TDK Corporation

Tableau を全社共通のプラットフォームに


直感的かつ瞬時にデータを可視化

データ集計時間の大幅な短縮

TDK

導入の背景

なかなか実現できなかったセルフサービス型BI

「持続可能で幸せな社会の実現」に向け、テクノロジーを生かした社会貢献を続けているTDKグループ。現在は「Digi-TDK」を掲げ、「エネルギートランスフォーメーション(EX)」と「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という2 つの変革によって、サステナビリティへの取り組みをさらに加速させています。これを支える上で重要な役割を果たしているのが、積極的なデータ活用です。

「データにもとづいた意思決定の重要性は、それ以前からも強く意識されていました」と語るのは、TDK の情報システム部門でBI関連システムを担当し、現在はビジネスシステムグループ業務支援グループ Tableau 推進チームのリーダーを務める青木 孝雄 氏。しかしTableau 導入前は、社内開発のExcelVBA の利用が中心で、BI 製品の導入にも挑戦したがユーザー自らが思い通りに使いこなす状況にはなかなかならず、Excel シートでの分析が多かったと振り返ります。

「VBA やWeb でスクラッチ開発したツールを提供していましたが、データをビジュアライズする機能が弱く、このツールでクロス表を出力した上で、ユーザーがExcel で二次加工するという使い方が一般的でした。この他にも、ライセンスを持っていた他の製品を実際に使ってみたり、セルフBI 分野で類似する他の有名ツールでも検証しましたが、セルフサービス型でデータ分析を自由自在に行えるという状況には、なかなか至りませんでした」(青木氏)。

 

Tableau の導入・運用環境について

一部門での利用から全社共通のプラットフォームに

このような状況の中、青木氏はある事業部の事業部長から「部下がデータ分析で毎月かなりの時間を取られている、最近は Tableau がいいという話を聞くがそれは使えないのか」という相談を持ちかけられます。これを受けて青木氏のチームは、Tableau Desktop を使った改善案を提示。その結果、満足してもらえる結果が得られたと振り返ります。

その後、マーケティング部門でも Tableau を利用したいという声が上がり、Tableau Server を導入。2019年には本格的な全社展開が行われ、TDK 標準のBI プラットフォームになります。その後、Tableau の利用は急速に増加し続けており、2021年7月時点のユーザー数は約1,100 名、月間アクセス数は1 万を突破しています。

その中でも特に活発な Tableau 活用を行っているのが、TDK 電子部品ビジネスカンパニーの中で5G チップアンテナなどの生産を担っている、コミュニケーションデバイスビジネスグループです。

「Oracle データベースに保存されている設備のログデータ/工程実績データと、PostgreSQL に保存されている製品情報データを、 Tableau Prep Builder で組み合わせて1つのデータソースにした上で、Tableau Server にパブリッシュして分析しています」と説明するのは、同グループ Mobile RF Components 統括部 生産技術部で部長を務める越後谷 学 氏です。「Tableau が使いやすいので、分析対象のデータがどんどん増えています。IoT には5年前から取り組んできましたが、Tableau を導入したことでようやく分析プラットフォームが確立されたと感じています」。

圧倒的なレスポンスの速さです。グラフ表示のスピードだけではなく、外部のデータソースからのデータ取り込みも、迅速に行えます。

Tableau 選定の理由について

直感的な操作感とグラフの見た目がセルフ化を容易に

全社BI プラットフォームとして Tableau が採用された理由は、大きく3つあります。

第1 は直感的に操作できることです。「セルフサービス型BI を実現するには、ユーザーに使いやすいと感じて貰う必要があります」と青木氏。Tableau はExcel のピボットテーブルと同じようなイメージで直感的に使うことができる上、フィルター等の選択もシンプルに行うことができ、計算式のバリエーションも豊富だと言います。

第2 はビジュアライズの美しさです。Tableau はデフォルトのままでも、グラフの見た目が良く、ユーザーが興味を持ちやすいのだと青木氏は指摘します。

これらに加え、コミュニケーションデバイスビジネスグループ Mobile RF Components 統括部生産技術部で課長を務める築山 聡 氏は、第3の理由として「幅広いデータソースから膨大なデータを迅速に取り込めることも重要です」と語ります。「数千万行に達するビッグデータでも、Tableau ならものの数分でパブリッシュ可能です」。

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これまで漠然としていたイメージが、データとして明確に可視化されました。また多種多様な項目を色分けすることで今まで見えなかった傾向も見ることができ、海外拠点とのデータ比較も簡単に行えるようになりました

Tableau の導入効果について

データを活用した改善活動の加速に

Tableau 活用で得られている効果について、越後谷氏と築山氏は次のように語ります。

直感的かつ瞬時にデータを可視化

「Tableau によってデータを簡単に可視化できるようになりました。もちろんExcelでもグラフは作れますが、Tableau はより直感的かつ瞬時にグラフが作成できます。体感的にはExcel の10倍の速度で、自由度も高い。プログラミングができない自分が、まるでプログラマーになったかのような感覚です」(築山氏)。

データ集計時間の大幅な短縮

「データ集計時間も大幅に短縮されました。以前はExcel で何日もかけて集めたデータをクリーニングしていましたが、今ではすぐに完了。業務によっては作業時間を99%削減できたケースもあります。私自身は Tableau Prep に惚れ込んでいます」(越後谷氏)。

データの見方も変化

「Excel シートでは結果しか見せられませんが、 Tableau はその背後をどんどん掘り下げられます。また設備の稼働率や工程の歩留りなどを自動集計し、日々の最新状況をVizで表示することも可能になりました。その結果、問題発生時の原因究明が行いやすくなり、改善の時間も大幅に短縮されています」(越後谷氏)。

工場内はもちろんですが、海外拠点のデータも共有してワールドワイドで同じTableau の画面を見ながら、色々な議論ができることを夢見ています。

今後の展開について

全てのデータをつなぎ一気通貫で可視化

「将来構想としては、受注から製造、在庫、販売、出荷に至るまで、全てつないだ一気通貫の製品トレーサビリティの実現を目指します」と築山氏。この一連の流れが可視化できれば、PDCA をもっと早く回せるようになると語ります。「また目まぐるしく変化するお客様のご要望に対応するため、データ分析をベースにした生産キャパシティシミュレーションにも取り組んでいきたいと考えています」。

さらに越後谷氏は「理想形はデータが全てつながること」だと言及します。「これには工場内、社内のデータだけではなく、社外の市場データも含まれます。これら全てをつなげるプラットフォームとしても、Tableau は重要な役割を果たすはずだと期待しています」。

今後はこのような事業部の要望に応えるため、Tableau に取り込むデータソースのさらなる整備を進めていくと青木氏。「欲しいデータはTableau Server に全て揃っており、あとは好きな切り口で分析するだけ… このような仕組みをグローバルに提供できるよう、 Tableau 推進チームとして環境整備に注力していきたいと考えています」。

TDK Graphic

TDKコミュニケーションデバイスビジネスグループでは、Tableauを使って工場の生産状況や出荷情報等を可視化。
データ集計作業は必要なくなり、皆が必要なデータを瞬時に確認できるようになっている。