BI ツールを導入するメリットと留意すべき 6 つのポイント

BI ツールの導入を成功させるには? 6 つのポイントと導入事例を紹介

さまざまな形で集められる膨大なデータを、いかに有効活用できるかどうか。それが企業の競争力を左右するともいわれる昨今、BI ツール(BI プラットフォーム)は、データが指し示すメッセージを読み解くための有効な手段として需要が高まっています。

では、BI ツールの導入を検討している企業が知っておくべきこととは何でしょうか。 BI ツールの導入目的とメリット、導入を成功させるための 6 つのポイントのほか、BI ツールを導入した企業の導入事例などをご紹介します。

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BI ツールは質の高い意思決定を支援するために導入する

一般的に、企業が BI ツールを導入するのは、データにもとづいた迅速かつ質の高い意思決定を支援するためです。

「データにもとづいた意思決定、課題解決」とは、企業が蓄積するさまざまなデータを分析し、その結果からインサイト(洞察や気づき)を得て、判断や選択を行うということです。ほかにも、課題や問題を見つけて、その対応策を講じることも可能になります。

そもそも BI ツールは、データがなければ成り立たないツールです。一方、商品の売上データやマーケティングデータ、ビッグデータなどのデータも、その意味を読み解かなくては数字の羅列に過ぎません。BI ツールでデータを読み込んでビジュアライゼーションし、分析をすることで、データは企業にとって大きな意味と価値を持ち始めます。なお、ビジュアライゼーションとは、データの可視化ともいわれ、数値を図形などで表現して直観的にわかりやすくするものです。

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BI ツールの導入メリット

BI ツールを導入するメリットについても確認しておきましょう。 なお、本記事では、基本的にモダン BI と呼ばれるタイプの BI ツールのメリットについて説明します。モダン BI は、従来型の IT 部門がデータ分析に使うトラディショナル BI とは異なり、エンドユーザー自身が PC を操作してデータをビジュアライゼーションし、分析に役立てられるツールのことです。

データにもとづいた素早い意思決定ができる

BI ツールであれば、データにもとづいた意思決定をスピーディーに実践することができます。 刻々と変化するデータであっても、ほぼリアルタイムに最新の情報を取り込んで分析し、素早く対応することが可能です。

専門スキルがなくてもデータを分析できる

BI ツールを利用するのに、高度に専門的な知識やスキルは必要ありません。 応用的な操作や分析方法については学ぶ必要がありますが、基本的にデータアナリストのようなスキルがなくても、データをさまざまな角度から分析することが可能です。操作も直観的に行えるよう工夫されていることが多く、コードを書くような作業は不要です。

ビジュアライゼーションによって状況を理解しやすくなる

ビジュアライゼーションによるデータの可視化は、BI ツールの最も基本的な機能です。 データをグラフや図として表示してビジュアル分析することで状況を把握し、理解しやすくなります。

また、多くの BI ツールは、ダッシュボード機能を備えています。ダッシュボードとは、データをさまざまなグラフなどにして簡潔にまとめて画面上に一覧表示する機能のこと。ダッシュボードを使えば、データが示す内容をわかりやすく第三者に伝えることもできます。

レポーティングのための手間と時間を短縮できる

BI ツールは、データの分析結果を報告書や帳票として出力することもできます。 大量のデータであっても軽快な動作で処理できるので、Excel などを使う場合より、手間も時間も短縮可能です。モダン BI であれば定型的なレポーティング、非定型的なレポーティングのどちらも扱えます。

現場レベルでもデータを分析できるように

現場向けに設計されたセルフサービス BI を使えば、あらゆる社員が日常的にデータの分析とそこから得るインサイトを活用できるようになります。クラウドベースのセルフサービス BI ツールも普及していて、営業、マーケティング、販売、生産、流通、人事、総務など、多様な部門での利用が広がっています。

