SFA でプロセス改革と経営可視化を実現そのための重要な基盤として Tableau を活用

営業部門の業績会議は 2/3 にまで削減、インサイドセールス部門では業績会議ゼロに

業務効率化で初年度だけで、SFA も含めた投資額の 4 倍のコスト削減を実現

導入の背景

SFA の本質を追求するためデータ活用基盤を整備

データを積極的に活用し、営業プロセスの改革と経営の可視化を実現したい――。このように考える経営者が増えています。そのために SFA を積極的に活用し、着実に成果を上げ続けているのが、株式会社日立ソリューションズ です。

同社は日立グループにおける IT セクターの中核を担う企業。情報・通信システム事業を通じ、社会生活や企業活動を支えるさまざまなソリューションをグローバルに提供しています。国内 4 拠点に加え、海外にも 8 拠点を展開。日立ソリューションズグループの子会社 5 社を加えると、12,000 名を超える従業員がグローバルで活躍しています。しかし過去の営業活動の状況について、日立ソリューションズ 営業統括本部 インサイドセールス第 1 部で部長を務める秦 和男 氏は次のように振り返ります。

「以前は会議のための会議が多数存在し、そこで報告される売上予測も事前に決められた予算の 99 ~ 101% に収めるという、営業実態をなかなか表に出さない企業文化でした。そのため実際にどの程度の案件が動いており、それぞれの受注率がどの程度なのかを把握することが難しく、売上や利益の見通しも行えませんでした」。この問題を解決するため、2017 年 5 月には「SFA の全面再構築」を決断。これと並行して、データレイクと BI 基盤の整備にも着手します。

「SFA には『セールス』という言葉がついていますが、その本質は全社員がデータを入力し、そのデータを活用して経営することです。つまりは経営ツールであり、データ活用の基盤も並行して整備しなければ、その効果を引き出すことはできないと考えました」。

 

SFA の本質は全社員がデータを入力し、そのデータを活用して経営すること。つまりは経営ツールであり、データ活用の基盤も並行して整備しなければ、その効果を引き出すことはできないと考えました

Tableau の導入・運用環境について

データ集計/分析の負担を軽減するため Tableau を導入

「実は社内データレイクの検討は、SFA 全面再構築とは別のプロジェクトとして進められていました」。このように語るのは、日立ソリューションズ IT・DX 推進本部 業務改革・デジタル化推進センタ 第 1 部でグループマネージャを務める小坂 隆文 氏です。日立グループではグループ全体の業務統合を目的に、各社で持っていた自社システムからグループで提供されるシェアードシステムへの移行を実施。そのことにより、自社システムに比べてデータを自由に扱うことができなくなったため、ユーザー業務の課題解決や効率向上が課題になったことが、その背景にあったと説明します。「これを解決するため社内データレイク+データ活用というニーズが拡大し、その実現に向けた取り組みが一気に加速しました」。

データ活用の第 1 段階として始まったのが、CSV によるローデータの提供でした。その後、第 2 段階として、ユーザーニーズを盛り込んだ加工データの提供も実施。しかしユーザー部門毎に似たような集計 / 分析の作業が行われており、必要以上に多くの作業負担が生じてしまうという問題が生じることになりました。

「これを解決するため 2018 年 1 月には、全社のデータ活用基盤として BI 製品を導入することも検討し始めていました」と言うのは、日立ソリューションズ IT・DX 推進本部 業務改革・デジタル化推進センタ 第 1 部で主任を務める白子 哲 氏。ここで候補に挙がったのが Tableau なのだと語ります。そして最終的に全社 BI 基盤として、Tableau を採用することになるのです。

システムの変更によりデータを自由に扱うことができなくなったことがきっかけに、社内データレイク+データ活用というニーズが拡大、取り組みが一気に加速しました

Tableau 選定の理由について

セルフサービス型 BI を実現しやすいこと

それではなぜ最終的に Tableau が選ばれたのでしょうか。大きく 3 つの理由があると白子氏は説明します。

第 1 はダッシュボードの見た目が良いことです。Tableau は画面全体が明るくシンプルで、洗練されていることが好まれたと言います。第 2 はユーザーによるカスタマイズが容易に行えるため、セルフサービス型 BI を実現しやすいことです。IT 部門は人員が限られているため、すべてのコンテンツ(ダッシュボードやレポート)をメンテナンスすることは困難です。ユーザーのデータニーズは、部署毎に扱っている事業や状況の変化に伴い無限に発生する可能性があるため、セルフサービス型 BI の実現は必須条件だと考えられました。「Tableau ならユーザーが直感的に操作でき、インターネットで公開されている動画などを参考にすれば、ダッシュボードもユーザー自身で作成可能。これならセルフサービス型 BI も実現可能だと感じました」。

