データの有効活用で重要なのは、追いかける指標を間違わないことです。それには「バニティメトリクス」と「アクショナブルメトリクス」について知っておくことが大切です。
バニティメトリクス
「バニティメトリクス (Vanity metrics)」 を日本語で直訳すると「虚栄の指標」になります。
たとえば、Web サイトのページビュー数 (ページが表示された回数) が、バニティメトリクスになりやすい指標と言われています。「Web サイトが見られている」という良い印象を得やすい指標なのですが、その反面「アクセスした人が、ショッピングサイトで買い物をしたか」などの具体的な情報は得られない指標だからです。
しかし、だからといって「ページビュー数はバニティメトリクスだ」と決めつけてしまってはいけません。
バニティメトリクス vs アクショナブルメトリクス
バニティメトリクスと対比される指標として「アクショナブルメトリクス (Actionable metrics)」があります。これは「次にとるアクションや意思決定に導いてくれる指標」のことで、データ活用でポイントとなる指標です。
ここで強調しておきたいのが、目的や状況に応じて同じ指標がバニティメトリクスにもアクショナブルメトリクスにもなりえるということです。先ほどバニティメトリクスの例に使われたページビュー数も、「ショッピングサイトでの売上」を見たい場合にはあまり意味のない指標 (バニティメトリクス) ですが、「Web サイト上の広告の表示数」を改善したい場合には大きな意味を持つ指標 (アクショナブルメトリクス) になるかもしれません。
バニティメトリクスを避けるには
KPI (Key Performance Indicator、業績が良好かを判断するための指標) の選択の指針として SMART があります。この SMART にならった指標の選択をすることで、バニティメトリクスを避けることができます。
KPI の選択基準 SMART:
- Specific (具体的) – 何を判断するためのものか誰にでもわかる指標、誰にとっても同じ意味をもつ指標
- Measurable (計測できる) – 基準を上回るのか下回るのかを、数値として理解できるような指標
- Assignable (設定できる) – 達成目標を設定できる指標
- Relevant (関連している) – 戦略や目的に即した指標
- Time-related (時間に関連している) – 時間軸で評価できる指標
以上のように指標の選定は SMART でスマートに行いましょう。
バニティメトリクスを見極めるための 3 つの質問
自分が使っている指標がバニティメトリクスであるかを判断するには、次の 3 つの質問を自分にしてみるのが良いでしょう。
- この指標をもとに、次にとるべきアクションや決めるべき事項が見えてくるか?
答えが「わからない」または「いいえ」の場合は、バニティメトリクスである可能性が大です。 - 指標が示す変化を再現させる方法を知っているか?
事象の因果関係を説明できない指標は、バニティメトリクスと言えるかもしれません。
偶然におきた出来事を、あても無しに待ち続けるのは非効率です。 - 事実を正確に反映したデータを使っているか?
意図的に操作されたデータや、信頼性の低いデータを使った指標から事実を読み取るのは至難の技でしょう。
バニティメトリクスに惑わされずデータ分析から素敵な情報を確実に引き出しましょう。