ホワイトペーパー
Tableau ビジネスサイエンスのご紹介
Tableau でビジネスユーザーがデータサイエンスの強力な機能を利用可能に
Tableau 最高技術責任者 Andrew Beers
エグゼクティブサマリー
このホワイトペーパーでご紹介する Tableau ビジネスサイエンスは、ビジネス分野の専門家がデータサイエンスの機能を使えるようになる、AI を活用した新しいクラスの分析です。
これまで、AI、機械学習、ほかの統計的な手法を利用したビジネス上の問題の解決は、主にデータサイエンティストの専門領域でした。多くの組織は、ミッションクリティカルで非常にスケーラブルな特定の問題に取り組む、小規模なデータサイエンスチームを抱えています。しかしビジネス上の意思決定の中には、データに加えて経験や知識も基にするものが数多くあります。
ビジネスサイエンスを利用すると、データのコンテキストを理解しているアナリストやビジネスユーザーは、焦点を絞った業務を行っている小規模なデータサイエンスチームでは優先して割り当てられる時間やリソースがない問題に対して、説明可能な機械学習モデルをトレーニングして導入することができます。
分析では人が次の質問をし、次の仮説を検討し、次のアイデアを試せるようになっていることが重要だと、Tableau は常に考えてきました。そして今、さらに一歩前進して、ビジネス上の問題にすぐにでも予測を適用できる実用的で倫理的な AI で、さらに多くの人が判断力を高められるように支援します。それにより、組織の全部門でより迅速に自信を持って意思決定を行えるようになるうえ、分析の利用場面を拡大し、所有するデータの理解を深められるようにもなります。
AI を活用した質の高い意思決定を妨げる障壁
組織が収集しているデータセットは多様化の一途をたどっており、そのためデータから価値の高いインサイトを引き出すための分析の利用場面も、同様に増え続けています。現在、意思決定の材料として使うデータインサイトを見出すことに特化したツールは数多くあり、それを専門にしたチームも設けられています。しかし組織はこれまで、高度な技術知識を持つデータエキスパートと、経験や分野の深い専門知識を持つビジネスチームに対し、両者の得意分野を同時に生かすことができずにいました。あらゆる企業がデータサイエンスチームや人工知能 (AI) ソリューションを持っているとは限らないうえ、持っているとしても高度なスキルのあるチームの規模が小さく、実に多くのプロジェクトを抱えていることも珍しくありません。
Tableau は、分野の専門知識を持ちビジネスデータに近いところにいるビジネスユーザーやアナリストが、高度な統計分析を行ったり機械学習 (ML) プロジェクトを自ら管理したりするためのツール、あるいは技術スキルを持っていないという事例を頻繁に目の当たりにしています。そうした人々は、データサイエンティストや機械学習のエキスパートに依頼して、要件収集を何度も繰り返しながらカスタムのモデルを作成、導入していますが、このプロセスは機敏さに欠け、迅速に反復することもできません。このサイクルが終わるころには、モデルのトレーニングに使われたデータはたいてい古くなっており、同じプロセスが最初からやり直されることになります。一方、ビジネスのプロフェッショナルは重要な意思決定を日々行う責任を負っていますが、だからといって一元化されたデータサイエンスチームが優先度を上げることはできません。
多くのお客様は、データサイエンスや AI、機械学習をビジネス上の問題にさらに応用することに価値を認めていますが、リソースとプロセスで制約されているとも感じています。さまざまな業界や分野の組織から Tableau に寄せられる一般的なニーズとして、以下のようなものが挙げられます。
- データ探索とデータ準備の作業量を抑える
- エキスパートのアナリストが、データサイエンスによる成果 (特に予測) を低コストで挙げられるようにする
- データサイエンティストの時間を空けて、厳密な精度が何より重要視されるミッションクリティカルな問題の複雑なデータエンジニアリングに集中できるようにする
- 分野の専門家による利用場面をさらに調べて、良いモデルを作成できる可能性を高める
- ビジネス部門のグループや分野の専門家による分析を拡大、自動化、加速する
- モデルの導入や統合にかかる時間とコストを削減する
- 透明性を強化してデータや AI の責任ある利用を推進するとともに、バイアスを最小限に抑えつつ対処する方法について指針を得る
