監査とリスクのプロフェッショナルがインサイトを得るまでの時間をビジュアル分析でどのように短縮できるか
編集者注: Visual Risk IQ 社 (英語) は、財務と内部監査のプロフェッショナルがデータを見て理解できるように支援することを専門にした、長期にわたる Tableau パートナーです。同社は、あらゆる業界のクライアントとのデータ分析プロジェクト数 100 件を成功させた実績を持ち、職場内教育 (OJT) やメンタリングへのその画期的なアプローチは、インサイトを得るまでの時間の短縮に役立っています。
背景: データ分析は「目新しい」ものではない
財務、リスク、内部監査の世界では、データ分析は決して目新しいものではありません。財務や監査でスプレッドシートが普及したのは 30 年以上前のことであり、ビジネスの世界では従来のスクリプト言語やレポート作成ツールも同様に「成年」になりました。しかしテクノロジーの進歩にもかかわらず、ほとんどの内部監査プログラムはいまだに、「取引のサンプルを選択してください」と表示される必須ステップから始まります。
職業基準は 10 年以上にわたって、内部監査人が計画策定中にデータ分析の利用 (英語) を検討することを義務付けてきましたが、実際には多くの内部監査チームでサンプリングが一般的な検証手法であることは知られています。データの母集団全体の評価が行われる場合ですら、より強力なツールを使った検証と同程度の頻度で、スプレッドシートを使った検証が行われています。スプレッドシートを利用すると、特にデータ完全性に関して、監査人にとって潜在的な盲点が生まれることがあります。
このブログでは、クエリ設計を強化する方法と、リスクや監査の繰り返し手順を自動化し、スプレッドシートの利用から生じる可能性がある盲点を解決して時間を節約する方法を説明します。まず、効果的な監査チームがこうしたプロセス変更を実行するのに必要なスキルを取り上げます。そして次に、監査とリスクの機能で、サンプリングやスプレッドシート分析のみではなく、データ分析 (少なくともデータドリブンアラート) を取り入れることがなぜ必要なのかを解説します。
経験により、監査やリスクに焦点を当てた分析の繰り返し可能なプロセスでは、関連するビジネス上の質問を参照元データソースの理解と組み合わせるアプローチに変更を加える必要があることがわかっています。そこで私たち Visual Risk IQ 社 (英語) は、ビジネスとデータのプロフェッショナルが協力してビジネス上の質問をデータソースと結び付けられるようにする、QuickStart プロセス (英語) を開発しました。
データ分析にはどのようなスキルが必要か?
成功するための最大の秘訣は、財務と監査の分野の専門知識を、データ取得とデータ準備の同様に深い知識を持つチームメンバーでしっかり支えることです。セルフサービス型のデータ分析で成功するには、間違いなくこの両方のスキルが必要です。さまざまな業界で 200 件以上のデータドリブンな内部監査プロジェクトを成功させてきた私たち Visual Risk IQ 社は、このスキルの組み合わせが欠かせないと常に考えています。
資金調達の世界のデータ分析の手引き Body of Knowledge (英語) を作成した、Association of Professional Researchers for Advancement にならって当社が見出したのは、財務と監査のプロフェッショナルがデータ分析を成功に結び付けるために、次のような同様の専門知識の領域が必要だということです。
- プロジェクト管理
- データの取得と操作
- 統計のテクニック
- ビジュアルレポート作成のテクニック
- コミュニケーション
- 財務と監査の分野の専門知識
- 変革管理と戦略的思考
上の全スキルを 1 人の個人が持っていることは、あるとしても稀であるため、財務や監査に焦点を当てたデータ分析は必ず、個人ではなくチームで行うものとして捉えるべきだと当社は考えます。また、当社がとりわけ効果的なアイデアだと考えるのは、財務や監査のスキルを、データ特有のスキルとビジュアルレポート作成のスキルで補完することです。
当社の経験では、ビジュアルレポート作成のテクニックは多くの場合、財務や内部監査に関わる人々の間では、Body of Knowledge (英語) 記載のスキルの中で最も開発されていないものです。財務のプロフェッショナルは、問題を特定するためにすぐ確認のクエリを実行します。たとえば、ある注文書より前の日付の請求書がないか確認する場合です。しかし、最初に請求書と注文書の間隔の日数を調べて、平均日数、最短日数、最長日数を知る代わりに、「日付 A が日付 B より前ならすべてリストアップ」と書かれた確認用の表が最終的な答えだと見なすことがあまりにも多すぎます。財務と監査のプロフェッショナルはおそらく、確認のクエリを使う方が良いでしょう。というのも、スクリプト言語や従来のレポート作成ツールは、探索的クエリ (英語) の作成よりも確認のクエリの作成に向いているからです。
