コールセンター、デジタル、修理出張の全チームでカスタマーサービスの分析時間を 50% 短縮
特定の顧客コホートでコール数を 43%、技術者の出張回数を 62% 削減
Hadoop、Teradata、Oracle の数十億行のデータを取り込んで、1,500 以上のダッシュボードを作成
Verizon Fios は、ブロードバンドインターネット、固定電話通話、ケーブルテレビサービスなどを光ファイバーで数百万の顧客に提供する、家庭向け接続ソリューションを提供しています。そのサービスには、690 万のブロードバンド接続利用者、450 万のテレビ加入者、1,220 万の固定電話利用者がいます。そのため、数十億行のデータ (最大 1 日 4 TB) が生成される複数のデータソースがあり、それを分析センターオブエクセレンスチームが管理しています。別の見方をすれば、合計 10 TB に上る米国議会図書館蔵書のほぼ半分だと言えます。
80 人以上が所属する Verizon 社分析センターオブエクセレンス (ACE) チームは、同社のデジタル、コールセンター、修理出張、マーケティング、財務の各部門でデータサイエンスと高度な分析を用いて、業務の最適化とカスタマーエクスペリエンスの向上を図りました。同チームは Hadoop、Teradata、Oracle のオンラインとオフラインのデータを抽出し、サイズを小さくしたデータセットにした後、Tableau で分析しました。この効果的なアプローチによって、ダッシュボードが 200 人以上の関係者の手に遅れずに渡り、分析されるようになりました。関係者は、経営陣から顧客に接するコールセンターのスタッフまで幅広く、Tableau で見出される日々のインサイトにより、質の高い意思決定と優れたカスタマーサービスの提供が行われています。
ACE は Tableau プラットフォームを活用して、運営、ビジネス変革、プロダクト開発、マーケティング、ソフトウェアエンジニアリングの各チームが利用する、1,500 以上のセルフサービスのダッシュボードを作成しました。そのインタラクティブなダッシュボードには、データがクリーニングされ利用できる状態になっていることを保証する、管理されたインフラストラクチャで、125,000 回超のビューがありました。また、Fios チームが Tableau と R、Tableau と Mapbox の統合機能を活用しながら、地理空間マッピング機能でロケーションベースのインパクトを理解し、顧客とのチャットセッションのテキストを分析しているため、Tableau の導入も進みつつあります。こうした取り組みが、カスタマーサービスの問題解決に役立ったとともに、Fios の顧客満足度も向上させ、コール数、修理出張の回数、運営コストが低減しました。
分析センターオブエクセレンスはデジタルとコールセンター運営に分析プロセスを拡張
Verizon Fios では、手作業による Excel 表を使って、デジタルやコールセンターの指標などのデータが分析されていました。その結果は、静的なレポートの形で複数のチームに配布されていました。しかし、分析前のデータ結合により、データ取得元として複数のソース (Oracle、Hadoop、Teradata) を扱うのは難しいことがわかっていました。分析のためのリソースが限られている一方で、対応するべき関係者も非常に幅広いため、そのプロセスはボトルネックと冗長性を生み出すとともに、ユーザーもデータを簡単に理解して自分の質問に答えを出すことができない、非効率的なものになっていました。コンタクトセンター分析担当アソシエイトディレクターの Gregory McConney 氏は、分析スタッフについて次のように述べています。「高度な分析や、会社が前進できるようにするための予測モデルと機械学習ソリューションの構築に取り組んでいます... 会社の関係者が自分でできる場合は、基本的なインサイトを引き出す作業はしたくないと考えています」
Verizon 社は、分析センターオブエクセレンス (ACE) 構築に人材を投入して力を傾けました。80 人以上いるチームのうち、ほぼ 30 人が Tableau で分析して、主な関係者にインサイトを提供しています。他のメンバーは、Tableau を使う開発者やサーバー管理者に引き継ぐ前のデータガバナンス、データ準備、モデリングを支えています。「私たちの最初の仕事は、拡張と自動化が行えるようにデータを適切に構造化することです。データを適切に構造化すること、そしてその上に最も直感的に情報を伝えられるビューを作成することに腐心しています」と、Verizon 社でデータ分析担当シニアマネージャーを務める Sid Dayama 氏は説明しました。