そこに、高度な正確さやコントロールと、インサイトを得られるまでの時間 (つまり意味がある間に人々がインサイトに基づいて行動できること) のトレードオフを最小限に抑えながら、ビジネス上のさらに幅広い問題にデータサイエンスの機能を応用できるように、組織を支援する大きな機会を見出すことができます。そこで、Salesforce の Einstein Discovery の中核をなす AI テクノロジーを Tableau に統合して、AI を活用した新しいクラスの分析を実現し、データサイエンスのテクニックを誰もが利用できるように、またユーザーがより迅速に自信を持って意思決定を行えるようにしました。これは極めて重要な分野であり、市場では今後もイノベーションが起こり続けるでしょう。
誰もがビジュアル分析を行えるようにした Tableau は、今やセルフサービス AI にもイノベーションをもたらしています。ビジネスサイエンスは、データを日々扱うプロフェッショナル集団の巨大な可能性を解き放ちます。BI に通じているその人々が記述的分析ではなく高度な分析、予測、推奨を利用するようになれば、これまでより詳しい分析を一層多くの場面で、より迅速かつ連携的に行えるようになります。
Tableau ビジネスサイエンスのご紹介
Tableau ビジネスサイエンスとは
ビジネスサイエンスは、AI を活用した新しいクラスの分析です。すべての問題が、スピードやビジネスのコンテキストを犠牲にしても厳密な精度を必要としているわけではない点に着目し、分野の専門知識を持つユーザーが、より大きな自信をもってスマートな意思決定を迅速に行えるようにします。ビジネスサイエンスのソリューションは厳密かつ正確ではありますが、意思決定者が自身の利用場面で何が必要かを決められる、自由度と柔軟性も備えています。自由度の例として、入力するデータの選択や形式変換、変数の指定、しきい値の設定などが挙げられます。ビジネスのエキスパートはモデル構築プロセスで、完全に自動化された環境を使うことも誘導形式の変更機能を使うこともできます。予測、What-if のシナリオプランニング、誘導形式のモデル構築など、管理されたコード不要の AI を利用できる人が増えるため、ビジネスチーム内で一層多くの分析を行い、より現実に即した適切なモデルを作成できるようになります。
ビジネスサイエンスは、誰もがデータサイエンスの機能を利用できるようにするとともに、モデルの主な要因を理解できるように支援します。分野の専門家が従来のデータサイエンスツールを学ぶ必要はありません。分野の専門家が誘導形式の AI 利用環境を手に入れると、チームはこれまで通り人の判断力に頼りながらも、一層多くのビジネス上の問題に高度な分析を応用し、重要な意思決定のスピードと厳密さを高めることができます。大切なのは微調整された極めて正確なモデルではなく、人を正しい方向に導いて問題の核心にできるだけ近づけることです。
Tableau ビジネスサイエンスの対象ユーザー
ビジネスは本質的に複雑で変わりやすいものであるため、分野の実状を知る人の専門的な経験や知識は欠かせません。過去のデータは役立つ情報ではありますが、それだけで、変わり続ける市場環境がお客様の組織に今後もたらすであろうインパクトを知ることができるとは限りません。担当分野の状況を知り、臨機応変に適応して対応できる人こそが、変わり続けるビジネス環境にうまく対処するのに欠かせない要素です。ビジネスのプロフェッショナルやデータアナリストが、Python も統計も、アルゴリズムのパラメーターを調整する方法も学ばずに、機械学習モデルから得られる予測とインサイトを活用できるようにすれば、データドリブンなエキスパートが増えていくでしょう。
ビジネスサイエンスは、分野の専門知識を生かしながら、過去のデータと分析によるインサイトを理解するためのものです。一般的に言って、するべき質問を知り、その答えで何を行うかを知っていることの方が、アルゴリズムの選択などの細かいことよりも重要です。ビジネス上の問題は通常、単純な賛成/反対の 2 択に収まりません。リソースの割り当て、優先順位付け、人員配置、ロジスティクスに関する質問では、データドリブンな最善の意思決定を行うためにたいていはビジネスサイエンスが必要になるでしょう。
Tableau はこれまで、ビジネスサイエンスが企業に最善の成果をもたらせる適切なアプローチになるケースを数えきれないほど見てきました。その例として、以下のようなものが挙げられます。
- マーケティングや営業でビジネスサイエンスを利用できる場面として、リードスコアリング、商談スコアリング、商談成立までの時間の予測などがあります。また、たいていのデータサイエンスチームは優先できず、しかし極めて価値の高い CRM 関連のユースケースも数多くあります。
- 製造業者や小売企業では、サプライチェーンの分散や最適化、消費者需要の予測、商品構成に新商品を追加する際のシナリオ検討などで、ビジネスサイエンスが役立ちます。