そして第 3 が、スモールスタートが可能なことです。ライセンスが買い取り型ではなくサブスクリプション型なので、初期コストを抑えた利用開始が容易だったのです。日立ソリューションズ では、まずは試してみるため 25 ライセンスからスタートし、その半年後に 150 ライセンスへと増加、その翌年度には追加予算を確保して一気にライセンス数を拡大しています。このように、使いながらライセンス追加の意思決定が行いやすいことも、Tableau の大きなメリットだと評価されています。

Tableau ならユーザーが直感的に操作でき、インターネットで公開されている動画などを参考にすれば、ダッシュボードもユーザー自身で作成可能。これならセルフサービス型 BI も実現可能だと感じました

Tableau の導入効果について

業務が効率化されデータ活用文化も定着

BI 基盤に Tableau を採用したことで、次のようなメリットが得られています。

SFA に登録される案件が予算の 3 倍以上に

「SFA 全面再構築に取り組み始めた時は、SFA 総案件量が予算の 200% を超える状況を、2020 年 3 月までに実現することをめざしました」と秦氏。実際には予算の 315% がSFA に登録されるようになり、「予算の 99〜101% しか表に出さない」という企業文化が、根本から変革されたと言います。「その結果、いつの時点でどれだけの案件が存在するのか、それらによる売上高がどう推移するのかが、精緻に予測できるようになりました」。

SFA の活用が営業以外にも拡大

SFA の活用は当初営業部門だけで行われていましたが、現在では営業部門以外のユーザーの方が多くなっており、ライセンス数も 4 年で 3 倍になりました。SFA の本質である「全社の経営ツール」としての活用が、着実に定着しつつあるのです。

会議時間の短縮

2020 年 3 月の時点で、営業部門の会議は ⅔ にまで削減。秦氏が率いるインサイドセールス部門では、2021 年 3 月末時点で業績会議ゼロを達成しています。

コスト削減効果

業務効率化によって、コストも削減されています。その金額は導入初年度だけで、SFA も含めた投資額の 4 倍に相当しています。

業績の向上

Tableau の展開を始めてから、全社的に業績が上昇しています。この間に新設されたインサイドセールス部門では、前年度比 355% で業績を伸ばしています。これも全て、無駄な会議を減らしたことで、お客様と商談する機会が増えるという、好循環が回っているからだと評価されています。

 

今後の展開について

社内に蓄積された知見を顧客にも提供

現在の目標は、2027 年までに全てのビジネス活動をダッシュボードで公開し、全社員が共有・活用できる状況を実現することです。また業績会議も全廃し、リアルタイムデータで経営を行うこともめざされています。

このように日立ソリューションズ では、全社員が入力する全データを活用した経営が実現されつつあります。これはまさに DX の成果であり、ここから得られた知見は同社の顧客にも提供されています。

「当社で、最新の技術や、さまざまな製品・サービスを柔軟に組み合わせたソリューションの提供に、長年取り組んでいます。」と語るのは、日立ソリューションズ クロスマーケット・サービス本部クロスマーケット・サービス第 2 部で主任技師を務める鈴木 陵介氏。またデータ活用のビジネスも 20 年以上にわたって展開しており、2019 年には Tableau 社とのアライアンスも締結しています。

その知見やアライアンスにもとづく具体的な DX 関連ソリューションの 1 つが、「BI コンシェルジュサービス」です。これは情報活用システム整備に向け、課題整理やロードマップ作成を支援するサービスであり、その後の情報活用システムの導入・改修や、データ活用・定着化の支援までカバーしています。先駆者の知見を活かすことで、経営に効果をもたらす DX 推進を、最短距離で実現できるのです。

「DX を成功させる鍵は、活用できていないデータという宝の原石を、どう活かすかにあります」と鈴木氏。日立グループには 3 万人を超える Tableau ユーザー がおり、お客様への Tableau 導入実績も 100 サイトを突破、2021 年、2022 年の 2 年連続で、パートナーアワードも受賞しています。「このような実績と知見を活かしながら、これからも Tableau 活用をはじめとした DX 実現を、お手伝いしていきたいと考えています」。

DX を成功させる鍵は、活用できていないデータという宝の原石を、どう活かすかにあります