LOD 表現トップ 15
Tableau のミッションは、お客様がデータを見て理解できるように支援することです。Tableau の機能は、お客様がデータから多くの情報を導き出せるように綿密に設計されています。力を入れているのは計算です。計算言語でアイデアを簡単に表現できれば、データから情報を多く得ることができます。この点で、Tableau 9.0 で LOD 表現が導入されたことは大きな前進と言えます。LOD 表現を使用すれば、高度な計算もシンプルなステートメントでできるようになります。
また、ビジュアライゼーションの詳細レベルとは異なるレベルで集計を行えます。LOD 表現で集計した結果は、ビジュアライゼーション内で統合できます。難解に思われるかもしれませんので、この記事では、よくある使い方をピックアップして、LOD 表現のコンセプトを説明したいと思います。後半に、少々高度な分析事例もご紹介します。ホワイトペーパーでは、LOD 表現 の概要を説明しています。構文および使い方については、Tableau Desktop オンラインヘルプセクションの LOD 表現 もご覧ください。
次に紹介する 15 のワークブックでは、カスタマイズされたデータソースが含まれています。詳細をご覧になりたい場合は、ワークブックをダウンロードしてください。Tableau Desktop をお持ちでない場合は、 ここからから14日間の無料トライアル版をダウンロードしてください。説明に従ってビューを作成する場合は、ワークブックで使用されているカスタマイズされたデータソースをダウンロードしてご使用になることをお勧めします。
1. 顧客のオーダー頻度
各顧客のオーダー数を導き出すのは比較的簡単ですが、1回、2回、あるいは3回オーダーした顧客の数を知りたい場合はどうすればよいでしょうか。このビューを作成するには、オーダー数ごとの顧客数を求めなければなりません。シンプルな問いですが、あるメジャーを他のメジャーで分割するのは、LOD 表現を使用しないと困難です。
1つのオーダーに複数のアイテムがあるスーパーストアの売上データベースを考えてみてください。顧客ごとの個別オーダー数を計算すれば、各顧客のオーダー数を得ることができます。簡単な LOD 表現で、オーダー数をディメンションとして、顧客数を分けることができます。
2. コホート分析
長く取引のある顧客は、売上への貢献度も高いのでしょうか。下のビューでは、初回購入の年で顧客をグループ化し、年次の売上への貢献度を比較しています。各顧客の最小オーダー日付が、最初の購入日になります。しかし、このビューでは顧客ごとにデータが表示されていないので、LOD 表現を使って顧客ごとの最小オーダー日付を固定する必要があります。
3. 毎日の利益 KPI
時系列に沿った利益を表示することはもちろんできますが、営業日ごとの合計利益で業績を評価する場合にはどうすればよいでしょうか。毎月または毎年の、利益が発生した日数を知る必要があるでしょうし、特に季節的な影響も知りたいところです。次のビューでは、参照元データがトランザクションレベルで記録されていますが、LOD 表現を使えば、日毎の利益といった集計データで簡単にビンを作成できます。
4. 合計に対する割合
全世界の売上に対して、各国の収益貢献度はどの程度でしょうか。貢献度の割合を色分けすると、全世界の収益に対して米国の貢献度が最も高いことが一目瞭然になります。しかし、貢献度の低い EU のような市場にも着目したいと考えます。LOD 表現を使用せずに市場でフィルタリングを行うと、合計に対する割合を再計算することになり、各国のその市場への貢献度が表示されてしまいます。簡単な LOD 表現を使うだけで、市場でフィルターを使用しても再計算は行われず、全世界に対する貢献度を測ることができるようになります。
5. 新規顧客の獲得
市場ごとの合計顧客獲得数は毎日どのように推移しているのでしょうか。このデータで傾向を明らかにすることで、地域マーケティングや営業活動がどの程度効果的に新規ビジネスを生み出しているかを把握しやすくなります。線の傾きが大きいほど、獲得数が多いことを意味します。線が平坦になってくると、リードフローを増やすための対策が必要になります。
ビューではデータが市場と日付ごとに表示されていますが、評価は顧客レベルで実施されなければならないため、LOD 表現で、リピート客が新規顧客と誤ってカウントされないようにしています。
6. 売上の比較分析
平均との差を明らかにするのは比較的簡単ですが、選択したカテゴリーとの差を導き出したい場合はどうでしょうか。まず最初に、選択したカテゴリーの売上を分離する必要があります。次に、分離した値を、その他のカテゴリーの値すべてでを繰り返す、EXCLUDE 表現が必要です。後は、その他すべてのカテゴリーから各カテゴリーの売上の差を簡単に導き出せます。
7. 営業担当者ごとの上位取引の平均値
各営業担当者の最大取引はどの程度でしょうか。営業担当者ごとの上位取引を考察した後は、国ごとの平均が気になります。データは国レベルで表示されていますが、LOD 表現を使うことで、営業担当者の詳細レベルでの分析が可能になります。下のビューでは、青に色付けされた国では、営業担当者ごとの上位取引の平均が高く、オレンジの国では低くなっています。この情報を使って、国から営業担当者にドリルダウンすることができます。