- 人事では、ビジネスサイエンスを利用して、採用候補者がオファーを受け入れる見込みを評価するという用途が考えられます。この場合、過去のパターンを分析するとともに、採用候補者の価値に基づいて給与や株式、福利厚生などの組み合わせをどのように調整できるかという、採用担当者の知識を判断材料に入れます。
- 企業の不動産部門であれば、オフィススペースを購入する場所の計画や、社員を別のビルや拠点に移動させるための費用の検討で、ビジネスサイエンスを活用するといいかもしれません。この場合、何らかの「社内政治」 (つまり特定の個人やチームの移動で起こりうる影響) を考慮に入れた適切な予算検討で、バランスを取るのに人の判断力が役立つ可能性があります。
Tableau ビジネスサイエンスを使う理由
AI プロジェクトの成功に必要なのはデータの専門知識と分野の専門知識
一般には AI に仕事を奪われるという恐れと誤解がありますが、ビジネス上の問題で、どれほど優秀なマシンでも人の判断力にとうてい適わない場面は数え切れないほどあります。たとえば営業部門は、最も利益が出るアップセル/クロスセルのビジネスチャンスを見出そうと、予測モデリングを活用することがあるかもしれません。顧客が購入する可能性をアルゴリズムで予測することはできますが、ビジネス上の関係を管理している人の重要な知識はそのアルゴリズムに備わっていないでしょう。顧客担当者は、顧客の目標やその目標達成に役立つ可能性がある製品を知っているでしょうし、あるいは過去の経験から、あるソリューションは購入の合意を取り付けられる可能性が低いことを学んだかもしれません。
このような細かい事柄には、アルゴリズムのみで得られる結果だけではなく人の判断力が必要です。そこで、人の専門知識、判断力、状況の認識力を、マシンが自動生成する厳密でスケーラブルなインサイトと組み合わせれば、より優れたビジネス成果が得られます。ほかの例として、小売企業がある地域の利益を高めるにはどの新商品を店舗に追加するべきか知りたいとしましょう。ビジネスのプロフェッショナルは、サプライヤーとの関係、地域的なトレンド、その他のインパクトをもたらす定性的な影響などの要素が、意思決定にどのように関わる可能性があるかを、つまりマシンには決して理解できない、あるいはうまく生かせないであろう細かな事柄をわかっています。
自動化を行っても、人間が結果を理解し説明できなければなりません。AI ベースの自動化の大半ではモデリングや予測に数学アルゴリズムが用いられており、推奨事項は人間が絶えず検証する必要があります。
多くの組織は、データサイエンスと分野の専門知識の両方を持つ「理想の人材」を発掘しようと大きく力を注いでいますが、その希望に当てはまる人材はめったにいません。データサイエンスのテクニックが何より重要な要素になるミッションクリティカルな問題には頻繁に直面するものですが、ビジネスサイエンスなら多くの人がデータサイエンスのさまざまなテクニックを使えるようになり、技術系の修士や博士でなくても分析に予測を取り入れることができます。
ビジネスサイエンスは、手法と専門家で問題に立ち向かうためのものです。データサイエンスチームがビジネス部門の新しいプロジェクトに取り組むとき、コンテキストや分野の専門知識が欠けていて苦労することはよくあります。適切なコンテキストがないと、データサイエンスチームは問題への対処に適したデータを特定しようと努めた後、整理、クリーニング、分析のためのデータ準備を行うという一連の作業に長い時間を費やすことになります。AI も機械学習もデータに大きく依存しているため、これは本質的にデータの問題であり、したがって問題の解決のために重要なのは、解決しようとしている問題と適切な形式になっている適切なデータをうまく組み合わせることです。
分野の専門家は組織が直面している独自の問題に近い場所におり、事業部門のデータに関する専門知識も持っていることから、タイミングに合った効率的で効果的な予測モデルの作成、検証、導入を誰よりもうまく行えます。
修正と再導入の反復可能なアプローチにより時間とコストを削減して独自のスキルを活用
データサイエンスと機械学習の従来のサイクルには時間がかかることがあり、その「最終段階」は多くの場合、時間や労力、コストの面で最も手間がかかりリソースも要します。従来型のカスタムモデルの導入と統合は複雑であり、統計の専門家とデータサイエンティストがソリューションをエンドユーザーにも利用できる実用的なものにする必要があります。市場投入までの時間が重要な要素である場合、数か月ではなくわずか数日、数週間で予測モデルを反復して作成できるようにすると、リソースは最大限に活用され投資対効果の改善にも役立ちます。
