ヤフー株式会社、人材育成の仕組み化・スケールアップによって5,400人のデータスキルを強化

スキルアップした社内 Tableau ユーザーは 5,400 人 - 5 年間で 2,600% 増加

広告関連のデータ自動化により提案数と受注件数の拡大を実現

データ主導で PDCA サイクルを改善して年に 1,500 時間節減

ヤフー株式会社は、インターネット初の日本語検索エンジンを提供する会社として設立され、その後現在に至るまで、日本最大級の総合情報サイトを運営し、ショッピング、ニュース、旅行など 100 種類近くのサービスを展開しています。

サイトのエンドユーザー数は月間 8,600 万人以上にのぼり、膨大な量のデータが生み出されています。同社はこのデータをマルチビッグデータと呼び、サービス提供の改善と事業成長の促進に活用しています。

同社ではマルチビッグデータから迅速かつ容易にインサイトを引き出すことを目的にして、2017 年に Tableau を活用し始めました。社内のユーザーは当初わずか 20 人でしたが、包括的な人材育成プログラムにより 5,400 人にまで増加しました。同社の Tableau ユーザーは今や、データドリブンな意思決定を従来よりもスピーディーに行えるようになり、広告受注の拡大などの成果につなげています。

 

CoE(Center of Excellence : Tableau推進)チームが、トレーニングと普及を促進

ヤフー株式会社では従来、自社開発のツールを使ってマルチビッグデータを分析していましたが、市場の変化をすばやく把握して対応するには分析のスピードアップが必要でした。また、レポート作成にかかる時間を短縮し、将来の分析上のニーズに対応するための解決策も求めていました。

Tableau は、こうした課題すべてに対応するソリューションでした。そこで同社は手始めに Tableau を 1 つの部門に導入。やがて全社規模で運用を開始し、さらには、普及を推進するべくCoE(Center of Excellence : Tableau推進)チームも設置しました。

当社のマルチビッグデータは、他社には真似できない価値を生み出します。CoE では、このデータから誰でもすばやく効率的にインサイトを導き出すための手段として Tableau を推奨しています。

CoE(Center of Excellence : Tableau推進)チームは当初、Tableau のトレーニングセッションを毎月開催していました。その後、要望の高まりに応えて、スキルベルトプログラムを導入するとともにトレーニングをオンラインに移行しました。

「ヤフー版スキルベルトはアクティブラーニングとゲーミフィケーションを活用したプログラムで、大きく 3 つのポイントがあります。第 1 に、分析スキルの向上に役立つよう豊富なコンテンツを用意していること。第 2 に、ゲーム感覚で学習できること。第 3 に、参加ユーザーの進捗状況をビジュアル化して互いに比較できるようにしていることです」と語るのは、ヤフー株式会社データ統括本部データアプリケーション本部で Tableau CoE スペシャリストを務める長野紋子氏です。

このスキルベルトプログラムは 8 つのコースで構成されており、Tableau 初心者から上級者までを対象とする 150 の学習コンテンツがあります。コースの種類は、Viewer、Creator、ビジュアルベストプラクティス、Tableau Prep、社内データ環境サイト管理者、新機能、そしてオプショナルチャレンジ(応用問題)です。

スキルベルトプログラムでは、社員は自分のペースで学習できます。また、最初に Tableau の仕組みを学んでから、実践的な情報 (社内データベースへの接続方法など) の習得に進めるようになっています。

さらに、それぞれのモジュールやコースを修了するたびにポイントを獲得してレベルアップすることもできます。この仕組みが健全な競争を促し、その結果、学習コンテンツの修了件数はこれまでに延べ 15,000 件にものぼっています。

 

オンライン学習を補強しベストプラクティスを広める CoE

スキルベルトプログラムを通じて、社員はデータを読み解くのに必要不可欠なスキルを身につけることができます。しかしCoE(Center of Excellence : Tableau推進)チームは、基礎の習得に留まらず、Tableau からより多くの価値を得られるよう支援したいと考えていました。

そこで、スキルベルトプログラムで提供されるオンライン学習を補うために 3 つの施策を導入しました。1 つ目は、役立つTipsやナレッジを個人やチームが他のユーザーと共有するように働きかけるキャンペーン。2 つ目は、データビジュアライゼーションのベストプラクティスを広めるための Viz コンテスト。3 つ目は、ヤフーが社内で運用しているTableau アンバサダープログラムです。このプログラムは現在も実施されており、スキルベルトプログラムで得た学びを深めたいと考える社員向けに、セミナーやイベントも開催されています。

 

データドリブンな組織文化がビジネス成果を加速

ヤフー株式会社では現在、全社的に Tableau を活用してデータを読み解き、データに基づいてアクションを起こせるようになっています。たとえば同社の広告部門は、計画策定や商談のための情報を提供するダッシュボードを作成しました。このダッシュボードにより、レポート作成にかかる時間を 70% 削減できました。空いた時間は販売提案の作成に費やせるようになり、受注件数も増えています。

Tableau で得られるインサイトは同社の PDCA サイクルの効率化にも寄与し、6 人体制の 1 つのチームだけでも年間 1,500 時間の節減につながっています。自動化による効率化に加えて、社内データと外部ソーシャルメディアデータや市場データとの結合にも Tableau が役立っています。その結果、営業提案に利用できる新たなインサイトが得られるようになりました。

よりお客様のニーズに即したソリューションを提案できるようになり、それが信頼の獲得につながっています。