トラディショナル BI からの脱却: IT 部門のためのスタートガイド
このブログは、Tableau Zen Master であり Teknion Data Solutions 社のコンサルタントを務める、Bridget Cogley 氏の寄稿です。2010 年に Tableau の選定に携わった後、以前の環境から完全に移行し、人々が Tableau の可能性を実現できるように支援も行っています。また tableaufit.com (英語) では、Cogley 氏の投稿をさらに読むことができます。
小説『The DevOps 逆転だ!』で主人公のビル・パーマーは、IT 部門がなぜ「組織の生命線」なのかを語っています。組織を陰で支える IT 部門でひとたびトラブルが起これば、他の社員は業務をまったく進められなくなる可能性もあります。この事実は長年にわたり、IT 部門が BI を掌握していることを意味してきました。またそのため、要望の折り合いが付かず誰も完全には満足しない状況も生み出されてきました。
私がある企業での Tableau の選定に初めて携わったとき、私たちは IT 部門を閉め出して、言わば、彼らを車のトランクに閉じこめてその声にも耳を貸さず、険しい道を進んで行った様なものでした。組織の意思決定のやり方には大きな幅がありますが、私たちの場合は極端な方法を採ってぎりぎりうまくいったわけです。当社は 2010 年には珍しい存在でしたが、その後の流れの先鞭をつけたのではないかと思っています。2015 年にはガートナー社が、ますます多くのビジネスユーザーが意思決定に関わりたいと望んでいるだけではなく、それを進める心積もりがある実態を考慮に入れてマジック・クアドラントを見直しました。
私はコンサルタントとして、ビジネスアナリストがさまざまな独創的な手段で情報を入手しているのを見てきました。それはスプレッドマートからローカルデータベースまで、さらには足元で静かにうなるサーバーであったりしました (まあ、寒い時にはヒーター代わりになっていたのかもしれません)。人は、生まれながらに創造力を持っています。障害にぶつかれば、どれほど遠回りになろうが人は迂回する道を見つけるようにできています。そしてそれが、IT 部門にとっては大きな問題になるのです。知らない場所にデータがある場合、その保護や検証、認証をどう行えるというのでしょうか? そこでモダン BI の登場です。
チームとしてのアプローチ
モダン BI では、ビジネス部門をお客様のように扱う以上のもの、つまり徹底したチームワークと信頼関係が必要です。しかし信頼することはなかなか難しく、IT 部門は多くの場合、セキュリティやリソース管理などで失敗する可能性を考えないではいられません。一方で、ビジネスユーザーはもっと自分の思い通りになるように要求しており、オンラインでアドホック分析が行えるようになりたい、国勢調査の情報や住宅統計、天候の傾向のようなオープンデータを活用したいなどと望んでいます。
IT 部門は、ありとあらゆるセキュリティ、アクセス、接続、ソフトウェア導入、サポートへの対応、そしてさらにデータを求めるニーズの高まりに応えることに多忙を極めています。問題なのは、求められているデータの導入です。アクセスの拡大と、斬新な方法でビジネスを理解する能力を求める人が増えているためです。トラディショナル BI ではデータの大半が利用を制限され、IT 部門とビジネス部門の両方で作業量が増えてしまっていました。また、誰も成功を手にできなかったために敵対意識が生じてしまいました。
Tableau の運用は異なります。IT 部門は、サーバーリソースの管理、初期アクセス権の設定、繰り返し作業の支援など、得意とする作業に専念することができます。Tableau Server なら、IT 部門はビジネスユーザーがコントロールとサポートを両立できるようにすることが可能です。一例として、今現在大きな議論の元になっている可能性がある、データソースを挙げましょう。IT 部門がソースのパブリッシュや認証を行える一方で、それでもビジネスユーザーは認証されていない計算や認証されていない他のソースを追加することができます。これによって、アナリストは希望し必要としているスピードを得られ、それと同時に IT 部門もガバナンスの道を進めます。
