初等中等教育でデータスキルを教えるための興味を引き出す効果的な枠組み
毎年約 400 名の 7 年生が学習と研究の補助としてデータを探索、理解する能力を習得
1917 年に設立された南洋女子中学校 (NYGH) は、シンガポールでも屈指の伝統と評判を誇る学校です。その特徴は、グローバル化した 21 世紀の世界で成功できるように生徒の能力を伸ばすための総合的な教育にあります。今ではその教育に欠かせない一環として、データリテラシーを 7 年生 (中学 1 年生) に教えており、Tableau もそれを支援しています。
「考えるためにも情報を利用するためにも、今は日常生活でデータリテラシーが不可欠な時代です」と語るのは、同校で情報通信・教育工学担当責任者を務める Han Pin Goh 氏です。「ですから、データリテラシー教育は、違いのわかる消費者、知識の創造者に成長させるために、どの学校でも生徒に与えることのできる贈り物なのです」
NYGH の生徒がデータリテラシーのメリットを実感し始めていることから、同校のプログラムに関するインサイト、そして他の教育機関で生徒をデータドリブンな未来に備えさせるためのアドバイスについてお話を伺いました。
生徒の自主性による管理を重んじながらも、必要なときには助けてもらえるのが嬉しいですね。好きなものを試行錯誤しながら作る自由があり、困ったときにはすぐに尋ねることができるので、とてもやりやすかったです。
データスキルを学び始めるのに早すぎるということはない
すでに多くの高等教育機関が、学生にデータスキルを身につけさせることの重要性に気づいています。NYGH が実証したのは、高等教育よりさらに早い時期から生徒はデータスキルを学び、応用する能力を持っているということです。
7 年生の教育課程にデータビジュアライゼーションを取り入れるという同校の決定について語った Goh 氏は、現在手に入るデータを利用しないのは生徒にとってもったいないことではないかと述べました。
「いま学ばなくていつ学ぶのでしょうか。データを調べて思考の材料にし、利用するのに早すぎるということはないと当校は考えています」と、Goh 氏は語りました。「子供たちは、YouTube 視聴者の統計データや Spotify のストリーミング回数など、毎日データを見ることにはもう慣れています」
ビジュアル分析で学習と分析をシンプル化
以前 NYGH の生徒は、従来型の統計の授業を通じてデータについて学んでいました。電卓を使って小さなデータセットを分析し、ペンと紙でグラフを描くという形です。21 世紀の今、こうした伝統的なスキルセットでは不十分であり、そのため同校は、Tableau を活用するデータビジュアライゼーションの教育課程を独自に編成しました。
「生徒が自分でデータを探し、そのデータを分析して、自分で結論や意味を導き出す機会はめったにありません」と、Goh 氏は述べています。「Tableau のインタラクティブ機能と使いやすさは画期的であり、生徒が自ら知識を築き上げられるようになります」
Tableau なら、生徒はスプレッドシートを使いこなすエキスパートになる必要もありませんし、自身のデータの分析や視覚化のために独自のコードを書く必要もありません。それどころか、ドラッグ & ドロップなどの直感的な機能を使って、わずか数回のマウスクリックでインタラクティブなダッシュボードを作成できます。
価格の違いを示すグラデーションを見るのがとても好きで、地図を作るのは楽しい経験でした。シンガポールの住宅価格の違いをうまく視覚化することができ、高級住宅がどのあたりに集中しているのかもわかり、とても面白かったです。
実践で興味を引き出しながら効果的に学習できるようにする
NYGH ではデータビジュアライゼーションの教育課程の一環として、7 年生が 3 か月にわたり毎週 1 時間かけて、ダッシュボードでストーリーを作成して伝える方法を学びます。まず、生徒は見る人を引きつける形でパターンやトレンドを視覚化できるようになるために、デザインの基本原則を学習します。次に学ぶのは、その原則を Tableau で取り入れる方法です。そして最終的に、生徒は自分でダッシュボードを作成するための時間と場を与えられます。
同校の教育課程が非常に効果的な理由のひとつとして、生徒に自分が興味を持っている問題に関係した実際のデータセットを利用するように働きかけるという点があります。
一例を挙げると、シンガポールの中古住宅販売価格の公開データセットを Tableau で分析した生徒がいました。その結果、時系列のトレンドと地理的な差異が見出され、住宅問題や社会問題に関してより情報に基づいたディスカッションを行うのに役立ちました。
生徒が分析したトピックにはほかにも、高等教育課程に見られるジェンダー格差、地球温暖化の国際的なトレンドなどの社会問題や世界規模の問題があります。
「Tableau のような使いやすいツールを活用する能力を身につけさせると、生徒は自分のペースでデータを分析して自分でインサイトを見出せるようになります。また、社会問題のパターンや根本原因も調べられるようになり、どこかで聞いたり読んだりしたものだけに頼ることもなくなります」と、Goh 氏は語りました。
次世代のチェンジメーカーに力をもたらすための鍵はデータスキル
NYGH のデータビジュアライゼーションの教育課程は、データで力を得るチェンジメーカーの世代を育成するという、同校の草分け的な取り組みを支えています。その教育課程によって、生徒はインターネットで得られたデータや自ら収集したデータを活用し、関心のあるトピックについて掘り下げたインサイトを取得する能力を身につけられます。また、教科書に書かれていることや時事問題についても、事実に基づく細かい意味合いを理解できるようになります。
将来的には、生徒がデータビジュアライゼーションのより高度な選択課程を履修し、その内容を自主研究に生かす機会が設けられる予定です。さらに、生徒がサービスラーニングのプロジェクトを立ち上げ、データスキルを活用してコミュニティの人々に教えたり貢献したりすることも予定されています。
初等中等教育の教員や管理者へのアドバイスを Goh 氏に尋ねたところ、データスキル教育は緊急を要しながらも難しくはないと強く述べられました。
「熱心な教員たちと協力して今すぐに始め、好奇心を持ちましょう。自分が関心を持つデータセットを見つけて、Tableau で分析してみてください。最終的には、生徒が自ら語ることのできるすばらしいデータストーリーにきっと驚かされますよ」と、Goh 氏は締めくくりました。
Tableau を使いこなす過程はとても楽しかったです。データを表現するのにとても面白い方法だと思いました。それに、Tableau について一緒に学んだ友人たちと意見を交換したのもいい思い出です。本当に素晴らしい経験でした。