8. 実績と目標
このビジュアライゼーションでは、あるコーヒーチェーンについて実績利益と目標利益との差をグラフ化しています。上のビューでは、どの州が目標を上回り、どの州が目標を下回ったかが一目瞭然です。しかし、集計してしまうと、重要なことが見えなくなってしまいます。いくつかの州では、すべての製品の販売が目標を上回り、全体の目標を達成する結果を残しています。その他の州では、1つの製品が目標を達成し、目標に到達しなかった製品の穴埋めをし、全体の目標を達成しています。目標を上回った州で販売された製品の割合を明らかにするために、LOD 表現を使用できます。
9. ある期間での最終日の値
在庫数、従業員数、株価の終値など、特定の日のステータスを示すデータは、売上や収益などの集計される指標とは異なる扱いをする必要があります。このような指標は、1ヵ月の最後の暦日の値を表示し、 さらに月から週にドリルダウンすると、週の最終日の値が表示されるようにします。下の例では、日毎レベルで、複数の銘柄の株価データを表示しています。ビューでは、日毎の平均終値を、その期間最終日の終値と比較しています。単純な LOD 表現を使うと、データはもっと高いレベルで表示されていても、日毎レベルに掘り下げて見ることができます。
以下の6つの例では、高度なシナリオでの LOD 表現の適用例、さらに Tableau の幅広い機能の使用例を紹介します。基本的なシナリオでの LOD 表現の使い方については、オンデマンドトレーニングビデオをご覧ください。
10. コホートによる再購入
新規顧客の獲得にはコストが発生するため、既存顧客が繰り返し購入してくれるようにしたいと考えます。1四半期、2四半期、3四半期、あるいは N 四半期かかって再購入してくれる顧客はどれくらいいるでしょうか。再購入してくれない顧客は、どれくらいいるでしょうか。四半期ごとのコホートを見てみると、顧客の再購入はどのように示されてるでしょうか。FIXED 表現を使って、顧客の初回と2回目の購入日を導き出し、再購入に何四半期かかっているかを明らかにします。
11. ある範囲での平均との%差
例6では、選択した1つのアイテムとの比較を行う方法を説明していますが、広範な範囲の値との比較を行いたい場合はどうすれば良いでしょうか。たとえば、日毎の株価の終値を、業界に影響を及ぼす主要イベントが発生する前の日毎平均終値と比較したい場合です。
12. 相対期間のフィルタリング
成果を分析するのに用いられる一般的な指標に、YTD (その年/年度の開始日からその日まで) とMTD (その月の開始日からその日まで) の前年比較があります。これは、その日までの相対期間をフィルタリングすれば簡単に実行できます。では週単位でデータが更新される場合にはどうすればよいでしょうか。前回の更新が3月1日で今日が3月7日だった場合を考えてみます。MTD で比較を行うと、前年の3月1日から3月7日までに対して、今年の3月1日が比較されてしまいますが、 心配はありません。シンプルな LOD 表現で、データセット内の最大日付を見つけることができるからです。
13. ユーザーのログイン頻度
どのくらいの数のユーザーが Web サイトまたはアプリケーション、月に1回、2ヵ月に1回、3ヵ月に1回、ログインしているでしょうか。平均的なログイン率はどれくらいでしょうか。この平均値での分布の歪度はどうでしょうか。データの粒度は、ログインの日付とユーザーIDです。つまり、ユーザーがログインする日付に対してレコードが1行という意味です。このビューを作成するには、顧客数をログイン率でスライスすることになり、メジャーでメジャーをスライスすることになります。例1と同様、このタイプの分析は LOD 表現で簡単に行えます。
14. プロポーショナルブラッシング
どんな分析でも、「何と比較するのか」が基本的な問題になります。フィルターを使う場合、単純にフィルターで項目を抽出するだけでなく、抽出した項目と、全体の合計値を比較したい場合があります。この場合は、プロポーショナルブラッシングという手法を使います。
15. 顧客コホートによる年間購入頻度
長く取引のある顧客が、売上貢献度の高い顧客と言えるでしょうか。取引年数は顧客保有年数によって測定される一方、顧客の売上貢献度は年間購入頻度で測定されます。
例1では、どれくらいの数の顧客が1回、2回、あるいはそれ以上の回数購入しているかを分析しました。しかし、マーケティング担当者は5回購入した顧客すべてを把握したいとは、考えません。代わりに、5回以上購入した顧客が何人いるかを知る方が有益ではないでしょうか。
さらに例2から、最も多く顧客を獲得したのは 2011 年、最も少なかったのは 2014 年であることがわかっています。顧客の絶対数を見ているだけでは、同じ傾向を繰り返し見るだけになります。売上貢献度の測定には、顧客合計に対する割合をコホートごとに見るのが良いのではないでしょうか。
最初の問いをもっと具体的に言い換えると、「各コホートの顧客の何パーセントが1年間で1回、2回、3回、あるいは N 回購入したか」になります。
この例では、例1の LOD 表現の数値のバリエーション、例2のコホート表現、そして例4の合計に対する割合 (パーセント) を組み合わせています。
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