一連のダッシュボードを作成する前、ACE はニーズを見極めるために関係者との計画会議を何度か開きました。ACE は、意思決定の方法をトップダウン型から変革する効果的なディスカッションを支える、読み込み時間を高速にするために最適化されたダッシュボードを作成しました。
誰もがダッシュボードを利用し始めると、ビジュアライゼーション内の細かい情報やフィールドの定義を示すツールヒントなどの機能により、チームは一層効率的にインサイトを発見できるようになりました。チームは現在、カスタマーエクスペリエンスをさらに向上させるために、プラットフォームの他の機能も取り入れ、別のチャートタイプを使おうと期待を寄せています。
当社にあるどのソフトウェアのデータでも使える Tableau は、本当に素晴らしいですね。それに、すべてを結びつけてテキストマイニングをダッシュボードの形にすることは、私たちにとって大きなマイルストーンでした。
コールセンターはキャパシティを高め、分析時間を 50% 短縮して顧客のルーティングとセンチメントを向上
顧客は、Verizon 社のサポートチームといくつかの手段で連絡を取ることができます。オンラインチャットやコールセンター、そしてデジタルチャネルで始まりコールセンターで終わるクロスチャネルです。しかし、Verizon 社は顧客がデジタル的にセルフサービスを行い、コールセンターは避けられればいいと考えていました。顧客が回答や技術者の出張を待たずに済むようにして、高い満足度を維持するためです。何より、コールセンターに何度も連絡がある状況を望んでいませんでした。これは問題が解決していないということであり、効率の低下や、コールセンターと出張チームの運営コストの上昇につながるからです。
顧客セグメントによってコール行動が異なることを理解した ACE は、特定の顧客コホートに最適化されたルーティングソリューションを構築しました。そこで活用されたのは、ビジネス変革、分析、IT、コールセンター運営などのチームが、コールセンターの顧客エンゲージメントを分析しコールのセンチメントを監視する、Tableau のダッシュボードです。
分析チームは、顧客の利用期間の長さ、利用しているプロダクト、コールのきっかけ、コールの頻度、平均処理時間、問い合わせ時のコールのセンチメント、年齢などさまざまな情報を調べて、顧客基盤の各個人に対して 17 種類の属性を分析します。次に、顧客はカテゴリー分けされ、対応のための異なるコホートに分類されます。
そうした個人のコホートは、問題の繰り返しを防ぐために、熟練したコールセンター担当者がリクエストを処理する、特別なサポートキューにルーティングされることになります。コールセンターの担当者は Tableau のダッシュボードにより、対応している顧客のコールパターン履歴などの背景情報を見て、効果的に問題を解決し、顧客が何度も電話する必要を減らすことができます。
チームは Tableau のアラート機能を使って、条件を設定した視覚的なしきい値をコール数が下回ったときに通知されるようにしました。通知されると、あるアルゴリズムが実行されて高度な要求の顧客群を新たに見出し、その担当者に新しい顧客リストを割り当てます。
「基本的にプロセス全体から人的な要素が取り除かれていて、うれしいですね」と、McConney 氏は語っています。
顧客のコール行動と、コールセンタースタッフの業務キャパシティを状況的に認識することによって、Verizon 社は顧客からのコールの処理で効果を向上させ、繰り返しのコールの数を減らして、全コール数で 43% の低減を達成しました。また、Tableau のダッシュボードによりカスタマーサービスの分析時間も 50% 削減され、顧客の問題解決までの時間が短縮されました。ダッシュボードは、高位のマネージャーが戦略の策定に利用しているほか、毎日コールを受けて、コール行動やパターン、過去のトレンドを把握する必要がある、最前線の担当者にも利用されています。
ダッシュボードから得られるインサイトは、コールセンター業務を最適化して、お客様に何度も電話をかけていただく必要を減らすのに役立っています。こうしたタイムリーなダッシュボードを監視していると、解決率と顧客満足度指数が上昇するにつれて、大きなコストドライバーであるコール数と出張数が減少することがわかります。
