行えます。
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ビッグデータと AI を利用した Tableau で意思決定が可能に
ビッグデータと AI はお互いに強化し合う関係にあり、業務効率化や現状分析、データにもとづく意思決定などが可能になります。さまざまな業界でも活用されていることからも、ビッグデータと AI の活用が今後のビジネスで不可欠といえるのです。
ビッグデータによる AI 分析を行うには、データサイエンティストなどの専門家が必要ですが、その結果を効果的に活用するためには、誰もがデータを見て理解できるツールが必要です。Tableau はドラッグアンドドロップで簡単にデータを可視化できる BI ツールで、企業におけるビッグデータの AI 活用を強力に支援します。
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