ダッシュボードとパフォーマンス指標のオーナーシップをビジネスユーザーに持たせると、ビジネスユーザーは社内のアナリストと協力してより効果的なダッシュボードを作成するようになります。また、Tableau のリポジトリに保存されているデータを利用したカスタム管理ビューでは、リソースの使用状況の分析が可能なので、アナリストはダッシュボードがどのように利用されているか、どのダッシュボードで最適化が必要な可能性があるかを知ることができます。リポジトリのデータベースにはサーバー上の全アクションが収集されるため、パフォーマンスや使用状況の確認、そしてカスタムホームページの作成に便利です。
コミュニケーションとコントロール
どのような導入でも、鍵となるのは安定性です。もともと Tableau には短時間に処理が集中する傾向が若干あり、抽出、ユーザーのアクティビティ、サブスクリプションがすべてパフォーマンスに影響を与えます。そのため Viz やデータソースの設計に問題があると、ユーザーが大混乱に陥ることもあります。ですから、安定性を確保することが鍵です。ビジネス部門の面から見ると、ユーザーは習慣に基づいて行動します。たとえば全員が朝 8 時にログインし、お気に入りのダッシュボードを開くなり 900 個のアラートを設定するなりすれば、サーバーに非常に大きな負荷がかかる可能性もあります。
コミュニケーションも鍵です。IT 部門にはどうしようもない要素が関わってくることはよくあります。たとえば、あるベンダーが朝 8 時にのみデータをアップロードするのであれば、抽出が更新されるのを待つことになります。つまり、ユーザーと設計者に見込みを伝えることが、導入の成功を左右する可能性もあるということです。
トラディショナル BI では最大限のコントロールを行うことが求められており、何に対してもまず「できない」と答える環境になってしまいます。しかし Tableau は、必要な場合にのみ制限をかける、まったく逆のアプローチを取るように勧めています。たとえば、人事データを厳格に管理しながら、財務データは一部公開し、一般的なビジネスデータではアクセス権を拡大するということが可能です。
成功するためのヒント
- ビジネス部門と IT 部門の両方が集まって、導入や保守を行うチームを結成しましょう。 そして分析環境の達成目標と、協力してそれを達成するために必要な役割に対して、明確なビジョンを設定します。
- できる限りの権限をビジネスユーザーに与えましょう。Web 作成からメリットを得られる可能性があるのは誰ですか? どのビジネスユーザーがプロジェクトを所有できますか? さまざまなコントロールレベルでプロジェクトやサイトを作成できることを、どうぞお忘れなく。
- ディスカッションでは、「どちらも」の視点を持ちましょう。課題で「どちらか」を解決するのではなく、「どちらも」解決することはできませんか? たとえば、人事データへのアクセス権を制限したいと思っており、ユーザーが自分自身の統計値にアクセスできるようにしたいとも思っているとします。その場合、異なるソースと役割を作ることが理に適っているでしょうか?
- 小さな規模から始めましょう。新しいプロジェクトが立ち上がり、大規模な導入につながることはよくあります。しかし、組織にはそれぞれの文化や課題、ニーズがあります。実験の場をいくつか選んで検証してください。
- 報告と見直しを行ってください。Tableau が持つ Postgres の表にはアクセスすることができます。十分に活用されていない機能があるとすれば、これがそうです。ソースを作成し、独自の分析を行って、ビジネスユーザーが利用できるようにしてください。ユーザーがこのデータを Salesforce などのデータソースと組み合わせられるようにすると、「このダッシュボードは売上に貢献しているか」といった、非常に難しい質問にも答えを出すことができます。また、少なくとも 6 か月ごとに見直しを行って、ユーザーのニーズに応えていることを確認してください。ハングリー精神旺盛なビジネスユーザーに、もっと多くのことを委ねられるかもしれません。
- チームプレイに徹し、誰かを閉め出すことは避けてください。楽しくドライブ旅行をするときの運転とまったく同じように、代わる代わる主導権を取り、特に各人の専門分野は尊重しましょう。
上に挙げた提案に共通しているポイントは、コラボレーションと繰り返しです。組織でモダン BI を活用する際には、明確な目標を立て、コミュニケーションを取り、何が効果的なのかを理解すれば、きっと成功できるでしょう。
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