多くの組織は、AI のプロトタイプやパイロットを完全な実稼働環境と幅広い利用場面に規模拡大するのに苦心しており、たいていは AI を導入して他システムと統合する際の課題を過小評価しています。ガートナー社が 2020 年に行った組織の AI に関する調査によると、プロトタイプのうち最終的に導入されるのはわずか 53% に留まります。
意思決定の材料としてデータと予測に頼る必要があるビジネスのエキスパートにとって何より役に立つのは、モデル作成のプロセス全体でさまざまな要素をコントロールし、それぞれの利用場面に関係するデータに適度な自信を持てるようになることです。これは特に、モデル作成のアプローチが反復的で、予測の正確性を改善し続けることを目指している場合に価値を発揮します。そのようなアプローチは、データの意味が保たれているうちに行動を取るための助けになります。またモデルを作成しようとするだけでも、データで何らかの価値を得られたと確かめることになる可能性があります。
ビジネスサイエンスの場合、目的は最も正確になるまでモデルに磨きをかけることではなく、KPI を動かすことにあります。従来のデータサイエンスサイクルよりも修正と再導入のプロセスを反復しやすくすることによって、障壁を取り除き、ビジネスをよく知るユーザーが迅速にモデルを構築し予測を行えるようにします。従来より多くの人々が、高度な分析テクニックを迅速に活用して、必要なときに必要な場所でスマートな意思決定を行うことができ、場合によっては特定の利用場面で大きなコスト削減や利益につながることもあります。
たとえば、営業目標を設定するとしましょう。地域別に設定し、目標は絶えず変わっていきます。その場合、ある年の営業目標設定のためのモデルを翌年に当てはめることはできません。モデルに使用される情報は変化し続けるためです。また、ある地域でさらに高い営業目標が立てられているために、提案されたモデルをその地域の営業リーダーが受け入れなかったらどうなるでしょうか。したがって、モデルを迅速に転換、反復作成できる能力は非常に役に立ち、それぞれの営業テリトリーでさらに収益を得られる新たなビジネスチャンスにつながる可能性も生み出します。
ビジネスサイエンスなら、機械学習でアナリストやビジネスユーザーが確実にセルフサービスを行えるため、さらに多くの人々が独自のスキルや分野の専門知識を活用できるようになります。またデータサイエンスチームにも、ミッションクリティカルな大規模プロジェクトに集中する時間を持たせて、担っている重要な役割を果たせるようにします。さらに、この AI を活用した新しいクラスのソリューションは、データサイエンスチームでは優先できない新しいユースケースを、アナリストや上級のビジネスユーザーが試すための実験環境を作ることもできます。多くの人が多数のユースケースを検証し、見込まれる結果の要因を分析するようになると、成功に結びつくモデルを実現できる可能性が高まります。分野の専門家は機械学習を活用したコード不要のモデルをニーズに合わせて作成し、データのプロフェッショナルが掘り下げる深さを必要としないビジネス別の優れた分析を行えるようになります。
ここで重要なのは、ビジネスサイエンスのソリューションはアナリストとデータサイエンティストの間のスキル格差に対処するのに役立ちますが、データサイエンティストの代わりになるわけではないという点です。データサイエンスのプロフェッショナルは、カスタムモデルの提供や統計分析などを行い続けますが、ビジネスのエキスパートと協力して、機械学習を活用したモデルに使われるデータをより頻繁に検証することになります。こうして高まりを見せるチームの枠を超えた連携は、ビジネスサイエンスのソリューションの成功とパフォーマンスのために欠かせない要素となり続けます。
責任あるデータサイエンス民主化に必要なのはバイアスと非倫理的な利用の発見および抑制
AI を活用した分析を行える人を増やすとさまざまなメリットが得られますが、それは同時に潜在的な危険性もはらんでいます。バイアスはデータとテクノロジーに内在するものであり、抑制しない限り予測や推奨にもバイアスが残り、悪影響すら及ぼすことがあります。複数の失敗が重なった例としてよく知られているのが、顔認識テクノロジーです。バイアスのかかったトレーニングデータ、テクノロジー、予測により、有色人種コミュニティに有害な結果がもたらされました。(これが、Salesforce の 許容される利用に関するポリシー (英語) で、顔認識テクノロジーが 認められていない理由 (英語) の一端です。)
