データファブリックとは?

データファブリック設計によって、データアセット全体を通じて、さまざまなレベルのデータのスケーリングや複雑さに対処することができます。Tableau を既存のデータファブリックに組み込むことで、分析環境における価値創出とインサイト獲得までの時間を短縮できます。

ご存じのように、今、ビジネス界はデータドリブンな意思決定を重視しており、これまでにないスピードでデータ活用の動きを加速させています。パンデミックによって変化を強いられたとも言えますが、ビジネス界ではデータの価値が認識されるようになり、今後直感に基づいた意思決定に戻ることはないでしょう。

その一方で、ビジネス界の動きは非常に速く、社内で分析可能な量を超えたデータが蓄積されていっています。組織で管理されているデータの量は平均で 5 年前の 10 倍を超えており、コンプライアンスに準拠して効率的、直感的かつ安全にデータを使用することが困難になっています。

本当の問題がデータの量ではなく、データの所在地にあるとしたら、そしてデータを統合することの困難さにあるとしたら、どうでしょうか? 実際のところ、平均的な企業は 900 個のアプリケーションを保有していますが、そのうち接続されているのはわずか 3 分の 1 です。9 割の IT リーダーが、こうした分断されたデータやデータサイロによってビジネス上の大きな課題が生まれていると回答しています。*このような課題の一般的な例としては、コスト効率の低さやデータ統合におけるエラー、データの喪失、不正確なデータなどがあり、これらは最終的に全体的なデータの信頼性の欠如につながります。

そこにこそ、今日の企業にとってのビジネスチャンスがあります。データサイロを接続して、すでに収集してあるデータの力を活用すれば、社内の誰もが現在から将来にわたってデータドリブンなビジネス上の意思決定を行えるようになります。データファブリックと呼ばれる最新のデータ管理設計を導入することで、そうした状況を実現することができます。

データファブリック設計とは何か?

データファブリックは、企業によるシームレスなデータのアクセス、モデリング、分析、プロビジョニングを可能にする最新のデータ管理設計です。データファブリックでは、データストアを一元化する代わりに連携された環境を確立し、人工知能とメタデータの自動化を活用して、インテリジェントなデータ管理を実現します。

リーダーが生産性と分析環境の成熟度を高めるために戦略を継続的に改良する中で、組織のデータアセットでさまざまなレベルのデータの多様性、分布、スケーリング、複雑さに対処できる単一のアーキテクチャ、それがデータファブリックです。

Tableau: データファブリックとは何か?

Tableau では、誰もがあらゆるディスカッションの中心にデータを据えられる場合に、最良の意思決定を行えると考えられています。Tableau のプラットフォームには Tableau の価値観が組み込まれており、プラットフォーム内のデータ管理レイヤーでデータファブリック設計をサポートして、サイロを解消し、データと分析環境のライフサイクルの全体のサポートを合理化できるようにしています。

Tableau では、従来型の企業向けデータツールにデータをライトバックする一方で、データにアクセスしてその質を高め、分析環境のユースケース向けにデータを準備してモデリングするために必要なバランスを取ることが可能です。これらの機能のそれぞれについて簡単に見てみましょう。
アナリティクスデータカタログ: データとデータソースで質や構造に関する情報を確認し、詳しくモニタリングして、使用できるように整理します。

  • メタデータ管理: 企業向けのツールとの相互通信を確保しつつ、ユーザーが分析の過程で特に必要とする箇所で豊富なメタデータを表示します。
  • データの品質と系列: カスタマイズしたポリシーに従ってデータソースをモニタリングして、最新の高品質なデータが利用可能かどうかをユーザーが把握できるようにします。誰が、あるいはどの要素が特定のデータを使っているのかが明らかになり、コラボレーションのスピードの向上や変更発生時の中断の低減を実現できます。
  • データモデリング: セマンティックレイヤーと物理レイヤーを活用し、スキーマを使ってデータを組み合わせて分析に適合させるためのオプションをより豊富に提供します。
  • データ準備: 数回のクリックでデータの結合、形式変換、クリーニングを視覚的に直接行うことができます。
  • データ、セキュリティ、リソースのガバナンス: データのライフサイクルの全体にわたって、使用されるたびに一貫したポリシーでデータを管理し、好ましいデータの挙動を実現することができます。特に、機密性の高いデータに効果的です。
  • データ統合: さまざまなプラットフォームとデータソース (データウェアハウス、データレイク、CRM など) にわたって保存されているデータから、有用なインサイトを得られます。
  • ビジュアライゼーションとディスカバリ: データ統合やデータ分析のために、所有するデータセットについての理解を深められます。
  • オーケストレーション: データに関する問題 (データ品質の問題やフロー実行の失敗など) の調整をワークフローで自動化します。
  • 拡張分析: AI をトレーニングして活用し、データ管理やデータ準備、分析などの分析プロセスを数クリックで完了できるように容易化します。

分析環境に焦点を当てたアプローチ

ビジネスリーダーは、データ分析が組織の未来にとって重要なことを長い間認識していました。グローバルマーケットインテリジェンス会社の International Data Corporation によると、83% の CEO が、よりデータドリブンな組織の実現を目指しており、データカルチャーの育成に投資しています。現在では、データ主導型の組織は、顧客を獲得できる可能性が 23 倍高くなっており、10% の増収を実現できる可能性が 1.5 倍高くなっています。

組織がデータファブリックの使用を始めるにあたって重要なのは、ビジネスに対して価値を生み出している領域に継続して焦点を当てることです。多くの企業と同様に、これに該当するのが分析環境である場合は、引き続き分析環境に焦点を当てましょう。データファブリックの導入には数年の期間がかかります。そのため、価値を示し、ステークホルダーのエンゲージメントを維持できるように、短期的な目標を設定することが重要です。

データファブリック設計に Tableau を組み込むことで、データイニシアチブの最終段階で生じる典型的な問題のいくつかを解決できます。次にその例を挙げます。

  • 企業による導入が進まない。企業の既存のデータのガバナンスと管理プログラムを何千人ものユーザーに拡張することですばやい導入を実現します。このプラットフォームは、ビジネスユーザーがデータにアクセスし、アナリストや IT 部門と連携して、エンタープライズプロジェクトの実装を行うためのコラボレーションゾーンや連携環境として機能するようになります。
  • ガバナンス基準の実装が遅い。閲覧者がデータを利用する領域で信頼性と検証可能性を実現します。Tableau は、データの鮮度や認証ステータス、データ品質に関する警告、フィールドの定義、データソース、全体的な使用状況についての情報を提供します。
  • データウェアハウス (EDW) から抽出したデータをモニタリングできない。今日におけるデータの利点は、さまざまな方法で活用できることにあります。しかし、これはガバナンスにおける大きな落とし穴にもなっています。IT 部門は、データの利用者や、データの利用者によるデータの操作についてのメトリクスを活用することで、データソースの価値が特に発揮されることに関する本格的なインサイトを得たり、機密データの使用を自動的に検出して修正したりできるようになります。

データファブリック設計の詳細を確認し、「Now Tech: Data Fabric Vendors Q1 '22 (英語)」を読んで Forrester 社のデータファブリック市場に関する考察について探ってみましょう。