インタラクティブな操作でデータの深掘りが可能になる

BI ツールがあれば、必要なときにいつでも、手軽にデータ分析ができるようになります。 例えば、 Tableau のダッシュボードは、リアルタイムのデータを参照することができ、次々と必要な情報を見たい形で表示することができます。Tableau Cloud はクラウドベースで、Tableau Server であれば、クラウドでもオンプレミス(自社内で運用するシステム)でも利用でき、分析軸を変更しながらさまざまな角度でデータを検証するなど、インタラクティブな操作でデータを深掘りすることが可能です。

データや分析結果の共有ができる

データや分析結果の共有も、BI ツールが得意とするところです。 Tableau であればクラウドでもオンプレミスでも、スマートフォンやタブレットでいつでも分析結果を確認できます。経営層と現場、異なる部門間などで情報を共有することで、全社で常に視点をそろえることも可能になります。

データや分析結果からネクストステップを決められる

BI ツールの導入により、経営レベルでも現場レベルでも、データとその分析結果からインサイトを得てネクストステップを決められるようになります。 いわゆる、データドリブン経営も実践できるでしょう。

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BI ツール導入を成功させる 6 つのポイント

BI ツール導入を成功させる 6 つのポイント

BI ツールのメリットを最大限に活かすには、事前の準備と事後の努力が必要になります。続いては、BI ツールの導入を成功させるポイントを 6 つご紹介します。

ポイント 1 誰が何のために使うのかを明確にする

まず重要なのは、誰が何のために BI ツールを使うのかをはっきりさせておくことです。 経営層が社内のデータを統合して経営判断に活用するのか、定点的に KPI の観測をして異常や変化を検知したいのか、それとも現場に刻々と集まるデータを可視化したいのかなど、利用目的を明確にしておきましょう。

ポイント 2 どんなデータを活用するのかを明確にする

BI ツールにどんなデータを取り込むのかも、具体的にリストアップします。 社内の情報システム、クラウド上のデータベース、IoT デバイスで収集したビッグデータなど、BI ツールで扱うデータの種類を確認しておきましょう。製品によっては、Web アプリケーションが生成するデータとの、自動連携の仕組みを備えているものもあります。

ポイント 3 ニーズに応える機能があるかどうかをチェックする

ポイント 1 と 2 を踏まえて BI ツールの利用シーンを設定し、どんな機能を使いたいのかを考えます。 データのビジュアライゼーション、ダッシュボードを含むレポーティング、OLAP (オンライン分析処理)、データマイニング、データ共有などが BI ツールの代表的な機能です。

ポイント 4 オンプレミス型とクラウド型、どちらが良いか提供形態を検討する

オンプレミス型とクラウド型の、どちらが自社での導入に向いているかも検討しましょう。 ここ数年は、インターネットに接続する環境があればどこからでも利用できるクラウド型が注目されていて、PC だけではなく、スマートフォンやタブレットでも使用可能な製品が増えています。 一方、オンプレミス型は自社サーバーでデータを共有するため、強度の高いセキュリティ対策を構築できるといった点が特徴です。

ポイント 5 トライアル後、スモールスタートで導入する

最初は目的や用途を絞って一部業務で導入してみて、BI ツールの有用性を確かめてから本格導入につなげていくという方法があります。特に、クラウド型はスモールスタートに向いています。 Tableau など無料トライアルが用意されている製品もありますので、まずはスモールスタートする前に、ざっくりとした使用感や自社の業務とのなじみやすさ、操作性の良し悪しなどを試してみるといいでしょう。

ポイント 6 社内外のコミュニティーを活用する

製品によっては、ユーザー間で情報交換や意見交換ができるコミュニティーが形成されているものがあります。特に Tableau であれば、有益な情報交換が活発に行われているコミュニティーが多数存在しています。社内に部門横断型のコミュニティーを作り、BI ツールに関する情報や知見の共有を進めるのもおすすめです。 こうした社内外のコミュニティーの活用は、導入を成功に導く大きな力になるでしょう。

そのほか、ベンダーのサポートや、ベンダーによるラーニングリソースが十分に用意されていることも重要です。製品を選ぶ際は性能だけでなく、製品を取り巻く環境についても比較検討してください。

