分析を活用して営業力を強化

営業チームはどのくらいの頻度で、勘に頼って重要な意思決定を行っていますか? このブログでは、営業力を強化するためにチームが確実に分析環境を利用できるようにする方法を紹介します。

あなたの会社の営業チームは、どのくらいの頻度で勘に頼って重要な意思決定を行いますか? 今進めている案件は、最適な価格が設定されていて、この四半期に受注されると自信を持って言えますか? 売上を増やせるような営業リソースがちゃんと割り当てられていますか?

私の経験では、大きな意思決定や計画で営業組織が勘に頼ると、高い代償を支払うことになります。ある会社では、売上が第 4 四半期のフォーキャストに大幅に届かず、翌年のすべてのノルマを再設定せざるを得なくなり、数週間もノルマの配分が遅れました。また別の営業チームでは、大規模案件の価格決定を経験と判断力に大きく依存して行っていたため、何百万ドルもの利益を失いました。さらに別の会社では、各地域の営業担当者の相対的生産性に関するデータを活用できていなかったため、売上を伸ばす機会があったにも関わらず、乏しい営業リソースを非効率的に割り当てていました。

データがどこにでもある今日、あまりにも多くの企業がデータと分析環境を営業力の強化に活用できていません。

なぜ、多くの企業がデータを有効活用できていないのでしょうか? 歴史的に、営業は技術とみなされてきました。営業は人々を中心に展開されるものであり、そこには感情、信念、意見が伴い、顧客やパートナー、営業組織の同僚との関係を慎重に管理することが必要とされます。データにアクセスし、データを使って何をするのかを考えることは、大変な努力を必要とします。しかし、モダン BI プラットフォームが登場し、売上実績データへのアクセスがさらに簡単になるにつれて、科学技術を営業に利用することが営業組織の管理における主要な差別化要因となっています。営業計画と実績管理の基盤としてデータと分析を採用している企業は、営業の生産性の劇的な向上を達成することになります。

具体的にどうなるのでしょうか? そこで営業で高度な分析を活用した事例を紹介します。

  • 価格設定と割引の改善: 多くの営業担当者およびリーダーは時間に制約があり、データ分析を活用して価格設定を効果的に行うためのトレーニングを受けていません。そのため、簡単に速く顧客の購買プロセスをスピードアップさせるために、すべての顧客に同じ価格を提示したり、決められた割引率を適用したりすることが頻繁にあります。営業担当者は通常、同じような顧客に対する同じような案件で、他の営業担当者が自分より高い価格を達成できていることを知りません。この点で、データと分析を活用すれば利益向上に繋げることができます。これまでのすべての売上データを検索できる高度な分析プラットフォームがあれば、営業リーダーは、改善の余地のある価格設定を行っている領域を把握し、営業チームにその案件構造を再考するように求めることができます。
  • 予測の正確性の向上: 案件の予測において営業リーダーの判断は重要ですが、往々にして人間の判断は、案件および営業チームに起こりえることの評価において、分析モデルよりもはるかに劣ります。データは嘘をつきません。チャンスについてのデータ (顧客のこれまでの購入行動、営業担当者の業績、製品タイプ、販売ステージなど) を活用することで、予測モデルは従来の「ロールアップ」プロセスよりも正確な予測を実際に提示できます。このようなタイプの分析モデルを使用すると、人間が行った判断を分析し、部下たちの予測に対し「上司のご意見」を上乗せしようとする管理者ミーティングに費やされる、多大な時間を削減することもできます。
  • 顧客離れの抑制: 顧客行動 (サポートへのリクエスト、トレーニングクラスへの参加、Web サイトでのエンゲージメントなど) を包括的に理解することで、営業担当者およびカスタマーサクセスマネージャーは、他に乗り換えるリスクのある顧客をより正確に特定し、顧客離れを回避するための予防措置を講じることができます。マーケティングでも、離れていくリスクのある顧客をターゲットとし、全体のエンゲージメントを向上させるようにアウトリーチできるようになります。

営業組織内でデータと分析を基盤として確立することは容易ではありません。それを可能にするために組織のリーダー達は、これらの新しい機能の構築に必要となるデータ、システム、人材の獲得に、時間とリソースを投資する必要があります。私の経験では、データの準備と分析を行い、その分析結果を効果的なアクションプランに反映し、営業全体の変革管理を主導することに必要な権限とリソースを有する営業分析チームを構築することが不可欠です。営業を導く営業分析チームは、分析から得たインサイトを売上向上のチャンスに結び付け、会社全体のリーダーたちにとって信頼されるアドバイザーとなります。そのすべては、ガバナンスから、準備、分析、レポーティングまでの強固なデータ基盤の上に構築されます。

