見た目と実用性: 分析市場のトレンドでビジネスへの即応性があるのはどちらなのか
この記事は、以前に CIO (英語) に掲載されたものです。
ビジネス分析は今なお、エンタープライズソフトウェア市場で注目を集める分野であり、あらゆる組織でデジタル変革を支える柱でもあります。しかし、実際の利用に向けた一連の市場対応力において、異なる時点で多くの明確な進歩が見られます。
重要なのは、現在の実際のビジネスシナリオに取り入れることのできる成熟したトレンドと、まだ形成途中にありながらもベンダーデモでは驚きを生み出すトレンドの間にある違いを、テクノロジーリーダーが認識することです。このようなトレンドは、成熟度のレベルが大きく異なる市場カテゴリー、つまり人工知能 (AI)、自然言語処理 (NLP)、分析機能の埋め込みに分類することができます。
実際の人間の知能を増強する人工知能
機械学習 (ML) やディープラーニングを含めた AI を取り巻く宣伝と関心は、現在の市場におけるビッグデータのそれを上回りました。現在人間が行っている手作業の分析タスクを完全に置き換えて自動化するという AI の概念は、現実のほとんどの使用事例には当てはまりません。実のところ、分析ワークフローの完全な自動化は、現在であれ将来であれ、最終的な目標として考慮されるべきでもありません。
AI は「assistive intelligence (支援知能)」の頭文字だと言った方がよりふさわしく、自動化を脅威だと考えるアナリストにとっては、その方がはるかに受け入れやすいでしょう。支援知能の概念は、アナリストやビジネスユーザーのスキルを、埋め込まれた高度な分析機能と機械学習アルゴリズムで増強するというものであり、現市場で支援知能を導入する組織の数は増加の一途をたどっています。このようなタイプのスマートな機能の活用により、データの準備や統合のほか、データのパターン、相関関係、外れ値、例外の検出などの分析プロセスも、有効に支援できることが実証されています。
分析環境を利用しやすくする自然な操作
自然言語処理 (NLP) と自然言語生成 (NLG) は、区別しないで使われることが珍しくありませんが、目的はまったく異なっています。どちらも分析プラットフォームで自然な操作を可能にするものではありますが、NLP は質問する段階で、また NLG は発見した結果とインサイトを自然言語でユーザーに提示するために、それぞれ使われます。
そのうち NLP は、個人の生活でますます当たり前になりつつある自然言語インターフェイスとして、主流市場で認識されるようになってきており、例として Siri、Cortana、Alexa、Google Home などが挙げられます。分析ベンダーは、この消費者トレンドを利用するため、そして自然言語インターフェイスは従来の分析手段ほど取りつきにくくないと感じる可能性がある、一層幅広いビジネスユーザーに訴求するために、製品に NLP 機能を追加しています。NLP が分析プラットフォームの中心的な要素として、広く使われるようになっていくことは必然ですが、今のところは現在の市場で主流と見なされるほど十分に、幅広いユーザーや場面で利用されているわけではありません。
一方、NLG は市場に登場してから数年が経っていますが、データの視覚的な表現を拡張するために主流の分析ツールに組み込まれるようになったのはごく最近のことです。スポーツ競技、選手のスタッツ、投資信託の実績などテキストベースのさまざまなサマリーが、NLG 技術を使って自動的に生成されています。また NLG 機能は、AI ベースの出力結果を主流のユーザーにとって使いやすいものにする提供方法としても、ますます利用されるようになっています。
近ごろ、分析ベンダーはデータビジュアライゼーションに新たな側面を加えて、鍵となるインサイトが自動的に見出され、ビジュアライゼーションに付随する自然言語のストーリーとして示されるようにしようと、NLG ベンダーとパートナーシップを結んでそのノウハウを活用しています。ビジネス分析と NLG の組み合わせは比較的新しいものですが、市場において認知度と勢いが高まってきており、組織にとって新しい利用場面の検討が可能になりました。
分析機能の埋め込みがインサイトとアクションの距離を縮める
分析の真の価値が発揮されるのは、ビジネス成果を改善するための意思決定の材料としてインサイトを利用できるときです。意思決定者が通常の業務を行うアプリケーションやシステムに分析機能を埋め込むと、導入を妨げる障壁は取り除かれ、すぐにアクションを起こせる人々が直接インサイトを得られるようになります。
モダン分析プラットフォームのベンダーは、従来の手段ではそれまで訴求できなかった、LOB (基幹業務アプリケーション) ユーザーに対して分析コンテンツを普及させるための埋め込み戦略を、組織が非常に簡単に採用できるようにしました。さらに今では、競争上の差別化を推し進め、場合によってはデータ資産と分析アプリケーションの収益化を通じた新たな収益源を拡大するために、組織は同様の機能を顧客、パートナー、サプライヤーなども利用できるようにしつつあります。
こうした革新によってテクノロジーリーダーには、データ分析がビジネス上のあらゆる意思決定の基盤となる時代に組織を導いていく、またとない機会がもたらされています。そしてどの組織も、それぞれのペースでこの移行を始めていくでしょう。新しいイノベーションのアーリーアダプターとなる組織もあれば、市場の大多数が導入に成功して初めて採用する組織もあります。
結局のところ、何らかの新しいテクノロジーの導入に対する組織の対応は、エンドユーザーによって、そして新しいイノベーションを導入しプロセスの変更を受け入れる、エンドユーザーの能力と意欲によって決まるのです。
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