チームは Tableau の地理空間マッピングで修理出張のインパクトを監視
Verizon Fios では、問題解決のために自宅への複数回の出張を必要とする家庭がありました。複数回の出張の必要性を減らし、顧客満足度を向上させる一助にするために、ACE チームは一連の Tableau ダッシュボードを作成しました。これらのダッシュボードは、出張チームが州や郵便番号のレベルだけではなく、個々の家庭のレベルでも、現場技術者の出張による地理的なインパクトを監視するのに役立っています。
ダッシュボードでは、690 万の Fios 顧客に対する出張が分析され、作成されたチケットの数、チケット率、行われた出張の回数、全体的な出張率などの KPI が示されたほか、出張によるコストインパクトも調べられました。ユーザーはさらに、顧客タイプ、出張の理由であるさまざまな問題のタイプ、有線インフラストラクチャの複数の他要素などのディメンションで、そうした KPI を多角的に分析することができました。
Tableau が持つ Mapbox 統合などのマッピング機能により、チームはヒートマップでロケーションベースのインパクトを把握できるようになったほか、チケット率や出張率が高すぎたまたは低すぎた場所、頻繁な出張につながった変動要素も明らかにしました。
その結果、Verizon 社は技術者出張の分析時間を 50% 以上削減し、組織としての他のニーズを地理空間マッピングでどのようにサポートできるかを見出しました。
Tableau の R および Python 統合機能でデジタルプロダクトの分析を深化
Verizon Fios では、より強固な顧客エンゲージメントを支えることを目的にしたデジタルプロダクトがリリースされました。その中のひとつが、2017 年にリリースされた、Facebook Messenger 上の Fios チャットボットです。これをはじめとするプロダクトは、顧客がブランドとやり取りし問い合わせるのに役立ちます。獲得、エンゲージメント、顧客受容性、プロダクトの効果に関連する重要業績評価指標 (KPI) を監視するために、分析とレポート作成の機能は欠かせません。
ACE は Fios チャットボット専用の KPI を設計し、顧客の導入と利用の状況を監視しました。カスタムの日付を使ったパラメーターを Tableau で利用することにより、プロダクトのパフォーマンスを経時的に測定して、日単位、週単位、月単位の変化を評価しました。また、チャットのセッションから意味を抽出するために、Tableau の R 統合機能を使ってテキスト分析も行いました。表に生の文字列フィールドとして保存されている顧客とのチャット記録に対して、カテゴリーのキーワードを抽出するために、テキストの事前処理が行われました。 「この作業はすべて R で行われ、単語の出現頻度に基づいてデータが集計されています。次に、私はそれを Tableau に読み込んで、出現頻度で色とサイズを割り当ててワードクラウドに視覚化しています。この手法は、ボットとチャットしている間のお客様の考え方を理解するのにとても役立ちました」と、Dayama 氏は説明しています。
Tableau の柔軟性は、顧客がボットに尋ねる質問の各カテゴリーで、ACE やデジタル、カスタマーサービスの各チームが返答を追跡するのに役立ちました。抽出された情報は、ボットが認識できる質問を増やし、問題解決に向けて適切に返答できるようにするために、ボットのインテリジェンスのトレーニングに使われました。またこの知識を用いて、顧客エンゲージメントで最も利用度が高い時間が見出され、停電や、Fios TV のペイパービューのスポーツイベントなど、問い合わせ数が多い出来事に対応するためのスタッフが増やされました。
Verizon 社が R を Tableau に統合したのは、それが初めてのことでした。しかし、同社の経営陣がプロダクトリリースに対する顧客全体の反応を理解したり、インサイトをプロダクトのマーケティングや計画に生かしたりするなどの成果が見られたことから、同社は他のソースも Tableau に統合するようになりました。分析の導入をさらに拡張するために、ACE は TabPy を利用して、Python モデルも Tableau で活用しています。
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