コールデータの柔軟な可視化・分析が可能な「CX サポート」
高い表現力と深い分析の実現
データ集計・加工時間の短縮
導入の背景
顧客の DX を強力に支援するため「CX サポート」の提供へ
国内のコンタクトセンター市場において圧倒的なシェアを持つ NTT コミュニケーションズ。フリーダイヤル(FD)とナビダイヤル(ND)のサービスに加え、それらのコールデータを分析するためのトラフィックレポート作成サービスも提供しています。そして2021 年 3 月には、新たなデータ可視化・分析サービス「CX サポート」スタンダードプランの提供を開始。あらかじめ用意された 11 画面のテンプレートによって、FD/ND のコールデータをセルフサービス型で可視化・分析できるようにしています。
「トラフィックレポート作成サービスは番号毎のレポートを提供するサービスでしたが、最近ではお客様のフリーダイヤル/ナビダイヤルの使い方が大きく変化しています」と CX サポート提供の背景を語るのは、NTT コミュニケーションズ プラットフォームサービス本部アプリケーションサービス部 第一サービスクリエーション部門 第一グループの永井 雅 氏。これに伴いデータの可視化・分析に対するニーズも多様化していると言います。
「従来のサービスでもローデータを CSV でダウンロードすることができ、それをお客様自身が自由に加工するといった使い方も可能でしたが、集計作業や加工作業に時間が費やされてしまうという問題がありました。弊社ではお客様の DX を強力に支援するパートナーになることを目指していますが、そのためにはより柔軟性の高いツールの提供が必要だと考えました」。
Tableau の導入・運用環境について
開発時間のほとんどはユーザビリティなどの検討に
CX サポート提供に向けた検討が始まったのは 2020 年 6 月。BI 製品に関する知見のある社員や社外のコンサルタントも参加し、可視化・分析の基盤製品選定が進められていきました。その結果選ばれたのが Tableau です。
「可視化のアイディアを出して Tableau に実装し、それを複数の人に見てもらって改善する、という作業を繰り返しながら、ダッシュボードを構築していきました」と永井氏。CX サポートとしてどう可視化すべきかという試行錯誤に多くの時間を費やす一方で、Tableau へのダッシュボード実装は1回あたり数分程度で行えたと言います。「ダッシュボード開発期間は約半年間でしたが、Tableau への実装が簡単に行えたため、ほとんどの時間をユーザビリティや権限管理の実装方法(後述)などの検討に使うことができました」。
2021 年 6 月には無償版の提供を開始。その後、ユーザーからのフィードバックを反映しながらダッシュボードの改善を進め、2022 年 3 月のスタンダードプランの提供に至っています。
CX サポートのダッシュボードのメニューは大きく 2 種類あります。「基本データ」メニューでは、総呼数や完了数、完了率などを可視化する 3 種類のダッシュボードを提供。「詳細データ」メニューでは、「発信地域別」や「着信地域別」「不完了理由詳細」など 8 種類の詳細データを可視化するダッシュボードを提供しています。
「詳細データの中には、地域毎の呼数を日本地図にマッピングして表示し、エリアをクリックするとそのエリア内の内訳を表示するという画面もあります。いずれのダッシュボードもドラッグ&ドロップで直感的に操作でき、データのドリルダウンもスピーディに行えるようになっています」。
Tableau 選定の理由について
直感的・コミュニティ・きめ細かい権限設定を評価
CX サポートの可視化・分析の基盤にTableau が選ばれた理由は、大きく 3 点あったと永井氏は説明します。
第 1 は直感的に使えること。NTT コミュニケーションズではこれまでにも、用途や目的に応じて様々な BI ツールの導入や活用検討を行ってきましたが、幅広い顧客に使いこなしてもらうには Tableau が最も適している、と判断されました。
第 2 はコミュニティの数が多く、それらの活動も活発なこと。そのためわからないことがあってもすぐに解決しやすく、これも顧客メリットにつながると考えられました。
そして第 3 がきめ細かい権限設定が可能なことです。CX サポートは単一プラットフォームで複数顧客にサービスを提供することが前提になっていたため、顧客毎のアクセス権限を適切な形で設定できることが求められたのです。
その一方で「Tableau の採用は弊社にとっても大きなメリットがありました」と永井氏。「何がやりたいのか」について話すだけで、その回答となる複数のオプションが提示されるといった、しっかりとしたサポートが得られたからだと言います。「そのため企画・開発の期間が短縮できました。他の製品を採用していたら、もっと時間がかかっていたと思います」
データ集計や加工といった作業に必要な時間が減り、考える時間や気づきを得る時間が増えました
Tableau の導入効果について
直感的な操作で分析でき、新たな気づきを得ることも容易に
Tableau を可視化・分析の基盤に採用することで、次のような効果が得られています。
ダッシュボードを直感的に活用可能Tableau が提供する様々な機能を活用し、ユーザビリティの高いダッシュボードの開発を行った結果、データ分析に関するノウハウを持たないユーザーでも、簡単にデータの可視化・分析が行えるようになっています。
「CX サポートにログインするまでの手順についてはお客様から質問をいただくこともありますが、ログイン後は殆ど質問がありません。これはユーザビリティが高いことの証拠だと思います。このようなことは、これまで経験したことがありませんでした」。
高い表現力と深い分析の実現表面的な集計データを静的に表現するのではなく、ドリルダウンやフィルタリングを直感的に行いながら、動的にデータを扱えることも大きなメリットだと評価されています。
「使ってもらうことで新たな気づきが得られるのではないかと思います。私自身も時々ダッシュボードを見ていますが、それまで気づけなかったことに気づくことも少なくありません」。
データ集計・加工時間の短縮データを抽出して集計・加工する必要がなくなったことも、顧客にとって大きなメリットになっているはずだと、永井氏は指摘します。
「例えばお客様が多くの番号を契約している場合でも、それらをエリア毎や組織毎で自由にグルーピングし、可視化・分析できるようにしています。このようなニーズは以前から多かったのですが、これを実現したことはお客様からも高く評価されています」。
今後の展開について
CX サポートをスタートラインに顧客の DX 推進を支援
今後は CX サポートが扱えるデータを、さらに広げていく計画です。すでに FD/ND のコールデータに加えて顧客自身がアップロードしたデータも可視化・分析できるようになっていますが、近い将来にはオープンデータ等にも拡大していくことが検討されているのです。また提供するダッシュボードの多様化や、AI を活用した未来予測の提供も、視野に入っていると言います。
「CX サポートをご利用いただくことで、これまで見えていなかった機会損失や、コールセンター運営効率化をどうすべきかなど、様々な気づきが得られるはずです」と永井氏。しかしこれはスタートラインに過ぎないと言います。「これをきっかけに幅広いお客様が、データを利活用した DX を進めていくこと。これこそが私たちの目標です。そのための支援活動を、これからも積極的に展開していきたいと考えています」。