ビジネスのプロフェッショナルは普通、分析時に必ずしもこうした点を考慮するとは限りません。まず出発点として、モデルの確固としたドキュメントで予測や推奨の背後にある透明性をさらに確保し、追跡性を高めることができます。何が予測に寄与したか、データのどの列か、要因はどこにあるかを理解すると、データセットやモデルで潜在的なバイアスを見出すのに役立ちます。
データと AI の倫理的な利用を確保するための、自動的な解決策や一律の解決策はありません。自らのデータを自らが知る必要があります。しかし Salesforce はお客様に対して、悪影響を及ぼす可能性を警告できるように、Salesforce のテクノロジーに対策を施す責任を負っています。これは、お客様のデータにあるバイアスが予測に影響を及ぼさないようにし、取得し続ける実際のデータからバイアスを排除できるように支援するためです。
さらに指針となり得るものとして、組み込まれているバイアス検出、モデルモニタリング、予測に影響を与えている変数の自然言語による説明など、ユーザーがより倫理的なモデルを作成できるようにする支援機能が挙げられるでしょう。Tableau の Einstein Discovery は、人種、年齢、配偶者の有無、居住地などのバイアスを含む可能性がある変数や機密情報フィールドをユーザーが選択できるようにしています。また代用データ検出機能により、一方のフィールドが削除され他方が残されるとバイアスになり得る、相関性があるフィールドもデータセット内で検索します。ほかにも、重要な指標として差別的効果があります。たとえば、モデルから得る結果が性別や郵便番号によって異なっていないかどうかを調べることです。規制下にある業界の多くでは、機械学習モデルのアカウンタビリティを確保するための一指標として使われています。
AI と機械学習の民主化に伴う考慮するべき重要なポイントと責任
この分野はこれまでなかったため、新しいテクノロジーや使用事例が現れるにつれて、また倫理基準や規制がさらに一般化するにつれて、環境がどのように変化していくかはまだ未知数です。しかし、AI テクノロジーはこれからさらに、欧州連合の管理当局による今後の規制によって、そして米国の州や連邦で新たな人工知能管理策を導入する政府が増えるにつれて方向付けられていきます。ここ 1 年で見られた環境の進化と変革のレベルを考えると、組織はその真価を問われていると言っていいでしょう。なぜなら、デジタルトランスフォーメーションは近い将来ではなく、すでに現実のものになっているからです。企業は、増加した現在のデータ量への対応とともに、AI を活用してさらに機敏になりレジリエンスを得る方法など、AI のイノベーションとその効果的な利用への対応も探っています。
ビジネスサイエンスにより機械学習はさらに活用できるようになりますが、AI のセキュアで倫理的な作成と利用を管理するのは組織の責任です。Tableau と Salesforce は個人や組織に対し、より情報に基づいた責任ある意思決定を行うためのプラットフォームとガイダンスを提供しています。お客様のデータを、そして AI や機械学習のソリューションが使われるビジネスコンテキストを誰より理解しているのはお客様自身です。AI や機械学習のパワフルなソリューションと人の専門知識の組み合わせこそが、チームの枠を超えた連携、AI の倫理的な利用と応用、迅速な反復作成で、それぞれが適切なレベルになるようにバランスを取るための何より効果的で強力な手段でしょう。また、人を中心にしたこのアプローチは、予測モデル、シナリオプランニング、シミュレーションなどのデータサイエンスのテクニックを、より効果的にうまく利用するのにも役立ちます。
Tableau がイノベーションを続け、お客様は既存の課題への対処と新たな課題の発見を続けていくにつれて、ビジネスサイエンスのベストプラクティスは形成されていきます。ここで、組織が Tableau の価値観に同調してビジネスサイエンスのソリューションを導入し作成するうえで、考慮するべき重要なポイントがあります。組織が連携、迅速な反復作成、倫理的な利用という要素の間で適切なバランスを見出すには、以下のことが欠かせないでしょう。
- 役割とプロセスを把握して合意する
- 成功する連携の手法を確立する
- AI の倫理的な作成と利用のために人間の接点を設ける
役割とプロセスを把握して合意する
分野の専門家とデータサイエンティストは、セルフサービス AI という新たな環境に順応しなければならなくなります。ビジネスサイエンスのソリューションの導入で重要なのは、役割、行うべき作業、スムーズで生産的なやり取りのために必要になり得る新しいプロセス、各グループに期待される関与と確認の度合いなどの考慮事項について、アナリストやビジネスユーザー、データサイエンスチームが把握して合意することです。また、通常の新しいツールやプロセスの導入時と同様に、新たに規定した役割とプロセスを検証する調整期間を設けます。あらゆるチームの成功のために、率直な話し合いを維持することが必須です。