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BI ツールの導入事例

BI ツールの導入事例

最後に、BI ツールの導入事例をご紹介します。いずれも BI プラットフォーム Tableau を活用している企業の事例です。詳しい内容については、各リンク先の記事も参考にしてください。

「デジタル民主化」の手段として BI ツールを活用 AGC 株式会社

多岐にわたる事業を展開し、情報システムもさまざまなものが混在して稼働している AGC 株式会社。 以前は、それらのシステムから抽出したデータを、Excel で集計・加工していました。しかし、このやり方では資料作成のために 8 割の時間が費やされ、分析・仮説・検証する時間は 2 割しかありません。この状況を打開するために導入したのが Tableau でした。

基本的な考え方は、「システムはバラバラのままでも、集めたデータから有用な示唆を導出できる分析基盤を最短ルートで構築する」というもの。社内に BI ツールを活用するという文化を根づかせるために Tableau の事例共有会の開催、独自のカリキュラムの作成、社内講習会の実施など、コミュニティーを活発に進めてきました。 こうした取り組みが実を結んで Tableau の活用が拡大し、現在では社内のほぼすべての部門で使われるようになりました。社内のユーザー数も、2,800 名に上っています。

攻めの IT による DX の実現 -「デジタル民主化」の武器として Tableau を活用 -

船舶用運行支援システムの収集データを可視化 ジャパン マリンユナイテッド株式会社

ジャパン マリンユナイテッド株式会社は、2013 年 1 月に誕生した造船業のリーディングカンパニーです。 2019 年末から同社が建造するすべての船には、自社開発した船舶のための運行支援システム「Sea-Navi ®2.0」のデータ収集装置が装備されています。そこで課題となったのが、集めた膨大なデータをどう可視化するかでした。これまでは、簡単なデータ処理は Excel、大量のデータを扱う場合は Python や gnuplot を使用していましたが、使用に手間がかかることやプログラミング知識が必要であることが問題となっていました。

そこで、新たなデータ分析基盤として採用されたのが Tableau です。船舶の GPS 情報、速力、舵角、主機(エンジン)回転数、発電量など、約 800 点のデータを、衛星回線を通じてクラウド上の Sea-Navi ®2.0 に送信。そのデータをソースとして Tableau Cloud(クラウド版 Tableau)が処理し、事前作成しておいたダッシュボードで表示します。ダッシュボードでは、データの地図上へのマッピングや、直観的に理解しやすい配色によるグラフ化が実現されており、フィルタリングや分析軸の変更などの操作も可能となりました。

海上運輸の省エネ化と安全性確保に貢献する「Sea- Navi ®2.0

1 人から始まった BI ツール導入を全社に拡大 株式会社グッデイ

北部九州・山口に 64 店舗(2021 年 4 月現在)のホームセンターを展開する株式会社グッデイは、 2015 年に現社長(当時は副社長)が Tableau Desktop(オンプレミス版 Tableau)を 1 ライセンス購入し、個人的に利用するところから BI ツールの利用を始めました。その後、社内に「データ活用推進会議」を発足させるなど、積極的に BI ツールの活用を推進。人事総務部、財務経理部、部門長会議で Tableau が使用されるようになり、POS データや各種データを可視化して活用するカルチャーが浸透していきました。

さらに、コロナ禍では、オープンデータとして公開されている感染者数データや、Google が公表している人の移動状況のデータを組み合わせて社会的な状況を独自に把握。ホームセンターはライフラインだという認識のもと、店舗の時間帯別の来店客数などとも突き合わせて、「密な状態」を避けるには営業時間短縮は逆効果と判断することなどに役立てています。

感染者数や来店客数のデータを Tableau で分析、その結果にもとづき通常営業の継続を決断

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BI ツール導入成功のカギは、利用イメージの明確化と活用文化の醸成

BI ツール導入を成功させるカギは、導入前に目的や用途、利用シーンを明確にイメージすること。そして、導入後は社内にデータを活用する文化を根づかせる努力をすることにあるといえます。 何に使いたいのかがはっきりしているのであれば、まずは実際に試してみるというやり方も悪くありません。そこから、BI ツールの意外な利用法が開けていくこともあるでしょう。

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