「営業の科学」の確立

営業で分析の力を活用するための新しいしくみの構築は、データを整備し、準備し、適切に管理することから始まります。データが広く使われている CRM システムのものであるなら、強力なモダン分析プラットフォームで分析するべきです。前述したとおり、データを理解し、分析からインサイトを収集し、業績を向上させる効果的なアクションを営業リーダーに薦められるようになるには、正しく分析的思考ができる営業分析チームのスタッフを配置する必要があります。

1) データの整備から開始する

企業は、種類の異なるデータソース、部門のサイロ化、レガシーのソフトウェアに伴う苦労をすでに知っています。不完全なインフラストラクチャでは、業績や成長、開発が妨げられます。高度な分析環境を全社規模に拡大するということは、つまり統一したデータの定義と営業プラクティスを持つということです。そのためには、データに適切な質問をし、分析を実行し、次に何が起きるかを見定めることができるスタッフが必要です。

2) 営業担当者に適切なソリューションを提供する

グローバルに見て、会社の CRM システムはどのように使用されていますか? アカウントと商談の階層が、すべてのチームで同じように定義および構造化されていますか? 「Closed won」 (受注案件) という言葉の意味は、たとえば中小企業向けの営業チームと大企業向けの営業チーム、英国のチームとオーストラリアのチームで同じように捉えられていますか? CRM 内で定義と階層を設定することが、よりクリーンなデータを作成するためのベストプラクティスです。信頼できる 1 つのソースを提供するために、直感的なデータ準備ツールを備え、高度な分析機能を最大限に利用でき、CRM およびその他のデータソースに接続できる分析プラットフォームを採用しましょう。そうすれば、モダン BI 機能を活用でき、拡大も迅速に行えます。

3) 探求心とやる気のある技術に詳しい人材を雇用する

成功に向けて組織を準備するためには、データ分析の定義とプロセスの標準化だけでなく、適切な人材が必要です。営業分析チームのスタッフは、ビジネスチームにとって信頼できるアドバイザーであり、営業計画とリソース最適化をサポートする要員であるべきです。営業分析チームの真の ROI を得るためには、チームをバックオフィスでのレポート作成業務に追いやるのではなく、高度な分析を使用できるよう、組織からのサポートとテクノロジーリソースをチームに与えるべきです。適切な分析プラットフォームを持ち、適切なデータに支えられた適切な人材こそが、営業力の向上を推進するのです。

「営業の科学」を利用したあるブランドの成功

LinkedIn は、データと分析を使い成功につながるインサイトを与え、営業チームを強化しました。同社はそれまで、社内のデータベース、Google アナリティクス、Salesforce.com、サードパーティのツールを使用して、1 ペタバイト以上の営業データを保存していました。1 人のアナリストが毎日、500 人以上の営業担当者からのリクエストに対応し、最大で 6 か月に及ぶレポート待ちが発生していたため、チームメンバーは自身の実績が分からず、顧客関係がどのような状況にあるかを把握できませんでした。

ビジネス分析チームは顧客データを一元化するために新しい BI プラットフォームを採用し、ダッシュボードを使用して実績の追跡と顧客離れの予測を行いました。同チームは、さらに詳細な分析をサポートするために、BI プラットフォームの予測モデルも活用して顧客離れを予測しました。これが営業チームにとって、顧客離れのリスクがあるアカウントでのカスタマーサクセスを増加させる推進力となっています。これによって、よりプロアクティブなセールスサイクルが実現し、収益が増加しました。ビジネス分析担当シニアディレクターである Michael Li 氏は、次のように語っています。「構築した BI ソリューションをいかに拡大してスケーラビリティを実現するかにフォーカスし、営業チームが必要な情報をタイムリーに手に入れられるようにしました。今では、営業担当者がセルフサービスで必要なものをすべて手に入れられるワンストップショップとなっています」。

現在、同社の 90% の営業担当者が毎週 BI ソリューションにアクセスしています。売上実績全体を追跡し、詳細に分析してカスタマーエクスペリエンスを把握することで、営業チームはいつ顧客の製品使用率が増加するかを特定し、積極的に商談機会につなげ、売り上げの増加と顧客離れの回避を実現しています。

適切なプロセス、システム、人材を用意して、主要な営業データを取得、準備、分析すれば、どの営業組織でもより優れた意思決定を行えるようになります。営業計画と実績管理へのアプローチの中心にデータを据えれば、成長と生産性で変革を実現することもできます。

データ分析を活用してモダンな営業組織として成功し、より科学的に営業を行うには、Tableau の営業分析ソリューションのページを参照してください。データと営業に必要なすべてが用意されたワンストップリソースです。営業分析に新しい優れた可能性をもたらします。