成功する連携の手法を確立する
チーム間の話し合いを維持する一環として欠かせないのは、継続的な意思疎通の手段を確立することです。チャネルはすでにあるかもしれませんが、そのチャネルを実際に利用するという共通認識を持って習慣化するには、機械学習ソリューションの導入を多くの人々に広げていく過程で意識的に取り組んでいく必要があります。また、質問、相談、検証、率直なフィードバックの共有などの機会を定期的に設けると、AI を活用した分析によるチームの枠を超えた連携を成功させることができます。
AI の倫理的な作成と利用のために人間の接点を設ける
バイアスに対してはテクノロジーを活用したコントロールが有効であり、それによりさらに多くの人がインサイトと予測を得てスマートな意思決定を行えるように支援できます。しかし、唯一の監査手段として信頼するべきではありません。過程のあらゆる段階を再検証できるように、人間の接点を計画的に組み込みましょう。アナリストやビジネスユーザーは分野の専門知識を持っており、背景と合わせてデータを理解できます。また、機密データが倫理的に扱われない場合の潜在的影響も予見できる可能性がありますが、それには従業員の多様性が必要です。すなわち、データにある格差や差別的な使用を見出し、バイアスのかかった AI システムから最も悪影響を受ける過小評価された人々を擁護することのできる従業員です。機械学習と人の専門知識は、必要なツール、人間による再検証、透明性、バイアス監視と組み合わせて、組織がセキュアかつ倫理的に AI ソリューションを利用するのに役立ちます。
すでにデータにバイアスがかかっており、モデルが悪影響を及ぼす可能性があるとわかっている場合は、そのモデルの導入や意思決定の自動化を行ってはなりません。データのバイアスへの対処はさまざまな面で不可欠です。バイアスは悪影響を及ぼす可能性があるだけではなく、データにバイアスがかかっているとはデータに誤りがあるということでもあり、後にモデルや予測、関連する意思決定でも誤りにつながります。組織に企業倫理グループがない場合やバイアスへの対処方法について懸念がある場合は、データやモデルにかかっているバイアスを徹底的に検証して抑制するために、サードパーティーのエキスパートから協力を得ましょう。その調査により、バイアスに対処しないとどのような影響を受ける可能性があるかを明らかにすることができます。また、社内のデータサイエンスチームも、社外の AI 監査人やコンサルタントによる調査に協力することが可能です。
Tableau と Salesforce は、責任を持って的確かつ倫理的に AI を作成し利用するためのツールを、お客様、パートナー、従業員に提供することに力を注いでいます。詳しくは、Salesforce の倫理的・人道的な利用に関する審議会による、 AI 倫理への取り組み (英語) をご覧ください。また、さらに倫理的な AI システムのためにデータやアルゴリズムからバイアスを排除するには、Salesforce Trailhead のモジュール「 人工知能の責任ある作成」をご利用ください。
まとめ
データスキルの需要は高まっていく一方であり、そのため人と組織の学びやより効果的な問題解決を支援する機会も膨大にあります。完全に自動化された AI ソリューションの作成や導入に重点を置いたアプローチもあるかもしれませんが、そのように限定的なアプローチは、提供しようとしている価値を実現できないでしょう。AI やデータサイエンスのテクニックを誰もが使えるようにするうえで、人が持つ創造力、状況の認識力、専門知識を軽視し排除することは逆効果であるばかりか、無責任でもあります。
Tableau は常に、人の潜在的な力に信を置いています。人の可能性を引き出すという目標は Tableau の DNA に刷り込まれており、業界をリードする Tableau のビジュアル分析プラットフォームに反映されてきました。そして今、新しいクラスのイノベーションである Tableau ビジネスサイエンスが AI と機械学習を活用することにより、質問の答えを引き出し、インサイトを見出して、問題を解決するのに適したツールと機能でお客様にパワーをもたらすという Tableau の伝統を引き継ぎます。ビジネスサイエンスのひとつのソリューションである Tableau の Einstein Discovery の登場で、より多くの人々にとって機械学習が確実に身近なものになり、質の高い迅速な意思決定を支援するデータサイエンスの強力なテクニックを誰もが利用できるようになります。
その他のリソース