探索的クエリはデータディスカバリにつながり、セルフサービス型のデータ分析の未来にもより合致しています。Tableau のようなモダンなツールによって、データの母集団の探索や分析が簡単になるため、IT やプログラミングの特殊なスキルはもはや不要です。わずか数回のクリックで、取引を最大から最小の順に、あるいは古いものから新しいものの順にランク付けすることも並べ替えることもできます。またフィルターもいくつか加えると、探索を行え、スプレッドシートやスクリプト言語で見つかるものより優れたインサイトの発見も行える、インタラクティブなダッシュボードを作成できます。
ビジネス上の質問にチャートタイプを合わせる方法などのビジュアルレポート作成のテクニックを詳しく知るには、Stephen Few 氏の書籍とブログ『Show me the Numbers』 (英語) をお勧めします。Tableau を使ったビジュアルレポート作成で最も重要なテクニックの 1 つとして、ダッシュボードアクションと「Viz 内の Viz」があります。これは、全体像を示す探索的なチャート (時系列や部分対全体など) を使って、あるカテゴリーや日付範囲に特定されたランキングチャートを、選択またはフィルタリングできるようにするものです。このテクニックを使うと、最初の質問の答えを導き出しているユーザーが、新たなプログラミングを行わずに次の質問の答えを出せるようになります。
他の監査ツールとその欠点
スプレッドシートはさまざまな用途に使える可能性があり、ほとんどの監査人やアナリストはスプレッドシートを非常に使い慣れています。しかしスプレッドシートを使うと、データの全体像を求めている場合は、特にデータ完全性に関して潜在的な盲点を生み出すことがわかっています。スプレッドシートの数式でエラーが起こるリスクや、ファイルのスクロール、並べ替え、フィルタリングの最中に誤ってデータを変えてしまうリスクが大きすぎるため、内部監査のほとんどの用途でスプレッドシートは信頼できる選択肢になりません。通常の例外のクエリでデータの母集団全体を探索しても、スプレッドシートで一部のデータセットを操作しても、外れ値やパターンを見逃す可能性があります。また、全データのクエリをサポートするさらに強力な分析プラットフォームの使用に加えて、進化していくリスクと監査の機能を管理するために、チームには適切にスタッフを配置する必要があります。
内部監査業務でスクリプト言語を使うことがある組織でも、ツールを 1 ~ 2 回のみ使って、スタッフの変更に伴いツールを使わなくなることはよくあります。アドホック分析の高いコストを巡る考え方や現実により、そのようなスクリプト作成ツールは多くの組織で「シェルフウェア」 (使われないソフトウェア) になります。データ分析、特に探索的なビジュアル分析は、内部監査の計画策定や実施、レポート作成の中の、より定期的で繰り返し可能なプロセスにすることをお勧めします。
より良い監査のためのビジュアライゼーションの好例
当社で好まれているビジュアルレポート作成アプリケーションでは、探索的クエリの実行が可能であり、それがデータディスカバリにつながってセルフサービス型のデータ分析モデルを支えます。当社でよく使われる財務や監査のプロフェッショナル向けの例の中に、出張接待費の検証や政府調達カードがあります。この種の支出は事後承認であり、したがってたいていはエラー率が高いためです。
オクラホマ州の政府調達カードデータのこのダッシュボードは、重複や規定外の支出を示す外れ値をすぐに表示することができます。このビジュアライゼーションは、当社も気に入っている探索的クエリの 1 つです。
さらに最近では、ASC 842 (新リース会計基準) に影響を与える可能性がある支出のグループを把握するために、Tableau を使用しました。下のガントチャートでベンダー支払いの各行にある空白部分は、同様な金額の支払い間の時間を表します。縦線が一定の間隔になっている部分は、それらの支払いが、この新しい会計基準によって開示が義務付けられるリースを表している可能性が高いことを示します。
これまで、どのようなビジュアライゼーションを作成して、財務チームや内部監査チームにインパクトをもたらしましたか? さらにアイデアを求めている場合は、Tableau 財務部門コミュニティのユーザーグループへの参加を検討してみてください。ミーティングに参加して、他のユーザーと交流し学ぶことができます。
リスクの掘り起こしや監査の強化への事前対応型アプローチを取る方法については、Tableau の監査、リスク、およびコンプライアンス分析ソリューションページをご覧ください。
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